天動説の絵本 てんがうごいていたころのはなし

  • 福音館書店 (1979年8月7日発売)
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本 ・本 (48ページ) / ISBN・EAN: 9784834007510

感想・レビュー・書評

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  • 天動説を信じていた頃の人々が考えていた世界のお話。
    本も学校もないに等しい、ペストや自然災害は魔法使いの仕業、地動説を唱えた学者たちは裁判にかけられ処刑される、そんな時代。
    今は地動説が常識となっているが、地球は丸くて動くのは、決してあたりまえではないということ。
    あたりまえを疑って、衝撃の真実にたどり着いた瞬間、どんな思いだっただろう。
    あたりまえだと思っていたことに、こんなに歴史があって、こんなに感動の発見があったんだってことを教えてくれる絵本だった。

    • ひろさん
      亀さんの魔力でワープ!?してみたい~!
      「チ。」って題名からはまったく話の内容が想像つかないけど、なんかおもしろそうっ♪
      天動説と地動説、私...
      亀さんの魔力でワープ!?してみたい~!
      「チ。」って題名からはまったく話の内容が想像つかないけど、なんかおもしろそうっ♪
      天動説と地動説、私はドラえもんで学びました(*^^*)
      2024/07/08
    • 土瓶さん
      実は「チ。」は:;(∩´﹏`∩);:
      実は「チ。」は:;(∩´﹏`∩);:
      2024/07/08
    • ひろさん
      えっ?!なに?気になるー;;(∩´﹏`∩);;
      えっ?!なに?気になるー;;(∩´﹏`∩);;
      2024/07/09
  • 「天動説を信じていた時代の人々の世界の捉え方」に焦点を当てた珍しい絵本です。

     地球が太陽の周囲をまわっていることは、今では小学生でも知っている常識です。物知りな子なら、ガリレオが地動説を唱えて宗教裁判にかけられたことや、その350年後、ガリレオの正しさを認めたキリスト教会が彼の有罪判決を取り消したことまで、知っているかもしれません。
     
     科学史上もっともドラマティックなこのエピソードは、ガリレオを科学好きな子供たちのヒーローにしました。しかし、それはともすれば、ガリレオの知見を受け入れられなかった昔の人々を見下してしまう結果になりがちです。「そんなこともわからなかった昔の人は、なんて馬鹿だったんだろう」と。

     それではいけない、と作者は絵本を通して私たちに語りかけます。自分で宇宙を観測したわけでもないのに、「地動説は当たり前」と言うのでは、ガリレオを裁判にかけた人々と何も変わらない。それでは天動説の時代から何も学んでいないことになってしまう、と。

    「昔の人びとがまちがっていたことを理由に、古い時代を馬鹿にするような考え方が少しでもあってはいけません。今日の私たちが、私たちにとっての真理を手に入れるために、天動説の時代はどうしても必要だったのです。」(あとがきより)

     なぜ昔の人は天動説を信じていたのか。なぜ地動説を受け入れるまでに、これほどの犠牲と時間が必要だったのか。その歴史を知って初めて、地動説を理解したと言うことができるのです。地動説を唱えて火あぶりにされたブルーノのような犠牲者を再び出さないためにも、歴史を知ることが大切なのだと作者は強調します。

     科学の進歩がスピードを増し、10年前の常識が今日には通用しなくなる、そんな時代に私たちは生きています。私たちに必要なのは、知識そのものよりも、知識の信憑性を見極めることのできるリテラシーと、変化を受け入れることのできる柔軟性なのかもしれません。この美しい絵本は、そう諭してくれているように思えます。大人が読んでも面白い、奥の深い絵本です。

  • 安野光雅原画展へ行ってきました。
    原画展では、どの絵も見ているだけで、人のざわめき、風の音、温度まで感じるものでした。
    レンガ一つ一つが丁寧に描いてあり、それぞれの色も違うし、細部に渡り、味わい深く、いつまでも観ていたかったです。

    家にある、この絵本を改めて読み返して、安野先生の素晴らしさに感動です。さてお話の内容ですが、人間は人智及ばないことがあるのを認め、謙虚な時代があったのですね。安野先生の細かく描かれた人の姿が、顔が見えなくても、ポーズや、様子で、行動が見え、声が聞こえるようです。
    その後、人間たちが少しずつ智恵をつけていくにしても、考えの違う人間を排除した歴史があることは、ほんとうに残念です。智恵をつける中で、人間が最も学ばなければならないのは、『愛』についてなのだと思います。人々の心も地球のように丸くなるといいですね。完全な円ではなくて、少しずつ違う個性を持った丸になりたいものです。

    • zeronana85さん
      くにちゃんさん、コメントをありがとうございます。
      わたしも旅の絵本シリーズが大好きです。
      安野先生の絵本の旅は、時代までタイムスリップできま...
      くにちゃんさん、コメントをありがとうございます。
      わたしも旅の絵本シリーズが大好きです。
      安野先生の絵本の旅は、時代までタイムスリップできますよね。エッセイが一緒になっている画集を読んでいると、家に居ながら旅ができるなんて、贅沢な・・・と酔いしれてしまいます
      2025/04/27
    • まいけるさん
      おはようございます。
      まいけるです。私は旅の絵本を読んだことがあります。
      zeronana85さんのおっしゃるようにまるい心で人を受け入れ、...
      おはようございます。
      まいけるです。私は旅の絵本を読んだことがあります。
      zeronana85さんのおっしゃるようにまるい心で人を受け入れ、接することができればいい世の中になりますよね。
      人智を超えた存在に対する畏敬はきっと必要だと思います。
      すてきなレビュー、ありがとうございます。
      2025/05/18
    • zeronana85さん
      まいけるさん、コメントをありがとうございます!
      宇宙の大いなる力に畏敬の念を抱きながらも、(宇宙から見たらちっぽけな)人間は、愛も欲も抱きな...
      まいけるさん、コメントをありがとうございます!
      宇宙の大いなる力に畏敬の念を抱きながらも、(宇宙から見たらちっぽけな)人間は、愛も欲も抱きながらも生きてきたことを思うと、人間、大好き、愛おしいです。
      旅も実際に現地へ赴き、体験からその国の生活、文化に触れたいと思いますが、そこは欲張らず、まずは誌上体験です・・・(^_^*)
      2025/05/18
  • 古文書のような、歴史書のような絵柄と文章の絵本。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    天動説が信じられていた時代について書かれた絵本。
    古文書に描かれたようの雰囲気の絵であり、過去の時代に描かれたものを現代で読んでいる感覚になりました。

    今でこそ、天動説ではなく地動説が正しいとされていますが、それを人々が「正しい説」と認めるまでには、これだけの年月と幾多の犠牲があったことを、この絵本は教えてくれます。
    一見、「なんで地動説を信じないんだよ?!」と思ってしまうかもしれませんが、物事を判断する指標は自分の経験則しかない時代、説の正しさを判断するための方法もわからなかった環境を考えると、おし黙るしかありません。
    そんな中で、新しい考え方を提唱するということは、まさに命がけだったのですね。

    小学校中級~大人まで、となっていますが、読み聞かせには難しい絵本です。
    自分のペースでゆっくりと読む方がいいかもしれません。

  • 地動説が認められるまでには、天動説が常識の時代がありました。
    今では地動説が正しいと教科書にも書かれていますが、辿り着くには大変な苦労がありました。
    地動説が納得されるには天動説が必要で、その時代も説も無くてはならないものだったのです。
    そんな濃い内容が児童向けの絵本になった一冊。

  • 1979年
    絵:素晴らしい
    内容:わかりやすい

    天動説時代の人の考え
    ・星は優しい神々に違いない
    ・天国の反対は地獄→地獄には悪魔がいる→悪魔の召し使いが魔法使い
    ペスト、麦の育ちが悪い、雨が降らないのは全部魔法使いのせい→何でもない人が疑いをかけられた

    ・船乗りたちの間には地面は丸いらしい という噂があった
    ・北の天文学者は、天の星が動くのではなく、 私たちの立っている地面の方が動くと考えた方がいいと言い始めた
    ・南の天文学者は裁判で地動説は間違いと言わなくてはいけなかった

    何かを、誰かを敵にすると、人々はまとまりやすいと言う
    今回の敵は魔法使いだった
    言いがかり極まりない
    自分を守るため相手を攻撃する

    今も昔も人間の大筋は変わらない

  • この絵がすごい。
    最後こんな!地球って回ってんだねー。M13

    ちびちゃんの音読用に借りたけど、内容が思ったよりも難しい。天動説と地動説の説明が子ども向けに描かれた絵本と思っていたら、違ってたし。
    でも、人間がいろいろと考えて迷って、行動して、だから、今があってということがじんわりと伝わる素敵な絵本だった。
    ページを捲るたびに平らな地面に曲線が出てきて、この上に描かれる人々の生活や事件が何度見ても飽きない。
    人々の歴史を旅する絵本。

  • 赤羽末吉のエッセイでは、この本の出来栄えをあまり褒めていなかったけれど、やっぱり安野光雅氏ならではのつくりになっている。枠・フレームの塩梅、紙のエイジング具合、どこをどう切り取っても安野光雅なのだ。

  • ある野猫の研究者から聞いたことがある。「夜行性である」という6文字でさえ、膨大な時間を費やし観察したデータがなければ書けないのだと。

  •  昨年末、画家の安野光雅さんが亡くなったそうです。ぼくはいわゆる前期高齢者の年代ですが、30代、子育ての頃に大活躍されていた安野さんの絵本に出会えたことを、本当にラッキーで、幸せだったと思います。我が家の子供たちが、好きだったかどうか、それはわかりませんが、家に子供がいる大人であった自分がとても引き込まれた絵本がたくさんあったことは間違いありません。
     家にあった、この「天動説の絵本」の感想を書きました。読んでみてください。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202101180000/

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著者プロフィール

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『安野光雅文集』(全6巻)『片想い百人一首』などがある。2020年、没。

「2024年 『文庫手帳2025』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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