新装版 鈴木敏文の統計心理学

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833420686

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  • [出典]
    「確率論的思考」田淵直也

  • 本当のようなウソ、を見抜く=統計学と心理学。
    セブンイレブンでは発注分担=高校生でも発注を任される。

    低価格を求める顧客は競争が激しくなる。高級品のほうが業績がいい。真似できない。
    ABC分析では売上の大きい商品に目が生きやすい。
    他店の平均とは比べない。立地が違う。
    他店見学はしない。競争相手は他社ではなく顧客ニーズ。柳の下にドジョウはいない。他店見学をしてもドジョウはいない。
    直観=本質を見抜くこと、を大事にする。

    客観的、とはもう一人の自分が上から見下ろしていること。

    時間軸で変化する、時間軸を輪切りにして断面を見る、未来から見て今を位置付ける、脱経験的思考、引用両面的思考。

    競争が激しくなって売り上げが下がる、は錯覚。消費の構造が違ってしまったから。
    映画が売れなくなったのは不景気だから、ではない。
    身長が止まったからと言って寿命は終わらない=時間軸の発想。

    今は多様化でなかう画一化の時代。多様化しているように見えるだけ。流れが短くなっているだけ。
    今は未来の反映でもある。所得が上がらないから消費が増えない、のではなく、顧客ニーズを取り入れられないから売れない。
    いまが安定しているからこそ、将来に不安を抱く。今より不安定になりたくないから。
    新しく伸びている会社は、過去の経験がないところで仕事をしている。
    ハウツー本は読まない。過去を否定する。
    常識を破らないと感動を伝えられない。

    かつて、牛乳はメーカーごと配送だから70台の納品トラックが必要だった。3~4社の商品があるこあるからこそ売れる。

    リストラ後に自分の経験が生きる仕事、は探さない。制約条件を開放する。
    美味しいもの=飽きるもの。飽きる商品を毎日作り続ける。
    ABC分析の本当のようなウソ=売れ筋の弁当は飽きやすい。
    完売は売り手の満足=顧客の不満足。
    市場の変化に対応すれば飽和はない。

    陰陽的両面思考=コンビニは若い人のもの、から女性や老人向けのもの、に変化させる。
    人間は自分が納得しやすい話を作りたがる。

    現場主義ではなくデータ主義。
    現場には、本当のような嘘、がある。現場主義はミクロを見て、マクロを見落とす可能性がある。データ主義は、マクロでみてミクロに落とし込む。
    データは記録ではなくマーケティングに使う。
    これからの売れ筋は何か、に目を向ける。

    誘導的、恣意的なアンケートに注意。
    統計調査はサンプリングに気を付ける。
    世論調査も頭で考えるか、心で答えるかで結果が違う。
    世論調査は相手を喜ばせたいバイアスが働く。
    冷やし中華は暖かくなると冬でも売れる。8月ではない。
    近くのコンビニを選ぶ人の心理を考える。
    競合店の進出は差別化すれば、伸びるチャンス。

    セールは一回目は安いだけでなく新しい仕掛けだから売れる。
    衣料品は11月から春物が売れる。
    過去の成功体験は、因果関係のセットで記憶される。常にWHYを問い続ける。
    牛乳が何社も並んでいるから売れる。それが消費者の心理。

    大型物流センターは経営革新ではない。アメリカのセブンイレブンはこれで潰れた。売り手の都合だけ。顧客の心理を無視している。

    不況で所得水準が上がらないから消費が延びない。のではなく今が安定しているのに将来が不安だから伸びない。

    先手を打つより、変化が可能な体質にする。先手はわからない。
    日本ほど商品のライフサイクルが短い国はない。
    画一化しているが、商品が短命。
    収入の格差が少ないので画一化している。
    富士山型よりピークが短いペンシル型。
    売れた商品をそろえようとする、これは昨日の顧客への品ぞろえ。明日の顧客に備える仕入れ=仮説検証。
    釣り客には、梅干しのおにぎりが売れる。

    挨拶はされる側になって考える。
    茶髪は原則禁止。
    店舗密度がある程度になると急速に売り上げが伸びる。
    売り手にとって非合理な陳列が売れる。ハンガーではなく畳みで陳列。
    オフィス街のサラダは、朝売れる。昼用に朝買っていく。
    昔、おにぎりは家で作るものだった。おでん、浅漬け、調理面も同じ。過去の常識ではコンビニにはないもの。

  • 考え方はすごい役に立つが、タイトルが少しミスリーディングな感じがする。「統計心理学」という言葉が全面的に出てるが、中身は「統計心理学的な思考法」といったことが書かれている。

    ハウツー本は読むなとい書いてあるが、この本もハウツー本の類では、、?と思ってしまった、、

  • 分母を「顧客」にして価値(効果)を考える

  • 鈴木敏文氏の語録やインタビューをベースに著者が行う分析や事例を解説する。とてもわかりやすく業種を超えてとても参考になる。ただ全体的に、鈴木敏文氏まじすげぇ!!これ天才じゃね?的に何度も持ち上げるので読んでいて小っ恥ずかしい。同じ事例を何度も述べるので後半げんなりする。

  • 店舗社員研修のネタとして使える。

  • やはり優秀な事業家は人間心理をきちんと重視した上で定量的なデータを扱うことに長けている。心理重視で仮説と数字は添えるだけのスタンスは私も非常に見習いたいし、横山さんのスタンスにも似ているのでチームの後輩の必読書にさせようと思う。

  • 顧客の変化(=未来)を推し量る為に、Web的なマーケティング手法をリアル店舗に取り入れる熱意と執着が凄い。

    セブンイレブンの鈴木会長の発言録的な本。
    おそらくこれまでの出版物や記事からの引用が多い印象(何となく聞いたことがあるものが多い為)
    読んで感じた強みは、2点。

    ■顧客の半歩先を読む力
    データ分析の目的が「顧客の現状を理解すること」ではなく、「顧客の今後を見立てる事」に徹底されている事。
    ■可視化、仮説、検証へのこだわり
    オフラインでの活動の部分も含めて、可視化に対するこだわりとコスト投資の部分がしっかりしている事。小売業の事例であるにもかかわらず、非常にアプローチがWeb的。
    顧客が解を持っている、常に正解は変わる、多面的なテストを繰り返す、と手法だけを見ていくとリーン・スタートアップのようなWebを扱う本に見える。ただし、計測タグをつければスコアが見え、そのためのツールも開発されているWebの世界をリアルで作るための努力は計り知れない。

    顧客や関係者を「変化し続ける物」と定義し、その変化を思考し続ける事が打ち手に繋がると理解しました。

  • セブンイレブンの創業者、鈴木敏文さんの言葉を基に経営理念を紐解いていく本。
    その考え方には非常に説得力もあり、非常に普遍的なものなので大変参考になりますし、
    他の業種であっても取り入れやすい考え方になっているのでお勧めです。
    以下抜粋
    ---------------------------------
    ・大切なのは、どんな相手のどんな状態にあわせ、どんな材料を使って、どのような料理を作りどのように提供すれば、相手に喜ばれるかを考えることができるかどうか。

    ・ハードやシステムの導入はやろうと思えばどの企業でも同じようにできます。そこから先、より大きな成果を生み出すには、ハードやシステムを運用する人間一人ひとりが仮説・検証により常に新しいことに挑戦し現状を改革していこうという意識を持てるかどうか、日々の取り組みにかかっているのです。

    ※消費市場にはもちろん価格の安さを重視するお客様もいます。仮に価格重視のお客様が市場の60%、質に価値を感じるお客様が40%いたとした場合、普通はどちらをターゲットしますか?
    上質さの追求は際限がないため、低価格商品を作るほうが実は容易です。その市場に60%のお客様がいれば、売り手の多くはそちらに目を向けるでしょう。
    ただ低価格重視のお客様に売り手の大半が低価格の商品を提供すると、たちまち飽和状態になり価格競争に陥ります。一方質を求めるお客様に上質さを実現できる一部の売り手が質の高い商品を提供したら、圧倒的な支持を得ることができます。セブンプレミアムが好調な業績がなによりそれを証明してます。

    ・おせち用の黒豆を売る。ある時期まで150グラムのパック詰めで割安の値段をつけて売っていたが売れ行きはあまりよくなかった。そこで量り売りに変えたところ、売れ行きは何倍にも伸びた。
    パック売りは「量をまとめて安く売ればお客様にお買い得感を持ってもらえる」という発送だが、買い手から見ると「必要以上に買わされる」というサービスの押し付けに過ぎず、ニーズからかけ離れていたわけだ。

    ・売り手の合理は買い手の不合理、買い手の合理は売り手の不合理。
    仕入れー実売が
    x:80-50
    y:50-40
    z:35-35
    だった場合、どれが一番売れ筋か。
    売り手:80個売れたXをもっと仕入れよう。
    買い手:食いつきのよさはZ。
    →ABC分析だけでは見逃してしまうケースがあるということ。

    ・資本主義は人の欲望によって成り立っている。
    よりおいしいものを食べたい、よりいいものを着たいなど。
    人間の欲望が無くなったら、人間社会そのものが成り立ちません。この欲望に合致するものや
    欲望を刺激するきっかけがあればタンスが一杯でも人はそれを買う。それが人間の心理です。

  • 顧客にとっての当たり前

    美味しいもの=飽きるもの
    価値は逓減しやすい
    美味しいものができたら、すぐに次の美味しいものを作らなければならない

    一粒百行、一粒の米を作るにも百の手間がかかる。

    雨が降ると発注が減る。店の魅力がなくなる。そこを見抜いて即座に発注を増やせと連絡する。

    POSも最初は打ち間違いや不正防止が目的。

    売れているから発注を増やすのではなく、売れてる理由を仮説立てする。結果をデータから見る。これが当たり前にできているのが他社との差。

    同じ水温4度でも、夏と冬では違う。

    システム導入はどの企業でもできる。それを使う人間が仮説、検証の意識を持てるかどうか。

    PBはナショナルブランドより安くあるべき!という前提をくつがえし、上質を追及。これもデータから消費者思考を見抜いた。

    安い商品を作るのは簡単。6割が求めてるからみんなが参入。結果、飽和になる。

    所得が上がらないから個人消費が増えないのではなく、消費構造が変わっているのに、売り手がその変化に対応できず、顧客ニーズに応えられていない。

    今が安定してるからこそ、将来が不安になる。

    売り手市場の経験で買い手市場を乗り切ろうとするから無理がある。

    お腹が空いてる時は色々食べて、最後に好物を食べる。お腹がいっぱいの時は好きなもの1つしか食べない。

    昨日の顧客に満足したものを明日の顧客に売ろうとしてはだめ。苦しい時ほど過去の成功にすがろうとする。

    リストラする人が過去の経験を活かす仕事につきたいと考える。でもそれが活かせる人ならそもそもリストラされない。違う分野に出るべき。

    セブンは週3以上の来店客が多い。それなのに売れ筋だからと入荷数を増やしていては、飽きてしまう。大事なのはなぜそれが受け入れられたか?次に何を作ればいいか?

    自分にとって都合の悪い変化は、自分が納得しやすい話を作ろうとする。売り上げ不振が大型スーパー出店のせい、など。

    50代が来店してるから、そのお客様向けの商品を充実させようとした。しかし、商圏は若年層の流入が多かった。品揃えが50代向けのため、若年層が来店していないだけだった。

    Aが売れたのはCが売り切れだったからかもしれない。本当のニーズは裏側にある。

    コンビニおにぎり100円セールは、安いから買うのではなく、普段130円のものが100円で食べられることに価値を見出した。次のセールに80円で出しても期待価値は変わらない。

    データは過去を見るのではなく、未来を仮説し、それが正しいかどうかを図るためのもの。

    先手を打つよりも、変化対応が可能な体質でいるかと。利益を出していること。

    昨日の顧客ではなく明日の顧客を満足させる。

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著者プロフィール

ジャーナリスト
1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして経済・経営分野を中心に執筆。企業組織経営・人材マネジメントに詳しい。

「2020年 『共感経営 「物語り戦略」で輝く現場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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