未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ

  • プレジデント社
3.21
  • (5)
  • (29)
  • (47)
  • (16)
  • (1)
本棚登録 : 574
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833420938

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者が期待する企業の善行に関しては、株主が先ず変わらねばと思うが、至近、まるでCMスポンサーにクレームをつける輩の如く、株主も企業の倫理観に対して厳しくなった。そのため、企業側もESGの意識が高まってきたのは事実だ。しかし、企業存続にはどうしても利益追求が必須であり、企業側には、単に気にするパラメーターが増えただけ、とも言える。

    偽善ではなくとも、風評を気にして対処しなければならない局面もある。また、企業もそれを煽る社会も良かれと思いながら、期待していた成果が得られないケースもある。例えば、インドとパキスタンではアパレル関係の縫製工場から子供の労働者を雇い止めしたが、結果的に子供たちは家計を助けるために売春を始めた。先進国の価値観、距離感で「正義」を語っても、黒カビのように根を張る「悪徳」の根絶にはならない。

    新興国に大企業が乗り出すメリットは何だろう。発展までの収益期待、となると随分時間がかかりそうだ。ヨーグルトで有名なダノンフーズは倹約型イノベーションとしてバングラデシュにヨーグルト工場を建設した。工場での雇用創出に加え、販売員、また牛乳そのものも地域のあちこちで細々と経営されている小規模の370以上の農家から集めたらしい。で、栄養不足の現地住民にも購入可能なヨーグルトが提供できる。安価に作って輸出で儲ける打算もあるだろうか。何が本心か分からない程、企業とは、取り繕い、ポジティブワードにフレーミングし、善行をアピールするもの。

    車買取の会社が問題を起こしているが、この体裁が失し、悪徳と偽善の使い分けが崩れた企業は脆い。集団で働けば、一人くらい、悪行に手を染めていけず、ゆえに罪悪感が発動するはず。日本の義務教育や家庭教育、監視社会は柔ではないと期待している。

  • リンダグラットン氏3冊目。
    ワークシフトの企業版との事で、レジリエンスと言う言葉が頻出する。意味としては、ストレスからの回復力、困難な状況への適応力、災害時の復元力などな意味で使われる。
    しかし、個人としては実行可能なところはあったが、これが企業となるとどれほどの数で実行されるのか疑問。確かに格差や環境など個人で出来ることは限られている。企業で取り組めば改善の兆しが見えてくるだろう。と考えるとかなりの大企業向けのお話なのかな。
    そういったビジョンを持つ企業はこの先も生き続ける、という事と理解した。

  • 激変する環境と複雑で深刻な問題に満ちた不透明な世界で、企業に期待される役割は極めて大きくなっている。一昔前までなら政治家が果たすべきと考えられてきた社会全体に対する重要な役割のいくつかは、今では企業の役割と考えられ始めている。
    企業がこうした期待に応えて機能していくためには、社内のレジリエンス(適応力·回復力·対応力)を高めるために、社内の対人関係を活発化しつつ知識やノウハウの融合や創発を促しこれを蓄積し活用する仕組みを作るとともに、社員の精神的活力の向上に努めなければならない。
    そして、サプライチェーン全般のコントロールを意識し、貧困や環境問題に悪影響を与える活動にならないようにコミットしつつ地域に貢献し地域の活力を高めなければならない。
    さらに、その動員力と展開力を活かし、多様な外部機関と連携することで、グローバルな問題に取り組む強力な組織として機能しなければならない。
    企業がこうした機能を果たせるかどうかで、数十年後の我々の住む世界のあり方は大きく変わる。
    そのためにも、企業のリーダーは、短期的成果のみを求める投機的投資家のプレッシャーを跳ね返して長期的展望を描き、フォロワーに強烈な理念と試練によって鍛え上げられたありのままの自分を見せることで影響を及ぼし、多様な人脈で拡大され続ける世界観に従ってより良い世界を目指さなければならばい。

  • レジリエンスの概念はわかるようで、社会自身が複雑化しているためポイントを抑えるのは難しい。ただ、多業種、多企業にていろいろな試みがなされていることがわかる。

  • ・企業として、人々の役に立ち、他者と協力するという自然な行動を従業員に促す社風をつくる
    ・短期主義や株主価値の偏重といった障壁を乗り越える勇気、かつてないほど声高に要求してくる市民に対応する勇気、現在と未来をつなぐメッセージを発信して説得力を生み出す勇気。リーダーに従う人々は、リーダーを観察してこの勇気があるかどうかを見極める
    ・本物のリーダーを目指す過程は経験を自分のものにするための「内なる旅」と呼べるかもしれない。充実した人生とは「内省のある人生」である
    ・その企業のリーダーが何を行っているか―?どのようにして従業員のレジリエンスを高めているのか?近隣やサプライチェーンに対して何をおこなっているのか?不安定な世界の問題に対してどのように取り組んでいるのか

  • 【由来】
    ・「経営戦略全史」P311、からのamazonでの著者つながり

    【期待したもの】
    ・レジリエンスってキーワードでも興味アリ。また、この著者の「ワークシフト」も読みたいと思ってるので。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 「ワークシフト」と「ライフシフト」の間に挟まれて、あまり目立たないグラットンの「未来企業」。原題はKey。

    今ひとつ、受けなかったみたいだけど、グラットンによると、これまでになく苦労して、自分の安全圏を乗り越えて、書いた力作とのこと。

    位置付けとしては、「ワークシフト」が働く側に立っていたのに対して、「未来企業」は、同じトピックを企業側から考えたもの。

    そういう意味では、通常の「経営学」の本に近いかな?

    確かに「ワークシフト」と「ライフシフト」に比べると、やや地味だけど、個人的には、結構、楽しめた。

    結論からいうと、ここで言われていることは、「ティール組織」と同じ方向に向いているということ。

    出てくる会社も一部「ティール組織」と同じ会社がいる。

    大きな時代のトレンドを踏まえると、「ティール組織」的なものになる必然性を感じた。

    あと、シナリオプランニングの話とかも出てきて、かなり「学習する組織」度は高い。

    グラットンは、ロンドン・ビジネススクールの教授で、アメリカの主流の経営学の流れからは一定の距離があるのだと思うが、それでも、同じ英米系プラグマティズムが強い環境にいるのだと思う。

    そんなところでも、「ティール」化しているんだな、と変な感想を持った。(もちろん、センゲはアメリカのど真ん中で、「学習する組織」やっているんだけど、アメリカは、サブカルチャーとして、ああいうものを受け入れる一定の余地はある気がする)

    言っていることは似ていても、「ティール組織」ほどは、なぜか面白くない、のはなんでだろう?

    同じことをいうのでも、書き方というのはあるな。

    もちろん、主流派には、グラットンの書き方の方が、受け止めやすいんだろうけど。

  • 読みかけにつき、まだ評価未定。だが、ワークシフトに比べると、フォーカスが甘い気がする。総花的?

  • とても良い。ケースはいくつか読み飛ばし。

  • 企業がレジリエンスを高めるための3つの領域を提唱し、領域ごとの方法を事例を交えて説明してくれる。ただし、主張と事例が淡々とかつ入り交ざった印象が強く、単なる好事例のご紹介にも見えてしまう。読み終えてから、あらためて序章に戻り、「著者が主張したかったのは、何か」を考えたが、「あれもこれも大事」という総花的な印象だけが残った。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

リンダ・グラットン
ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。世界経済フォーラムの「新しい教育と仕事のアジェンダに関する評議会」責任者。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50のトップ15にランクイン。「人生100年時代」の提唱者として2018年には「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。


「2022年 『まんがでわかる LIFE SHIFT 2(ライフ・シフト2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リンダ・グラットンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×