つるにょうぼう (日本傑作絵本シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834007572

感想・レビュー・書評

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  • よく知っている鶴の恩返しはお爺さんとお婆さんだけど、このお話は若い男の人。

  • 「つるにょうぼう」と「つるのおんがえし」は同じお話。
    タイトルで、お話の中の秘密がすでに明かされているのがスゴイ。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    夫に「つるにょうぼう知ってる?」とこの絵本を見せたら「知らない」と言われたのですが、よくよく聞いてみると「つるにょうぼう」=「つるのおんがえし」とつながらなかった様子。
    これはきっと、翻訳本や昔話あるあるかもしれませんね。
    ちなみに小2の娘は「つるのおんがえし」を読んだことがあったそうです。

    「つるにょうぼう」のすごいところは、謎の女房の正体をすでにタイトルで明かしているにも関わらず、おもしろいところです。
    女房の正体を知っていても、そこに肉付けされたエピソードが魅力的であれば、おもしろさを感じるのですね。

    「女房」「用足し」「介抱」「あえかな声」など、小2では難しい言葉もありましたが、読み終えてから辞書をひいてみたりしました。
    特に「あえかな声」は、わたしも意味がわからず、辞書で始めて意味を知ることができ、とてもタメになりました。

    またお話の肝である「はた織り」も、娘は見たことがなくて「??」となっていました。
    こういう昔の技術を目で見て知っていることは、昔の暮らしを知るということだけでなく、昔話を楽しむことにもつながるんだな…と思いました。

    女房は3回はた織りをするのですが、そのときの女房のシルエットの変化からも、容易に女房の正体がわかるようになっています。
    そして、だんだんと人間の姿を保てなくなっていることを“絵で見せる、感じさせる”ことで、女房が弱っていることも伝えています。
    特に最後のシーンは4ページを使って、主人公・よ平と女房のあいだにできてしまった、埋められない距離感を印象づけています。
    よ平が、欲に目がくらんで手離してしまった本当の幸せ、そしてそれはもう二度と戻らないものであることを教えてくれたラスト。
    本当の幸せとは何か、あらためて考えるきっかけをくれる昔話です。

  • ツルの恩返し。昔話の絵はこれくらい哀愁がある方が好き。

  • 8分
    遠目がきく
    中学年から
    きれいな日本語と挿絵は、矢川澄子と赤羽末吉。

  • よ平さんの理不尽さが強調された内容。
    金は人を変える。
    楽しく暮らしてる間に仕事せい。
    まあそれは嫁さんもそうだったのかもしれないけど。
    そう考えると七夕の話にも通ずるところがあるのかな。

  • [幻想的な美しさにあふれる鶴女房のお話の決定版。若者と鶴との哀しい物語が、数ある再話を凌駕する洗練された文章と目もあやな画面ですばらしい絵本になりました。]

    「雪の日、傷ついた鶴を助けたよ平。鶴は娘の姿になり恩返しに機をおりますが、欲にかられたよ平が見たものは?ラストシーンが美しい」
    (村上淳子『その本読みたい』)

  • 絵が美しい、日本語が美しい。

    ほとほととたたく
    たえいるような、あえかな声
    すぎたしあわせでした

    声に出して読むのが心地よい。
    音読すると自分の下手さをひしひしと感じる絵本もあれば
    口が自然と滑らかに動くような上手くなったと錯覚する絵本もあるけど
    これは後者。

    赤羽末吉さんの絵の素晴らしさ。
    最後の文字のない見開きページの美しさと哀しさ。

  • つるのおんがえしの絵本は沢山ありますが、こちらは赤羽末吉さんの絵と矢川澄子さんの文章が、大人っぽい一冊。

    最後に鶴が飛び去る場面は余韻を残して、特に美しい。

  • 人間の金銭欲。物を作るとは血と汗の結晶。その場面は一人苦労する。

  • よ平、三日三晩、四日四晩、五日目、血だらけの鶴

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著者プロフィール

東京生まれ。東京大学文学部美学美術史学科中退。著書に『架空の庭』『わたしのメルヘン散歩』、翻訳書に『おばけリンゴ』(福音館書店)、『キスなんて大きらい』(文化出版局)、「ババール」のシリーズ(評論社)ほか多数。

「2018年 『タイコたたきの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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