このゆきだるま だーれ? (日本傑作絵本シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834014341

感想・レビュー・書評

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  •  岸田衿子さんと山脇百合子さんのコンビによる、絵本は、「ねこどけい」(2016年)以来となるが、先に発表されたのは、こちらであり(1997年)、対象年齢が2才からというのも肯ける、シンプルな内容に、岸田さんの歌うような韻を踏んだ言葉遊びが加わることで、読み聞かせも面白い作品だと思います。

     その持ちやすいコンパクトなサイズや、ミントブルーの見返しも可愛らしい本書の表紙には、雪の降るのを嬉しそうに眺める、「もみ」ちゃんの姿があり、いったい何がそんなに楽しみなのかというと・・・。

    ちらら ほらら
    ひらら はらら
    ゆきが ふるふる

    もみちゃん
    そりが だーいすき

     というわけで、そりを引いて山の上を目指して歩く、もみちゃんを見た、動物たちも、いいな、いいなとばかりに、「乗ってもいい?」と集まって来て、総勢6名が、一台のそりに乗っかることになり、そんな一度にたくさん乗って大丈夫かなと思いつつも、そりは滑り始めた!

     すると、最初のジャンプで、りすくんが転がり落ちてしまい、その後も、そうした瘤やカーブなどで、一匹ずつ転がり落ちていき、結果、最後に残ったのは、もみちゃんだけになるという・・・まあ、取っ手を唯一掴んでたというのもあるんだけどね。

     でも、そんな転がっていく動物たちは、みんなどこか楽しそうで、その転がる度に雪が付く様子は、岸田さんの文章の配置で、どれだけその距離が長いのかも良く分かり、それはちょうど下記のような、

    ころがって
            ころがって
                    ころがって

    といった坂を転がっているようなイメージを与えてくれて、もみちゃんが平らな地面で、やっと止まったと思ったら、そこには見たことのない、5体の雪だるまが見事に並んでおり、ここでちょっとだけ飛び出ているものをヒントに、はたしてどれが誰でしょうか? といったクイズ形式なのも、きっと子どもには楽しい時間になると共に、まだ雪を見たことのない子どもにとっては、雪だるま自体に、とても興味を持つきっかけになるのだろうと思いました。


     スズキコージさんと作った、「かぞえうたのほん」もそうでしたが、岸田さんの言葉遊びには、それぞれの読み手を想定して作っている感があり、それが本書の場合、小さい子どもに見合った、分かりやすい音の響きで楽しませる印象が強く、例えば、ぶたさんが落っこちて転がる描写には、

    ころん すとん ぶー
    ころころ すととん ぶー

    となり、これが見た目が重そうなくまさんになると、

    どすん ごろ ごろん
    どてん ごろごろん
    どすんこ どてんこ ど しん!

    と、最後の「ど」と「しん」の間にタメを作って、まるで思い切り叩きつけられた、その音が聞こえてきそうな、迫力ある感じにしていて、これを読み聞かせで抑揚をつけてやれば、また面白いのではと思わせる、そんな子どもを楽しませたい気持ちが、こうした何気ない擬音に込められているのです。

     また、山脇百合子さんの絵には、私の好みもあるのかもしれないけど、なんで、こんなに心が洗われて癒されるのかなーと思いまして、そこには、もう物語の内容が、あまり関係ないようにも思われる中、ひとつ分かったことは、これは岸田さんだけでなく、あまんきみこさんも、そうなのですが、「ねこどけい」は別として、山脇さんと物語を作ると、皆さん大抵、動物たちの絵も人間と同じように、服を着て二本脚で歩くようにさせていて、それはまるで、山脇さんに、そのスタイルで是非描いてほしいようにも私には思われました。

     そして、それはもしかしたら、「ぐりとぐら」からずっと続いてきた、山脇さんの、動物も人間も等しい存在なのだという、そのどちらにも優しい眼差しが見事に絵となって表れた、本書の場合、その一緒に遊んでいる幸せいっぱいの姿に、皆さん惹かれているからなのだろうなと感じさせられて、上記では心配もしましたが、本当は、もみちゃんと動物たちが同じそりで、体を寄せ合いながら一緒に滑っている姿に、とても温かい感動を覚えていた私でした。

    • aoi-soraさん
      たださん、こんにちは^⁠_⁠^
      この本をは子供達と繰り返し読んだ思い出の本です。

      そうなんです、
      歌うような言葉が心地よくて、何度も何度も...
      たださん、こんにちは^⁠_⁠^
      この本をは子供達と繰り返し読んだ思い出の本です。

      そうなんです、
      歌うような言葉が心地よくて、何度も何度も声に出したくなるんですよね。
      温かな感想をありがとうございます!素敵です(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      2023/12/11
    • たださん
      aoi-soraさん、こんばんは(^-^)

      そんな思い出深い本だったなんて、読んでいる私も嬉しくなりました(´▽`)
      確かに物語同様、『何...
      aoi-soraさん、こんばんは(^-^)

      そんな思い出深い本だったなんて、読んでいる私も嬉しくなりました(´▽`)
      確かに物語同様、『何度も滑りたくなる=何度も読みたくなる魅力』があると思いまして、きっとお子さんたちも、もみちゃんや動物たちと、そりに乗って一緒に滑っている感覚を味わっていたのでしょうね。

      私が読んだら、もみちゃんと動物たちが仲良く遊んでいる姿に、何だか泣けてくるようで、素敵な絵本というのは、大人が読んでも心に訴え掛けるものがあることを、改めて実感させていただきました。

      こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございます(*'▽'*)
      2023/12/11
  • 図書館で借り。
    5歳児Wと一緒にこのゆきだるまは…うさぎさん!などと言いながら楽しんだ。

  • 絵が可愛らしくほっこりしました。
    赤ちゃんもよく見ていました。

  • 小さなお子さんに読んであげたら、喜ばれるかな。
    動物たちと女の子がそりにのり、転がった動物たちがゆきだるまに。

    小さなお子さんに「この雪だるまはだれかな?」なんて会話しながら楽しめるのでは?

  • ほのぼの安心♪

  • 絵もかわいいし、だーれといってもヒントが分かりやすくって、二才ぐらいでも分かって楽しい。

  • みんなでソリに乗って
    飛び下りて
    ゆきだるまになるはなし

  • みんなでソリに乗って滑っている間に1匹ずつ転がっていってしまい、最後には女の子だけ残る。
    残りの動物たちはみんな雪まみれで雪だるまに。
    そして、さあもう1回滑ろう。

    最初、ソリの話でどうやったら、雪だるまの話になるのかと思っていたら。
    動物たちはそれぞれに合った音で転がり落ちていく。

    もう1回滑るけれど、また落ちるのかなあ、と思うと思わず笑いそうになる。

  • ある雪の日、もみちゃんは動物たちとそり遊びをしますが…?

    雪だるまになってしまった動物たち、どれが誰なのかあててくださいね。

著者プロフィール

1929年、劇作家・岸田国士の長女として東京府豊多摩郡に生まれる。立教女学院小学校、立教女学院女学校を経て、東京芸術大学油絵科に入学。1955年、谷川俊太郎の勧めで第一詩集『忘れた秋』を発表し、詩人としてデビューした。童話作家としても活躍し、1966年には画家の中谷千代子とコンビを組んだ『かばくん』でドイツ児童図書賞を受賞した。1973年、『かえってきたきつね』で産経児童出版文化賞大賞を受賞。

「2019年 『岸田衿子の詩による無伴奏男声合唱曲 うたをうたうのはわすれても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸田衿子の作品

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