ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)

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  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834009668

感想・レビュー・書評

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  •  「長新太」さんの絵本といえば、『ユーモラスな展開と不条理な筋立て』で有名だそうですが、本書は「母の友」でもお勧めされていた、子ども受けの良い絵本でもあり、さらに対象年齢を見てみると、2才から大人までと幅広く、これは何か面白いものがあるのではと思い、早速読んでみようと思います。


     物語は、海の上にでーんと浮かぶ飛行機に乗り込もうと、猫たちがゴムボートを漕ぎながら現れる絵に対して、「ひこうきは ごろごろ、ねこたちは にゃーん にゃーん ないています」の文章が添えられているのだが・・この「ひこうきは ごろごろ」というのは、おそらくそこにずっといるといった意味なんだろうけど、この飛行機、なんとなく魚に見えなくもないところが、まずは面白く、まるでそこに群がっているように見える猫たちも面白いけど、この猫たち、どこから来たんだろう?

     「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、ひこうきは とんでいきます」

     次のページを捲ると、上記の文章と、空を飛ぶ飛行機の窓から、それぞれ猫たちの顔が見える絵で、特に文章との違和感はなさそうだけど、この飛行機を誰が運転しているのかが気になり、一応、魚の頭部みたいに線引きした先の窓に見える猫かなと思う。

     「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、ひこうきは とんでいきます」

     次のページは、どこから出ているのか知らないが、釣り糸らしきものが複数、飛行機から垂れており、それに魚が食いついている絵に対して、同じ文章なのを見て・・・ああ、そういうことかと思い始めて、その次のページになると、それを美味しそうに食べている猫たちが窓から見える中、やはり同じ文章。

     更にページを捲ると、結構大迫力なクジラに追われていて飛行機に危機が迫る絵に、これはどうなるんだと思った次のページには、何事も無かったかのように山の上を飛んでいる絵となっていることに、吉本新喜劇ばりにずっこける中、更にその先も色々と突っ込みどころがありそうな絵の中を、文章はあくまでマイペースに変わらぬままで、飛行機からも全く動じない様子がありありと分かる様子に、これは不条理というよりは、『徒然なるままに……』の風の赴くまま気楽に行こうといった気持ち、プラス『禅のこころ』といった、ありのままの自分を見つめ続けて無限の可能性に気付くといった、そんな深さがあるようにも思えてきて、絵の中には、犬に対する優しさや、シンプルな景色に思わずハッとさせられるものもあったりと、決して不条理なだけではない普遍的なものもあるような気がする。

     とは書きつつも、本書はフォローしている方々が書いているように、同じ文章がひたすら続くことの面白さだと私も感じ、これは実際に声に出して読んでみれば分かるのですが、ページの絵は変わってゆくのに、文章はいつも、

    「ごろごろ にゃーん ごろごろ にゃーん と、ひこうきは とんでいきます」

    の繰り返しに、何故か読んでいる方が可笑しくなってきて、吹き出してしまうといった楽しさには、聞いている方も途中から、「ごろごろにゃーん」と、思わず一緒に声に出さずにはいられない、日本語独自の面白さの妙を堪能出来るとともに、ある意味、読み手の技量も問われるのではないかと思います。

    • ひろさん
      たださん、はじめまして。ひろと申します。
      いつも、たださんのレビュー楽しみに読ませていただいています(*^^*)
      こちらはうちの子どもたちが...
      たださん、はじめまして。ひろと申します。
      いつも、たださんのレビュー楽しみに読ませていただいています(*^^*)
      こちらはうちの子どもたちが好きな絵本のひとつだったので、嬉しくなってしまいました♪
      「ごろごろにゃーん」のリズムと言葉の響きが心地よく面白いですよね。
      子どもに読み聞かせていると、いつの間にか「ごろごろにゃーん」の大合唱となります(笑)
      それだけではなくて、絵から感じ取れることもたくさんあるのだなぁ、深いなぁと、たださんのレビューを読んでいて気づかされました!
      素敵なレビューありがとうございます。
      2023/08/23
    • たださん
      ひろさん、はじめまして。ただと申します。
      御丁寧なコメントを下さり、ありがとうございます。
      こちらこそ、ひろさんのレビューを、いつも楽しみに...
      ひろさん、はじめまして。ただと申します。
      御丁寧なコメントを下さり、ありがとうございます。
      こちらこそ、ひろさんのレビューを、いつも楽しみに拝見しておりまして、この前、早速一冊登録させていただきました(^_^)

      お子さんたちの好きな絵本だそうで、つい言いたくなってしまう魔法のような「ごろごろにゃーん」の言葉の凄さですよね。
      ひろさんの文面から、その楽しそうな様子が覗えて、読んでいる私も微笑ましい気持ちになりました。
      ありがとうございます。

      今後とも、どうぞよろしくお願いいたします(^-^)
      2023/08/24
    • ひろさん
      たださん、お返事ありがとうございます!
      とても嬉しいですっ♪
      こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします( ˊᵕˋ* )
      たださん、お返事ありがとうございます!
      とても嬉しいですっ♪
      こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします( ˊᵕˋ* )
      2023/08/24
  • 長新太さんってなんか何も変わらない文章に少しずつ変わっていく絵で進んでいくのがなんだかじわじわと妙に心に残るのよね。
    一体なんだったんだろう…と思うのもまた良し。なんだろうな。
    正解がない絵本っていうのかな。

  • 『ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と…』の繰り返し。それが 楽しい。ここちよい。こどもってこういうのすきよな。安心するんやろうな。
    あたまがかたくなっちゃった おとなは「なにこれ?」「意味がわかんない」「絵がかわいくない」などの感想かもしれないけれど。こどもはすんなり受け入れるんですよね。『感性』かなぁ。だれでも『こども』だったときはあるけど、人によって経験が異なるから、長さんの世界が好きじゃない人もいるし、好きな人もいる。
    「いろんな人やいろんな見方があっていいんだよ…。ぼくはこういうのが好きだよ。あなたはどうかな?」って、長さんが あたたかく見守ってくれてる気がするんですよね…絵本を通じて。
    日常的に「ああしろ こうしろ」っていう大人からのメッセージに辟易してる子どもは多いんじゃないかな?
    『見えないけど存在する世界』『聞こえないくらいの小さな声の存在』を、自然などの動植物、絵本や 子どもから教えてもらってます。
    あわわ…ヽ(;´Д`)ノ まじめに語ってしまった… 話は代わり、先日、コガネムシとカナブンの見分け方を年長組男子から教えてもらい勉強になりました。つまり、こどもから教わることって多いな~。大人から一方的じゃなくて、双方向ってだいじ!
    こどものことが知りたかったら、大人が『自分がこどもだった頃』を思い出して、こどもの心のままこどもの世界へ飛び込め!ってこと。そうしたら大人と子どもが『対等』に話ができるということ…それが信頼関係ってこと!
    「この人には何を言っても否定されない。ありのままの自分を受け入れてくれる」という安心感が得られると、子どもも大人を受け入れてくれる…それが信頼関係構築です。…という発達心理学の理論です。(ФωФ)
    うぅ…最後に笑い、って難しいね_(^^;)ゞ 修行せねば。

  • 同著の「キャベツくんとブタヤマさん」も随分と不思議なお話なのですが、本書はオチすらよくわからない。いや、オチなんて頭で考えてはいけないのかもしれない。絵本の後半、聞き手側の子どもが黙っているのを我慢できず、「ごろごろにゃーん」と読み手側と一緒に言ってしまう。中毒性のある絵本。

  • わずか3、4分で読み終えるけど、しまった!ハマってしまった!と後から気づく一冊。
    「ごろごろにゃーん」というフレーズを、気が付くと繰り返している自分がいるのだ。
    読んでいる最中も可笑しくて可笑しくて、しばしば吹き出してしまった。
    これ、お話会で笑わずに最後まで読めるかな?
    こんな可笑しな作品を描く長新太さんには、またしても脱帽。

    ページをめくるごとに繰りかえされる「ごろごろにゃーん」のフレーズ。
    挿絵の猫と飛行機が、そのたびに変化していく。
    あるときは飛行機から猫たちが魚釣りをしていたり、UFOに遭遇したり。
    単純な言葉の繰り返しとは裏腹に、場面の変化をどんどん楽しむ作りだ。
    2歳くらいからOK。おうちで一緒に読めたら楽しいだろうなぁ。

    • 8minaさん
      nejidonさん
      「ごろごろにゃーん」の繰り返しで続いていく猫達のお話し。子供が小さいころはまって、布団のなかで転がりながら、ごろごろに...
      nejidonさん
      「ごろごろにゃーん」の繰り返しで続いていく猫達のお話し。子供が小さいころはまって、布団のなかで転がりながら、ごろごろにゃーんとやっていたのを思い出します。楽しいお話しですね。
      2013/11/02
    • nejidonさん
      8minaさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      お子さんが小さい時、お布団の中で転がりながら?
      うわぁ、いいなぁ。楽しそ...
      8minaさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      お子さんが小さい時、お布団の中で転がりながら?
      うわぁ、いいなぁ。楽しそうですね。
      私もやってみたいけど、残念ながらもう彼らは大きくなってしまい、なかなか一緒に遊んでくれません。
      今夜ひとりでやってみようかな(笑)
      読んだ後から笑いがこみ上げる不思議な本ですよね。
      2013/11/04
  • 母にとっては謎作だが、子供達の目が輝く絵本。
    食い入るように見入ったり、ゲラゲラ笑ったり。
    大小の感覚がかき回されて楽しい!

  • 「ぼくのクレヨン」に続ぎ、2冊目のちょうちんたたん(長新太さん)の絵本。まさかのこれも息子のお気に入りになってしまった。でも疲れてる日は逆に「ごろごろにゃ〰ん、ごろごろにゃ〰んと・・・」の繰り返しが気持ち良く寝てしまいそうになって、でも読みたくて頑張って目を開けようとしてる、その顔に笑ってしまう。

  • 図書館本で読み聞かせ。
    1y10m
    読んでと持ってくるが、途中で飽きてしまった。

  • どこかの大きな水面に、ぷかりと浮かんだトビウオ型の飛行機。ボートでこぎ着けたねこたちが乗り込めば、さあ出発。ごろごろにゃーんごろごろにゃーんと飛行機は飛んでいく。まず、魚を釣って喜ぶねこたち。クジラに襲われそうになっても、雨や嵐に会っても、円盤と遭遇しても、飛行機は飛んで行く。大きなへびも、高層ビルも犬の群れも飛び越えて、また元の場所に戻る。

  • Thema 猫 ナンセンス 絵で楽しむ

    2016.06の刑部小にて使用。
    予想外に、子供に大ウケ!
    子供の喜ぶ絵本って、ほんま分からん!笑

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著者プロフィール

1927年、東京に生まれる。漫画、絵本、イラストレーション、エッセイなどさまざまな分野で活躍。絵本に、『おしゃべりなたまごやき』(文芸春秋漫画賞)、『ぞうのたまごのたまごやき』(小学館絵画賞)、『ふゆめがっしょうだん』(絵本にっぽん大賞・以上福音館書店)、『はるですよふくろうおばさん』(講談社出版文化賞絵本賞・講談社)、『さかさまライオン』(絵本にっぽん賞)、『ゴムあたまポンたろう』(日本絵本賞・以上童心社)、『キャベツくん』(絵本にっぽん大賞・文研出版)など多数ある。巌谷小波文芸賞受賞。路傍の石幼少年文学賞受賞。

「2018年 『やまがあるいたよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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