- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834000184
感想・レビュー・書評
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朝倉摂さんの絵による、私の大好きなお話です。
主人公は「よし子」という10歳の女の子。
東京で、お母さんと二人で暮らしています。
よし子の家にはひな人形がありません。
お母さんが長年大事にしてきたひな人形は、1945年の空襲で家と一緒に燃えてしまいました。
よし子のひいおばあさんに当たる方がお母さんに贈ったというその人形がどんなに素晴らしいものだったか、よし子は繰り返し聞かされて育ちました。
去年お父さんが亡くなって、ますますひな人形が買えない状態になり、それでもよし子は、自分だけのおひな様が欲しくて欲しくてたまりません。
ひなまつりが近づいたある日、とうとうよし子はお母さんに思い切ってねだってみるのですが。。
話の中盤で、お母さんがよし子に話す言葉があります。
「お金がないからとか、意地悪でおひな様を買わなかったわけじゃない。」
お母さんには強い願いがあったのです。
私はいつもここで胸がいっぱいになります。
そして、その言葉を受け止めてから、よし子は変わっていきます。
やがてやって来たひなまつりの日。
どきどきしながら学校から帰ったよし子の目に飛び込んできたものは。。
この展開で、また涙がこみあげてしまうのです。
60年代に書かれた作品なので、古く感じる描写もありますが、流れるテーマは今も、これからもずっと変わらないものだと言えます。
何十年経っても読まれるような本というのは、その中にあるものが本物だからなんでしょうね。それは、この作品のテーマとも共通します。
読み終えたあと、自分は子供の夢や思いを壊すような親ではなかったかしばらく考え込んでしまいます。
親と子の深い心のふれあいを描いたものですが、どの年代の方にも通じるものがあるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもの頃おこなった行事は、辛いことにせよ良いことにせよ、特別なものだった。特に、女の子にとっては、3月3日は特別だった。
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晴れやかな表紙のピンクに、ドキドキしながら読み始めました。
お母さんの葛藤や心の痛みが、悲しい位に伝わってきて、そんなお母さんを労わろうというよし子の気持ちが、悲しい位に伝わってきて、なんとも言えなかった。
大きな愛情で子どもを包み込み、子どものピンチには、適切な言葉をかけてあげるお母さんのお話は、もちろん素敵だけれど、お母さんだって、傷つき悩み、忙しい時にはイライラしてしまう、ただの小さな人間なのです。この本のお母さんは、普通のお母さん代表みたいで、がんばれ、がんばれと応援したくなってしまいました。ラストが良かったな。お母さんは、子どものおかげでお母さんでいられるんだなって、つくづく思う。
普段あまり使わない「がいとう」などの言葉に苦労していた娘さんでしたが、「〇〇って、何?」と、流れを壊さないように気を使うようにして質問しながら、真剣に物語と向き合っている姿が、なんとも愛おしかったです。 -
初めてこの本を読んだのは、確か小学校低学年の時。
正直なところ、当時はあまり好きな本ではありませんでした。
どこか感じた“暗さ”が引っ掛かって…
あの頃からもう十数年。
今日の昼下がり、祖父の家の本棚を散策していますと、少し埃をかぶった姿で、偶然にもこの本と再会しました。
本当に何と無く、手にとって読んでみたのですが…
…あれ、こんなに心にしみる、優しい物語だったのか…
…と、胸にぐっときまして…途中どうしても涙があふれました…。
あれから私も、大人になったのか…
色々経験してきたのか…
日々の時間がゆるゆると流れてゆく中で、中々自分の変化など、気づきもしなかったけれど、
こうしてちょっと立ち止まって向き会ってみると、あぁ、私も変化していたのだなぁ…と。
これからもよろしくね、と、
本をぎゅっと抱きしめたくなりました。 -
■伊藤忠062
#三月ひなのつき
#1階本棚
#読んであげるなら5・6歳から
#自分で読むなら小学低学年から
#小学中学年
■出版社からの内容紹介
「母と子の心の交流をすがすがしく描いた童話」
3月3日は、よし子のお父さんの命日です。「まだ鳴かないかな」と待っていたウグイスの声もきかずに、2年前、お父さんは旅立ってしまいました。翌年、よし子は朝はやく目が覚めました。お母さんに声をかけられますが、沈黙の中にも心では同じことを考えていたでしょう。そんなよし子は、ひな人形を欲しがりますが、お母さんが規格品を買い与えてくれません。ひなまつりを通して、母と子の心の交流をすがすがしく描いた童話です。
#96ページ
#21×19cm
#伊藤忠寄贈図書 -
女の子にとって、雛人形は飾りたいものね
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朝倉摂の名前を、子どものときにこの本で覚えた。実家にまだあるはずだが、挿絵を鮮明に覚えている。