木かげの家の小人たち (福音館創作童話シリーズ)

  • 福音館書店
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834001037

作品紹介・あらすじ

ある家の二階に小さな書庫がありました。薄暗い廊下に面したその部屋は、その家の他のどの部屋よりも、物静かな一角でした。古めかしい漢文の本、外国の本が並ぶ小部屋。そしてこの静かな部屋の天井近くに、小人が住んでいたのです……。暗い戦争の影が日本をおおう冬の時代、外国生まれの小人を愛し続ける少女ゆり。いまわしい現実と不安な日々が不思議な魅力を持って描かれる、日本のファンタジーの記念碑的作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 考えなければならないことがいくつかある。反戦文学であることは間違いない。なぜ、小人の子たちはアマノジャキと暮らすこと選んだのか。親はなぜ保守的で追従的な生を歩むのか。77日の試練は何だったのか。小人は良心の象徴のようだが、一日も休むことのできない具体的関わりでもある。その家族がなぜ進んで別れ別れになるのか。では、アマノジャキとは。なぜ小人は西洋由来なのか。謎というよりも、そこを掘っていくことで豊かな水源を探り当てることができると思うからだ。

    子どもは自立。天の邪気は守る守られる関係でなく、友人。その程度の読みでいいのだろうか。ゆりの葛藤、弱さ、ひたむきさもこの物語の白眉だろう。

  • 日本人の少年が英国人の女性から小人たちの一家をあずかるところから始まる。

    世話をする者は代替わりしていくが大切な約束として守り続けられていく。

    しかし、折しも日本は戦争へ向っていたのだった。

    うーん、今のぼくらにとっては、戦争と、小人たちの存在が、うまく結びつかないかもしれない。(2010.09.07読了)

  • 「戦争が始まり、生活は日々息苦しいものとなっていきまう。ゆりは小人たちを守りながら、何か本当に大切なのかを考え続けます。」

  • 戦時中の家族とその家族が守る小人の家族のお話。戦争で変わってしまった環境と人間の心。戦争で環境が変わっても逞しく成長する小人の子どもたち。人間は人間だけで生きている気になるからダメなのか。自然の中で自然とともに生きていることを忘れたらダメだ。昔からある日本の物語は第一印象でとっつきにくいかもしれないなと尻込みしてしまいがちだが、いぬいさんの物語は読み始めると全く古さを感じさせないおもしろさ。シンプルで味わいがあって。おもしろかった。

  • 小学生の頃大好きだった本。小人は本当にいると信じていました。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「冒険・ファンタジー」で紹介された本。

  • よかったです。
    人は誰もどこかに「だれもゆけない土地」を持っている・・・そんな心が温かくなるような物語です。
    メッセージ色も結構強いけれど、大事だよなあと思います。
    森山家の人々と小人の関係も素敵でした。信がどうなるのか、今後の展開が気にかかります。

  • つながりを大切にすること、戦争の悲惨さ、何か大切な物を教えられた感じ・・・

  • 過去を想い起すべき、この時期に、人に勧められて。

    日本に、いや世界中に、何かの暗い影がかかっているかのように感じられる昨今。この本の状況は、現代とすごく似てはいないだろうか。

    歪みは弱いところ、子どもから攻め立てる。
    家族は、大きなものの為に、ばらばらになる。

    そんな時でも、自分の心に従って生きていけるか。
    重い課題を与えられたような気がした。

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著者プロフィール

いぬいとみこ

「2002年 『くらやみの谷の小人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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