あいうえおの本 (安野光雅の絵本)

著者 :
  • 福音館書店
4.11
  • (104)
  • (66)
  • (56)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 1389
感想 : 82
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834004618

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 左のページには、「あいうえお」の文字が一文字ずつ、右のページには、その音で始まる絵が描いてある。いわゆる子供向けの「あいうえおの本」。

    この本は、大工の手仕事や、日本の古くからあるモチーフの回顧が意識されているのだが、そもそも本の発刊が1976年ということもあり、二重のタイムラグでさすがに絵のチョイスが古い感じは否めない。紙の切符、ソロバン、筆、果ては、周り燈籠(これは自分も調べてしまった)、、なんて、今の子供達の身の回りでは、見つけるのも困難になってきている。そういう意味では、少し時代とずれてきてしまっている。

    にもかかわらずとても魅力的なのは、安野光雅さんの心遣いというか、本人も楽しんで描いたのが伝わるような1ページ1ページの絵柄たちだ。

    「あんパン」の横には「アリ」が歩いていたり、「おかめ」と「おに」の「お面」が並んでいたり、「みかん」が「みこし」に乗っていたり。。

    さらにその絵柄の周りに唐草文様のような装飾があるのだが、よく見るとこれが全ページ違っていて、やはりそのページの頭文字で始まるモチーフが重なり合って出来ている。。たとえば「に」のページは、「人魚、にんにく、にら、にんじん、にしきぎ、にしん」といった具合で、大人でもぱっと見では分からないものも多い。子供と一緒になって大人も絵探しができる、というかむしろそっちがメインかもしれない。

    • 淳水堂さん
      clloudthickさん
      こんにちは。
      この本とても好きです!
      「さ」の「さんりんしゃ で さかだち する さる」とか、
      家や文字...
      clloudthickさん
      こんにちは。
      この本とても好きです!
      「さ」の「さんりんしゃ で さかだち する さる」とか、
      家や文字の絵が騙し絵になっていてみていて飽きません。
      繊細で丁寧で遊び心溢れた素敵な本ですよね。
      2021/08/28
    • clloudthickさん
      淳水堂さん
      こんにちは!
      淳水堂さんもお好きなんですね!

      そう、絵本は子供が楽しんでも大人は退屈したり、大人がいいと思っても子供にはつまら...
      淳水堂さん
      こんにちは!
      淳水堂さんもお好きなんですね!

      そう、絵本は子供が楽しんでも大人は退屈したり、大人がいいと思っても子供にはつまらなかったり、難しいなと思うことがあります。この本は、まさに飽きさせない心配りなんだなと思いました。

      あとは子供がハマってくれれば、、と思っています笑
      2021/08/30
  • 見開き左ページには自然の素材で作られた「あ・い・う・え・お」。
    右ページにはその音から始まる物が丁寧に繊細に素朴に書かれています。
    「あ」はあんぱんとあり、そしてアザミ・アリクイ・あひる・あさがお…。本当に沢山のものが描かれていますので、子供と一緒に「これは何?」って遊べます。
    絵を見るだけでも楽しめる、本当にいい絵本です。

  • まず、見開いた左側の文字の木目・繋ぎ目に見入ってしまった。
    右側の絵も想像力を働かせるようになっていて楽しい。

  • 手元にある本は、1978年2月増刷のもので、当時、小学校入学のお祝いに贈られたのだと思う。(この本と、『わたしジャネット1年生よ』という児童書、いったいだれにいただいたのだろう?)
    安野光雅にであった順番としては、秋の「もりのえほん(こどものとも)」、冬の「せいくらべ(かがくのとも)」、ついで三冊目が卒園入学の春のこの本だったのだと思う。この本はとにかくよくながめた。表紙の薬箱風のひきだしの取っ手がひとつこわれていたり、ページごとの枠の絵も木の質感もちがって、しかも立体的だけどありえない感じだったり、説明してくれる人もなく(いそがしかったのか、おとながいっしょに読んでくれた記憶はまるでない、クレヨンで字形をなぞっているぐらいだから、一人でながめていたんだろう)、ただ、精緻な木製のひらがなと写実的なのにあたたかくてときどきだましてくる挿絵、それに得も言われぬ線で描かれた飾り罫を、ふしぎだなどうなっているのかなあと見入っていて、それでじゅうぶんだった。

    ***
    ずっと家の本棚に入っていたのに、高3長女はいまになってであったらしい(早くから物語が読めるようになってそっちに行ってしまったのでであいそびれたのだろう)。巻末の手引を見るまでもなく、飾り枠に隠された絵までひとつひとつ発見して楽しんでいた。

  • 2017.2.22
    表紙から中まで、ひとつひとつ全てがしみじみいいなあ。そのうち訪れるであろう文字への興味の時期。その時は息子と一緒に絶対これを楽しむのだ。

  • ★★★★★
    手にとるたびに、新しい発見や楽しみ方がある。
    読み手にゆだねられている。
    (まっきー)

  • 『改訂新版 私たちの選んだ子どもの本』で知り、図書館で借りた。

    「長い歴史をかけてくぐり抜けたものの形には、樹木や雪と同じように、理に叶った美しさが備わっている。」(あとがきより)
    左側に50音のひらがな、右側にそのひらがなを頭文字にしたもの。
    さらに、それらをそれぞれ頭文字のついたものの白黒の絵で囲っている。

    表紙に「ん?」と思いながら、みはじめると、なんと美しい!
    最近、『あいうえおうさま』がいいと思ったばかりだけれど、こちらに乗り換えます。
    絵は一見すると精緻なのに、だまし絵風で一筋縄ではいかない。
    こういう絵本をみて考えて育ったら、あたまがよくなりそうだなぁ。笑
    囲みの絵の答え、最後に手引きがあるものの、難問だ。
    白黒だと色で判断するわけにいかず、特徴を捉えようとしてあたまの体操になる。
    わかったものだけ、塗り絵にしていくのもいいかも。
    買って損はしない絵本だと思う。

  • 左ページに木材を組み合わせて表されたあいうえおの文字、右ページにその文字を頭文字とする単語の絵。「あ」ではありとあんぱん。「き」の切手の柄が機関車で切符が北鎌倉↔︎木更津間の切符になっていたりするのも楽しい。
    メインの絵だけでなく、縁飾りのような絵の中にもその文字を頭文字とする動物や植物などが隠されている。動植物にせんまいどおしやたけうまなど人工物が混じっているのが不思議だったが、「長い歴史をくぐり抜けたもののかたちには、樹木や雪と同じように、理に叶った美しさが備わっている。」という安野さんのあとがきのことばに納得。

  • 小さい頃大好きな本でした。
    子供ながらに美しいと思って、それからいくつ安野光雅さんの本を手に取ったことか。
    同じように子供達も時折取り出しては、見入っています。
    出てくるものは、ここオーストラリアで果たして出会えるのか?なものが多いのですが、それでも、子供達はこの本で出会う鳥や植物に親しみを覚えているようです。

  • 何度読んでも楽しい。1ページだけ見ても楽しい。子どもの頃、見るたびに新しい発見をして、何度も読んだなつかしい記憶があります。

全82件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

安野光雅(あんの みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

「2023年 『文庫手帳2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安野光雅の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
なかの ひろたか
A.トルストイ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×