2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!

制作 : 林 昌宏 
  • プレジデント社
3.32
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本棚登録 : 142
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833422406

作品紹介・あらすじ

「起きるわけがない」と決めつけても、どんなことだって起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが、最悪を回避する最善の手段なのだ。

感想・レビュー・書評

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  • 市場民主主義の引き起こす憤懣、怒りへの警句。利他主義への転換を促す。

  • 今年(2018)の初めに読んでいた本ですが、部屋の片隅に、私にレビューを書かれることをずっと待っていたような本です。テーマは、今年になって興味を持ち始めた、私が社会人を引退することに世の中はどのようになっているのか、というものです。

    世の中では、定年60歳は過去の話、65歳ならず75歳まで、更には生涯(死ぬまで)現役!ということまで言われていますが、その一方で、企業側はしっかりと人材不足になったときの準備も着々としていると感じます。

    この本では、ジャックアタリ氏による、2030年までの変化を予測した本です。残りの社会人生活を悔いなく送れるように、自分らしさをいかに表現できるかを考えつつ日々を過ごしたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界人口に占めるインターネット利用者の割合は、1996年の1.3%から、2016年の49.2%へ増加、世界人口74億人のうち、23億人がSNSを積極的に利用している(p25)

    ・宿泊先を共有する、エアビーアンドビー社は年間換算で1.5億人の宿泊を提供する、これは高級ホテルチェーンヒルトンの宿泊者の延べ人数1.27億人を上回る。ウーバー社の時価総額は、デルタ・アメリカン・ユナイテッド航空の価値を上回っている(p32)

    ・世界中の外国の軍事基地の95%はアメリカ軍のもの、世界160か国に800の軍事基地に駐留している(p37)

    ・世界の紛争のほとんどは、世界人口のおよそ6分の1が暮らす、マリからパキスタンの地域で起きている、戦死する兵士の数を年間人口10万人当たりで表すと、第二次世界大戦中は300人、朝鮮戦争22人、ベトナム戦争9人、イランイラク戦争5人、2011年以降は0.3(p47)

    ・難民のおよそ86%は途上国が受け入れている、トルコ・パキスタン・レバノン・イラン・エチオピア・ヨルダン・ケニア・チャド・ウガンダ、先進国が受け入れた難民の数は160万人(p52)

    ・都市部で暮らす人口の80%は、WHOの定める環境基準を超えた大気汚染にさらされている、途上国・中進国の人口10万人以上の都市の98%では大気汚染に関する基準が守られていない(p53)

    ・海洋の温暖化により、グリーンランドの氷床の年間平均減少率は、1992-2001には34Gt(10億トン)だったが、2002-2011年には、215Gtと急増した、これにより海面上昇(1.7ミリから3.2ミリ)も起きている(p55)

    ・農業に関する懸念材料として、農民たちは種子を毎年購入せざるを得なくなり、種子を交換することもできない、種子市場は、モンサントーバイエル、デュポン、シンジェンタによる寡占状態(p59)

    ・先進国上位25か国の世帯の65%(5.4~5.8億人)は、2005-2014年にかけて収入が横ばい、減少した、中産階級が貧困化している(p62)

    ・2011年以降、世界中のGDPは20%増加したが、国際貿易は停滞した、保護貿易障壁はいたるところにある(p77)

    ・アメリカの公的年金システムを維持するには、3.4兆ドル足りない、将来的にバランスさせるには、州と都市の負担割合を現在の歳入の7.3%から、17.5%まで引き上げる必要がある。だがこれは無理、シカゴ・ヒューストン・ダラス、イリノイ州、オハイオ州はすでに破たん寸前である(p79)

    ・世界中の人々の平均寿命は横並びになるだろう、2030年、人類の3分の2は都市部で暮らす。1000万人以上の人口を持つ巨大都市の数は、41になる、都市化したから農業生産性は向上する(p112)

    ・2025年以降、コンピュータは1秒間に、2.88x1017回の計算をする、人間の脳は同じ時間内に、10x1017回でありその差は3.5倍しかない。予測モデルは効率かつ詳細になり、知識および医療分野は次第に自動化される、2030年には1500億個のものが互いに、そして数十億人の人々とインターネットにより接続される(p115)

    ・3Dプリンタが産業界、一般家庭に浸透するだろう、これにより一部の製造現場は先進国に回帰、一般家庭ではカスタマイズしたモノが作られる(p115)

    ・拡張現実や仮想現実の道具を利用すれば、ホログラフィー対応のスマホで通話中の相手を3Dで眺められる、今後15年間に進化する視線追跡と顔追跡のテクノロジーにより、現実と仮想の相互作用が促される。スクリーンを利用せずに拡大した現実に、我々のデジタルデータを投影することが可能になる、現実と仮想が行動および思考において混ざり合う(p116)

    ・2030年、セマンティック・ウェブにより、検索エンジンと自然言語で会話できるようになる、人工知能とセマンティック・ウェブを組み合わせると、自動翻訳機となり、これがあれば世界中の専門家の見解を知ることができるようになり、国境はいずれ廃止される(p117)

    ・今から2030年までに、KWh当たり150ドルのバッテリーが開発されるので、ハイブリッド車が急速に普及する。航続距離が内燃機関車(600キロ)と同様になるだろう(p123)

    ・共有経済の5つの主要分野(金融、求人情報、宿泊、自動車共有、音楽・動画のストリーミング)の市場規模は2016-2030において、30倍になるだろう(p127)

    2018年7月1日作成

  • この本で語られる2030年は、たった12年後。
    「最悪の事態が起きる可能は極めて高い。その場合、2030年までに大きな危機や壊滅的な戦争が起きる。そして世界的な危機や戦争は、人類に不可逆的な被害ももたらす」、「危機がせまっていると自覚することが絶対に必要だ。そうした自覚こそが、危機をかいひするための唯一の方法なのだ。」
    「自分自身ができる限り高貴な生活を送りながら世界を救う」
    そのために、10段階の精神的道筋を歩むことが進められている。
    1.自分の死は不可避だと自覚せよ
    2.自己を尊重しろ、自分自身のことを真剣に考えろ
    3.変わらない自分を見つけろ
    4.他者が行おうとすること、そして世界の行方について、絶えず熟考しながら自分自身の意見をまとめろ
    5.自分の幸福は他者の幸福に依存していることを自覚せよ
    6.複数の人生を同時にかつ継続的に送る準備をせよ
    7.危機、脅威、落胆、批判、失敗に対する抵抗力をつけろ
    8.不可能なことはないと思え
    9.実行に移す
    10.最後に、世界のために行動する準備をせよ
    世界を変革するための10この提案は以下。
    1.学校や法律の教科書など、いたるところに、利他主義、寛容な精神、誠実さを養うための学習を取り入れろ。
    2.国連総会のもとに、次の三つの機関(組織改革された安全保障理事会、30歳未満の次世代会議、世界環境裁判所)を設立せよ。
    3.世界的な紛争が勃発するリスクと闘え。
    4.法の支配と暴力を抑制する合法的手段を強化せよ。とくに、女性や子供に対する暴力を撲滅するのだ。
    5.世界経済の連携を組織せよ。
    6.世界通貨を導入せよ
    7.小規模農家の農地を守るために、農地に関する所有権を世界的に強化せよ。
    8.積極的な経済を推進するための世界的な基金を創設せよ。
    9.新たな技術進歩を世界中の人々が利用できるように支援せよ。
    10.最後に、今までに述べたことに対する取り組みの進行状況を、企業、都市、地域、国、世界という単位で、客観的な指標を用いて計測せよ。

  • グローバル化による市場と民主主義の崩壊から起こりうる大惨事を食い止めるためには利他主義という捉え方に立って行動するよう説かれていた。

  • 利他的に生きましょう。それしか生き残る道は無いですよ、と人類に問いかけている一冊。

    2018年3月①

  • 資本主義への警鐘と受け取れた。利他的に振る舞えるよう、1人1人が内面から変わっていかないといけないという著者の啓蒙書。語られている事実は衝撃的で、説得力があった。
    一方で、変わっていかなければいけない理想は分かるけど自分が損をしないためにマネー社会に飛び込んでいかなければいけないジレンマもある。一般人にはなかなか難しい。

  • 現在世界の地政学や宗教から来る敵対関係、内情事情、環境問題、貧困、公害、高齢化など多様な社会的な懸案事項を取り纏めて解説して今後の動向をどう見極めるか?を提示してくれている。そこまではとても興味深いものがあったけど、ラストの回答とう言うか今後の指針は特別なものは無かったかなぁ〜けどね、出来るだけアンテナを高く上げていないと2030年までの荒波を乗り切る事が難しいんだよって、それは強く伝わって来た。本当にこの本で書かれていることの全てが起こるとは言えないけれど、形は少し違えども似たり寄ったりの事件や事象が発生するんだと思う。それに備えることを始めるきっかけにはなると思う。これからの世の中、情報は最大の武器だから、早く気付いて上手く使うスキルを身につけて荒波を乗り越えていきたい。

  •  ジャック・アタリが天才だからだろうが、現在の状況やら分析やらがどんどん押し寄せてきて、のどに詰まって飲み込めないといった感じである。結論も分析の続きのようで、なんでそのような結論が導かれたのかいまいち消化不十分である。
     世界全体で見れば生活水準は上がり技術は進歩し順調に見える反面、富の偏在や気候変動などの環境悪化、保護主義化や原理主義者の台頭などの混乱要因があり、2030年には大混乱になるだろう、という議論である。現在の状況なり課題が勢ぞろいでまとめてある。
     結論として、それを阻止するためにみんなが行動する必要があり、国連に機関を設立しろとか世界通貨を導入しろとか10項目を提案している。普通の人なら数冊以上の本になるような内容を凝縮して書いている感じである。
     本書を読んでなるほどと理解納得し、ジャックアタリが期待するような行動を取れる人が一体どれだけいるだろうか?私の読解力がないだけかもしれないけど…。

     

  • 要約ダイジェスト

    2030というと後わずか干支一周分だ。
    その時50前なので一発当てない限り、まだまだ現役であることを考えると、世の中の先を知っておく必要があろうと思う。

    インターネットは情報収集のハードルを下げた。従い、世界のどこかで今起こっていることはある程度わかるようになった。

    しかし、これらを組み合わせて未来を予測することは難しい。例えば仮想通貨なんて10年前思いもしなかった。(不勉強だったからかもしれないが)

    未来に備えるためには、考え方を知っておく必要がある。この本はちゃんと全部読んでみようかな。

  • あらゆる数値の推移を根拠として、社会システムの破綻に向かうシナリオが記載されている。悲観的なストーリーは楽観的なものより好感がもてるが、大量の例示に埋もれて、全体の論理構造が読み取りにくかった。
    その中で、テクノロジーの進化による富の局在化が、中産階級の不満を爆発させるという論理がいくつも語られている。これと、民主主義のメカニズムの本質から導かれる、社会システムの崩壊に向かうシナリオは説得力があった。
    最後のフランスを主体とした取り組みの提案については、フランス文化圏を正とするような表現があり、違和感が感じられた。

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著者プロフィール

1943年11月1日アルジェー生まれ。フランスを代表する知識人。81年〜91年大統領補佐官、欧州復興開発銀行総裁も努める。

「2001年 『反グローバリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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