食の歴史

  • プレジデント社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833423618

感想・レビュー・書評

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  • ジャック・アタリ著、林昌宏訳『食の歴史』(プレジデント社、2020年)は食をテーマに歴史を語る書籍である。現代の飽食の傾向に警鐘を鳴らしている。2018年は13億トンのも食糧がゴミとして捨てられた。これは地球で生産された食物の3分の1に相当する。飽食の時代の恐るべき無駄である。フードロスの削減はSDGsでも掲げられている。飽食の時代からの脱却が必要である。
    一方でステレオタイプな論調を感じる。先進国の貧困層は、家計費に占める食費の割合を減らすために新鮮な食物よりも、食品業界が工業的に作る安価な食品を食べているとする。この対比は理解できるが、その例として貧困層が赤肉と鶏肉を過剰に食べ、野菜と果物をほとんど食べないとする。これはどうだろうか。肉を食べて野菜を食べないことは値段の問題だろうか。肉よりも野菜の方が安いのか。
    処方箋も疑問である。消費者に求められる行動として、家計に占める食費の割合を増やすこととする。フランス人全員がより健康な食生活を送るために1日当たり0.1ユーロ余分に支出すれば、フランスの農民の収入は毎月およそ250ユーロ増えるとする。これでは事業者が豊かな生活を送るために消費者がもっと高価なものを購入してとなってしまう。
    そもそも貧困層は食費を節約するために現在の食生活になっているとしたら、家計に占める食費の割合を増やすことは非現実的な要求である。日本では消費者に歓迎される野菜にモヤシがある。モヤシは工場で生産されており、それ故に安価に供給される。野菜の消費を増やしたいならば植物工場による供給という方向性も考えられないか。

  • 東2法経図・6F開架:383.8A/A95s//K

  • 興味深い話だったが、いかんせん終盤近くまで単調な事実の羅列が続くのが辛かった。歴史を知るのは大事だし、それれに1つ1つの事実は面白くて、例えばフランスが文化的に食事を大事にしてるのとかよく分かったが、箇条書きのような文章には正直辟易してしまった。
    ただ、大きな食品会社が食文化(人間にとって必要な行い)を破壊してるのはなるほどその通りだと思ったし、資本主義への批判はハッとさせられた。

  •  GW前に図書館の新着コーナーで見つけた。
     とにかく恐ろしいほどの情報量だ。
     多くのトリビアがあるが、コンビーフがアイルランドの塩漬け牛肉で、フィッシュアンドチップスが工場労働者用(1860年)のファストフードだったんだ。なるほど。他に「第6章 食産業を支える栄養学(20世紀)」ではアメリカの工業製品としての食品の隆盛についてあれもこれも惜しみなく語られている。のちの章では近未来の色では昆虫の利用までも語られている。
     本書でさりげなく使用されている「ノマド」、古くは遊牧民を指すが、現在以降、工業製品を個食で消費する我々を指しているようだ。著者が食のあり様を冷静に予言していることに、より一層の恐ろしさを感じる。

  • 人類の誕生以前から生物が何を食べてきたのかを紐解き、現代に至るまで食べることの意味に光を当てる。そうすることで、この先人口が増え続けるこの惑星において我々が何を食べていくのかを見ていくことになるが、未来は明るくない。

    肉や魚、農地は足らず、昆虫を食べるにしてもアレルギーへの注意や、そもそも昆虫が足らないということもある。格差によって食べるものが階層化されることになるだろう。今まで食べてこなかったものを食べ、食べる量を減らす必要もあるだろう。あるいは、人間を食べるというカニバリズムを歴史的に復活させるのだろうか?

  • 読んでいて何度か笑いを抑えきれなかったのは、フランス人の典型的な”エスプリ”という名のセンスの悪さが露呈している点で、我々の大嫌いなフランス人っぽさが文章全体から滲み出ており、可愛らしさすら覚えてしまう。

    ”美食家”ということになっているフランス人が食の歴史を書けばどうなるか。大方の予想通り、当然アメリカ流のファーストフードなどへの呪詛の言葉が本書は中心を占める。その点で私が大嫌いなフランス人っぽさが満開であり、内心ほくそえんでしまう。

    ところで、やたら昆虫食が食料問題を解決する手法として取り上げられるのだけど、ジャック・アタリに進言したのは誰?腹を切って死ぬべきである。

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著者プロフィール

1943年11月1日アルジェー生まれ。フランスを代表する知識人。81年〜91年大統領補佐官、欧州復興開発銀行総裁も努める。

「2001年 『反グローバリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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