鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)

  • 福音館書店 (1989年11月17日発売)
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感想 : 9
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  • 本 ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834010015

感想・レビュー・書評

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  • 節分に向けて。
    暦の上で、春の始まり、そして1年の始まりを立春といいます。立春の前の日が節分です。そのため節分とは、冬と春を分ける日であり、新しい1年を向かえるために鬼を追い払う行事を行います。

    さて、この「鬼が出た」は、鬼についての科学絵本ですが、
    鬼という言葉の意味、世界で鬼はどんなふうに描かれているのか、守り神にもなっている鬼の話など、多角的に解説されています。

    人々は、病気や貧困や争いごとなど、目には見えない底しれない力を持ったものを鬼として表現してきました。

    しかし怖い反面どことなく可愛らしい面も持ちます。
    地獄の鬼は閻魔大王に監視されて永遠に働かされているといわれたら人間より可哀想って思ってしまうし、仏教四天王に踏みつけられている鬼の彫刻のどことなくとぼけた顔の写真をみてふっと笑ってしまったり。
    大胆なイラストで「色々な鳥や獣の部分をつなぎ合わせる。人間に似させる」などの鬼のつくり方が描かれて、「ではこの絵に書かれた鬼は何と何とで作られているのかな?」と聞かれたら熱心に見てしまいますよね。

    そして鬼は怖いだけでなく守り神として祀られることもあります。鬼の意味である「かくれているもの」は、祖先の霊や自然の深い力のような、人間を守るものの象徴としても捉えているのです。

    美術館やお寺や実際のお祭りの写真がたくさん使われて、人間が鬼をどんなものだと考えてきたかが分かる1冊です。

  • あまりに面白いので、このまま鬼フェチになりそうだ。
    前述した図鑑と違い絵本だが、中学年くらいからなら楽しんで読めるだろうか。
    どちらかと言うと大人向けの絵本。
    30ページとは言えその内容は濃く、著者さんが様々な美術館・博物館・民芸館・図書館やお寺などを巡って取材した賜物のような作品だ。

    丑寅の方角(北東)を「鬼門」というが、それは「丑」と「寅」の顔を重ねると鬼の顔になるからだと、教わったことがある。
    たったそのひとつで、ちょっと知った気になっていた自分が本当に恥ずかしい。
    何せ知らないことの、オンパレードである。
    【子とろ 子とろ】遊びのもとは何か、風神・雷神の意味と七夕にも登場する鬼の存在、「おに」という言葉のそもそもの意味や、時には私たちを見守り救ってくれる鬼のことまで。
    また、世界の中ではどんな風に鬼が描かれているかが載っている。
    それぞれの土地の祭りに登場する鬼たちは、どんな役割を負っているのか、正しい理解の仕方がうながされると言う流れだ。
    見開きの「鬼のつくり方」が、イラストであるという以外は、載せられた資料は現存する絵巻や屏風絵である。
    子供によっては迫力のあまり恐怖を感じてしまうかもしれない。
    でもこの本の狙いはもちろんそこではない。
    終盤の京都・八坂神社の節分の鬼たちなどは、ほとんど神々しくさえ見えてくる。
    もっと研究を重ねれば私も、いつか、それなりの鬼になれるのだろうか(笑)

    「たくさんのふしぎ傑作集」の一冊。まさにたくさんの不思議があった。

  • いい本だなぁ!
    コンパクトながら、遊び、美術、文芸に歴史的な解説もしてあり、鬼を入口に時間や空間が広がっていく。
    こちらの視野も広がった気持ちになる1冊。

  • 鬼にまつわる、小咄。
    抜粋して、高学年へ読むのも◎

  • 鬼の事が分かって面白かった!

  • 古今東西鬼の紹介

    鬼のはじまりとか鬼の役割とか

  • 節分シーズンにぴったり。
    鬼ごっこに、お寺の天の邪鬼、七夕、風神雷神、桃太郎、酒天童子などの鬼や世界の鬼や日本の鬼の登場する祭りなど、この一冊で鬼がわかる!鬼の作り方(といっても工作じゃないよ)がおもしろい。(i44)

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著者プロフィール

大西 広(おおにし・ひろし):1956年生まれ。京都大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士後期課程修了。経済学博士(京都大学、89年)。立命館大学経済学部助教授、京都大学大学院経済学研究科助教授、同教授、慶應義塾大学経済学部教授を歴任。慶應義塾大学・京都大学名誉教授、世界政治経済学会副会長。著書に『マルクス経済学(第3版)』(慶應義塾大学出版会)、近著に『「人口ゼロ』の資本論」(講談社+α新書)『ウクライナ戦争と分断される世界』(本の泉社、国際アジア共同体学会岡倉天心記念賞受賞)、編著に『マルクス派数理政治経済学』(慶應義塾大学出版会)などがある。

「2024年 『バブルと資本主義が日本をつぶす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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