名医ポポタムの話 他3篇 (ショヴォー氏とルノー君のお話集 3)

  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834001068

感想・レビュー・書評

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  • 「名医ポポタムの話」
    ポポタムってヒポポタマス→カバのことだったか…。
    名医というだけあり、死人もその独自すぎる医術で蘇らせてしまうポポタム。
    しかしできないことももちろんあり、それが紆余曲折してまわり回って
    …という、ポポタムのエピソードが多数収録。
    ゾウの家族とサルの患者のエピソードも、おかしみがすごい。
    だけどやっぱり不条理。謎すぎる。やばさがすごい。

    「アザラシの子の話」
    難聴は仕方ないよ、うん…。
    でも、ある意味これもハッピーエンドっちゃハッピーエンド…なのかも…??
    いけない、レオポルド・ショヴォー作品を読むと何がハッピーエンドなのか分からなくなってくる。

    「オオヘビとバクの話」
    腹部に入り込んで膨張してやって、食った側を破裂させて殺しちゃうっていう手法。
    やっぱどこにでもあるんだな…。

    「人食い鬼の話」
    人間の子どもの肉を食らう、人型の鬼の話。
    まさかレオポルド・ショヴォー、こういうのも書いていたとは…。
    人食いの牙を全部ぶち剥かれて菜食主義にさせられると人間的気質になる鬼。
    しかし、また牙が生え始めるともとの鬼の気質が顔を出し…という展開。
    そのために自ら全抜歯を望む気骨よ。

  • 38度の熱が下がらないままの読書。ショヴォー氏とルノー君のお話の、図書館で借りてきた重い3巻を読む。熱でフウフウしながらも、この怪しいおかしさがたまらない。

    表題作は、カバの医者ポポタムが、自分で発明した「ポポタムのり」や「ポポタミン」や、ポンプやペンキを駆使して、もうあかんという患者を生き返らせたり、治したり。ときには、反対向きにくっつけてしまったのを、またぶった切って、のりで貼っていっちょあがり。そんなん、ありか? その名声は世界にとどろき、ポポタム先生はパリにもおでまし。おパリでも、切ったり貼ったりふくらませたり。

    このポポタムの話、土橋とし子の絵で編まれたものもあるらしい。これは図書館にあるので、読んでみたい。

    福音館文庫版
    『名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集3』

    国書刊行会版(訳は福音館と同じく出口裕弘、土橋とし子画)
    『名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集』

    (10/3了)

  • ひさしぶりの読み直し。こんなにはっきり風刺だったのか!
    白イコール善 ではない世界。
    だからといって善悪が反転するわけでもなく、みんなひとしく食ったり食われたりする。

    人食い鬼の話が好きだ。
    こんな危なくて面倒くさいやつも受けいれちゃう司祭さんたちの度量の広さ。
    鬼は鬼であっさりなじんじゃうし。

    この淡々とした世界観が大好きだ。

    2011/7/15 再読

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著者プロフィール

(Leopold Chauveau) 1870年、フランス・リヨン生まれ。のちパリへ出て医者になる。1896年に結婚、四男をもうける。その後アルジェリアへ移住し農業をはじめるが、第一次大戦前夜にパリに帰還。戦中は志願して軍医となった。当時の経験を綴った『戦場の後方で』を1917年に発表。1924年に再婚、医者を廃業し、創作活動に専念する。ブロンズの怪物像や絵画を制作するかたわら、ジッドやマルタン=デュ=ガールら知識人とも親交をむすび、小説も書いた。1923年より、亡き息子ルノーとのやりとりによって生まれた物語をもとにした『ルノー君のお話集』を次々に出版。1940年、ドイツ軍侵攻に際し、パリ脱出をはかるが、途上、ノルマンディーの村ベルレームにて没する。

「2006年 『いつまでも、鰐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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