こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

  • 福音館書店 (1989年7月2日発売)
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感想 : 651
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  • 本 ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834008302

感想・レビュー・書評

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  • あきが生まれる前からベビーベッドそばで待っていた、こん♡こん♡なんて愛らしいの♡
    だから、こんはお兄ちゃんなんだよね。ずっとあきを見守って、一緒に遊んだり、引き摺られたりして…やがてあきのほうが大きくなって、こんはボロボロになったけれど、「だいじょうぶ。おばあちゃんに直してもらいに行けばいいから」。
    こんを作ってくれたおばあちゃんに会いにいくため、あきはこんと二人だけで、電車に乗って砂丘町に旅に出ました。
    子どもだけの旅は不安だけれど、平気平気。こんが「大丈夫だよ」って言ってくれる。駅弁を買いに行ってくれて、電車に乗り遅れそうになって、扉にしっぽを挟まれても「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。砂丘で犬に咥えられて、行方不明になって、あきが泣きながら砂丘の砂を掘り返してこんを見つけ出した時も「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。
    やっと夕闇の中迎えに来てくれたおばあちゃんに抱きついた、こんとあき。
    「しっぽがぺちゃんこになったときはお風呂がいちばん」とお風呂に入れられる時には「いやだよー」とこんは逃げそうになった。
    でも三人で気持ちよくお風呂に入り、無事こんは、優しいおばあちゃんにチクチク、チクチクと直してもらいました。

  • かわいいくて、優しいタッチの絵です
    こんとあきの大冒険!!
    旅は成長させるって言うけど、ページを繰るたびにそれを感じました!

  • しばらくぶりに読んでみる。
    読み聞かせでは何度もお世話になった絵本。

    こんは、あきがうまれる前から待っていて、あきが大きくなるまでずっとそばでいた。
    ちっちゃいときは、こんなにかわいいなんて知らなくて嬉しくて胸がどきどきしたけれど、大きくなるとこんのほうが古くなってきた。
    だけど、おばあちゃんちに帰る旅ではまるでおかあさんのようにあきの世話をやいてお弁当まで買いに行くほど。
    さきゅうで足跡を辿って歩いているうちに犬に咥えられ埋められてしまったこんを助けたのはあきで、あきにおぶられておばあちゃんの家に着くまでは、今度はあきがおかあさんのようで。
    おばあちゃんの家で、ぼろぼろになった身体を元通りにしてもらいお風呂に入り綺麗になれば、生き返ったよう。
    こんとあきは、いつもいっしょがまだ続くのだろうと予感できるのは嬉しい。


  •  言わずと知れた名作絵本で、1989年に初版が発行されて以来、2005年の4月には第59刷と、僅か16年間でこの数値は、はっきり言って驚異的だと感じられた、その理由について私なりに色々と考えてみたくなった。

     実は正直なところ、何度も繰り返し読んではみたものの、これは大好きな作品だとか、素晴らしいとか、教えられるものがあったといった印象を抱くことができず、林明子さんの物語や絵は、ありふれたものでありながらとても素敵なのに、その世界観の設定に少し気になる点があった。

     まずは「こん」という、きつねのぬいぐるみが動いたり話したりすることが、当たり前の世界であること、そして、最初は赤ちゃんの姿から登場する「あき」の両親が、全く登場しないことであり、特に後者に至っては「こん」が「さきゅうまち」から、遥々と「あき」の家にやって来た理由が、おばあちゃんから赤ちゃんの「あき」のお守りを頼まれたからであることに、どこか謎めいた感じがあったが、その後、お守りだけに留まらず、「あき」と遊ぶのが大好きになった「こん」を見て、これは正真正銘、子どものために描かれた絵本なのだということに気付く。

     それはおそらく、私が感情移入をする余地が無いほどに、ふたりの間柄だけで既に完結している子どもを中心とした世界だったからなのだと思い、そこでは「こん」と「あき」だけにスポットを当てたかったから両親は登場させず、終始ふたりの視点で物語が進むのも、子どもの見た世界を読み手(子ども)に、そのまま体感させたかったからなのだと思い、そこには読み手(大人)にとって、なんて理不尽なことをさせるんだといった怒りや悲しみのような共感めいたものはなく、そこで展開されるのは、ただ「こん」と「あき」の思うがままに生きている姿だけなのであり、所々泣いてしまう出来事も起こるけれど、それもきっと何とかなるよということが根拠無く実感できるような感じというか、そうした楽観的ムードも含めて、この絵本の世界は子どものための世界なのではないかと感じられた時、なぜ子どもたちが何度も繰り返し読みたがるのか、分かるような気がした。

     そして改めて、そうした視点で読んでみると、「こん」と「あき」が幼い頃から常に一緒に長い歳月を生きてきたこと、だから『わたしも つれてって』と「あき」がすぐに反応したり、目の前で怖いことが起こっても当たり前のように「こん」を助けに行き、「こん」は常に「あき」を安心させたくて、『だいじょうぶ、だいじょうぶ』と何度も繰り返す、そんなふたりの人生は時に危うさを見せるように思われても、幼い頃、なんで人生はこんなに辛いのだろうと意識することが無かったように、いろいろあったけれど、気が付いたら無事に一日が終わっていた、そんな日常的感覚と、子どもがぬいぐるみに抱く、かけがえのない大切な思いとが見事に結び付いた作品なんだと感じられた。

     また、そんなふたりの日常を支えているのが、車掌さんやおばあちゃんといった周りの大人たちの存在というのも、この絵本での重要な点と思い、それは子どもが思いのままに活き活きと成長していくためには、大人たちの存在が欠かせないものであることを強調しているようにも思われた、子どもにとって、理想の世界の在り方の一つなのだと。

     最後に、印象的な裏表紙について、砂丘に書かれた「こん」と「あき」の文字と、ふたりの足跡は、子どもたちにとって、ふたりは夢物語では無くて確かに存在するんだよという、希望を与えてくれると共に、その中に一本だけ顔を出している、名前も分からぬ草の存在は、たとえ何が起ころうとも決して絶えることの無い、ふたりの友情を表しているのだろうと私には思われた、どこまでも子どもたちに夢を与えてくれる絵本だ。


     それからタイトルを見ていると、どうしても『ぐりとぐら』を思い出させる、こんなところも素敵なのでしょうね。

  • 「あき」にとって「こん」は大切な存在。こん の「だいじょうぶ だいじょうぶ」という支えがあるから、あき は、冒険できたんだね。 こん(おばあちゃんが作ってくれた ぬいぐるみ) を通じて、「内なる自分との対話」してるともいえるかなぁ…と、感じました。あき の成長物語( ^ω^ )。林明子さんの絵は あったかくて、いいですね。

    • thehinoさん
      わかります!絵の暖かさと、話があっていて好きです。
      わかります!絵の暖かさと、話があっていて好きです。
      2024/02/24
    • workmaさん
      林明子さんがお好きなんですね(*^^*)
      林明子さんの絵本、ほとんどの有名どころ読み、初期と最近とで比べると…絵が洗練されたなあ〜と。初期も...
      林明子さんがお好きなんですね(*^^*)
      林明子さんの絵本、ほとんどの有名どころ読み、初期と最近とで比べると…絵が洗練されたなあ〜と。初期も最近もどちらもいいですね。
      2024/02/24
  • こんとあきの大冒険。
    あぁ、子どもの頃のまだ純粋だった心を思い出す。
    はじめての経験はドキドキワクワクするもの。
    不安を勇気に変えたふたりの友情に胸が熱くなった。

    こんは、おばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ。
    こんとあきは生まれたときからずっと一緒。
    あきの成長とともに、こんは古くなり腕がほころびてしまった。
    そこで、おばあちゃん家まで電車で向かうことに。

    途中、いろんなアクシデントがありながらも、こんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきを励まし続ける。
    あきも、歩けなくなったこんを背負って広大な砂丘を必死に歩いていく。
    助け合いながらおばあちゃん家に向かうふたり。
    がんばれ、がんばれと応援しながら読んだ。

    読み聞かせ中、5歳児と3歳児も真剣な顔。私はおばあちゃんの気持ちに、子どもはこんとあきの気持ちになって読んだ。
    こころの汚れを洗い落としてくれるような素敵な絵本だった。

  • 息子が借りたいと言って借りてきた本。
    とても良い!!絵もお話もすごく素敵で手元に置きたくなりめした。

    しっかり者のこん、何だかカッコいいなぁ!

  • 林明子さんの絵本って現実の一場面を切り取ったお話が多いイメージでした。
    これはお人形のコンが、”あき”と一緒におばあちゃん家に行くお話し。コンがおしゃべりしたり、お弁当を買ってきてくれたり…。

    子供にとっての現実(お人形がお話ししたり、動いたり)と、大人の現実が交錯して描かれている。
    きっと、子供から見た”本当の世界”を描いているんだろうと感じた。
    子供の愛らしさ、愛おしさを、繊細に、丁寧に描かれている絵本だと思います。

    • nejidonさん
      スキッパーさん♪
      これは名作ですよね‼ 私も大好きです。
      林明子さんのお話は優しくて繊細で説得力があって、心に残るものが多いです。
      古...
      スキッパーさん♪
      これは名作ですよね‼ 私も大好きです。
      林明子さんのお話は優しくて繊細で説得力があって、心に残るものが多いです。
      古くても支持されるのは、そこかしらね。
      嬉しくてコメントしました。ありがとうございます‼
      2020/08/29
    • スキッパーさん
      nejidonさん

      何気ない日常の一場面なのに、子供への愛情や優しさが詰まってますよね!説得力、本当にその通りだと思います!
      親になってか...
      nejidonさん

      何気ない日常の一場面なのに、子供への愛情や優しさが詰まってますよね!説得力、本当にその通りだと思います!
      親になってからより好きになった絵本です。

      いつもイイねもありがとうございます!
      コメントもいただけて嬉しかったです( ꈍᴗꈍ)
      2020/08/29
  • 子どもが小さい頃に読み聞かせをした時は、ふつうに「こん、大変だね」ぐらいに思っていたけれど、人生経験を重ねてから読むとまったく違って読めた。
    驚きしかない。

    あき=子どもの精神的自立、「こん」はあきの内的な世界、自分自身に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせることで不安を直視しないようにしているとも思えるし、周囲の大人の「大丈夫、大丈夫」だけでは、自立への根本的解決にはならず、その大人(こん)が、いなくなって、瀕死になって(鳥取砂丘)で、はじめてあきが、わたしがしっかりしなければと、立ち上がる感じ。
    「おばあちゃん」という、圧倒的拠り所の存在

    と、ものすごい深い絵本に感じるまでになってしまった。
    でも、絵本はふつうに、こん可愛いね
    くらいで楽しみたい。
    気もする。

    鳥取砂丘というと、どうしても「こんとあき」のイメージがやってくる。絵本ってすごいな。

  • お話の最後の「良かった!」という言葉。読者もこんとあきと一緒に冒険を追体験するからこそ、最後の「良かった!」が心に響きました。うちの娘はハラハラし過ぎてか、口を半開きにして集中しながら私の朗読を聴いていました。

    砂丘で〝こん〟がボロボロになってしまい、心細く歩き出す〝あき〟。
    その時、あきのおばあちゃんが道の向こう側で心配そうに立っている姿を見つけます。その時の安堵感と、おばあちゃんは何でこんなに温かい存在なのだろうと、読みながら泣きそうになってしまいました。

    ちなみに娘たちは、この場面よりも〝こん〟が電車のドアに尻尾を挟まれ、お弁当を持って立ちすくんでいるところがお気に入りのようでした。ドア付近でお弁当を食べているのが、可笑しかったようです。

    • Reyさん
      Macomi55 さん
      コメント、ありがとうございます♪ Macomi55 さんも「こんとあき」をよく読み聞かせされていたんですね。共感でき...
      Macomi55 さん
      コメント、ありがとうございます♪ Macomi55 さんも「こんとあき」をよく読み聞かせされていたんですね。共感できて嬉しいです!我が家もお気に入りの絵本になり、最近は毎晩読んでいます。お風呂のところ、可愛いですよね。

      元関西在住の私は、あきちゃんは関西方面から鳥取砂丘に向かったのか?九州方面から向かったのか?気になりながら読んでいました
      2022/12/06
    • Macomi55さん
      Reyさん
      もう関西人じゃないのですね。あらさみしい。
      そういえばそうですね。関西方面からか九州方面からか考えてなかったです。でも、子供の旅...
      Reyさん
      もう関西人じゃないのですね。あらさみしい。
      そういえばそうですね。関西方面からか九州方面からか考えてなかったです。でも、子供の旅なので、同じ鳥取県内かもしれないですね。
      こんは、あきが生まれる前から待っていて、お姉さんかお兄さんなのに、こんだけ小さいままで古くなっちゃって、ちょっと切ないですね。
      2022/12/06
    • Reyさん
      Macomi55 さん
      またいつか関西には戻る予定で、心は関西人のままです(←いらん情報ですいません)。なので、先日のMacomi55 さん...
      Macomi55 さん
      またいつか関西には戻る予定で、心は関西人のままです(←いらん情報ですいません)。なので、先日のMacomi55 さんの関西フィルのレビューなど、いつか行くかもしれないのでとても参考になりました☺︎

      確かに、子どもの旅ですもんね。子ども目線になるとすごい長旅のような気がしてしまいました。成長しないこん‥切ないですね‥。
      2022/12/07
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著者プロフィール

林明子

「2013年 『文庫版 魔女の宅急便 全6冊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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