やまんば山のモッコたち (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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本棚登録 : 252
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834017236

作品紹介・あらすじ

“モッコ”とは、山に住むふしぎな生き物たちのこと。天狗に雷、河童に雪女に化け狐……。やまんば山には、個性豊かな仲間たちがいっぱいです。パワー満点の山姥、ぴちぴち元気なその娘まゆ、それに里村の男の子啓太がくり広げる冒険の数々が、いろどりにみちた季節の移りゆきを背景としてダイナミックに展開します。歯切れの良さとパンチ力が持ち味の「富安陽子ワールド」全開の連作童話集、一読すれば気分爽快、心は晴れ晴れ!

感想・レビュー・書評

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  • 山姥山にはたくさんのモッコ(妖怪のようなもの)が住み暮らしていると言われています。
    特に冬は人が立ち入れないので、モッコたちは特によく動き回ってくるということでした。
    そんな山の麓に住む啓太は冬の山姥山で生まれたばかりの山姥の娘の まゆ と友達になります。
    山姥の娘は生まれた日から雲に乗って空を駆け回るといいます。
    こうして まゆ は、力持ちで肝っ玉が座って気風の良い山姥お母ちゃんと、人間の男の子の啓太、大きいモッコや小さいモッコたちと大自然の中を駆け回り、雲に乗り空を飛び回り、食べて遊んで幸せな子供時代を過ごしています。

    絵本で「やまんばのむすめ まゆ のお話」シリーズがありますが、それに先立ち書かれたお話がまとめられている童話集です。
    いじわるな雪女から寒立馬(かんだちめ)を逃がそうとしたり、河童と相撲をとったり、ダイナミックなおひさまケーキを作ったり、光を無くした星を空に返したり。
    一つ一つのエピソードがダイナミックで大胆で実に自由奔放。モッコや人間や動物や違うものが共存している様子を感じられ、降矢奈々さんの挿絵も合っていて読みながらも自由な風を感じるような、実に幸せな童話集です。
    1年間の出来事を書いてラストは まゆ の1歳の誕生会。実に大胆なごちそうの山や、最初の話で喧嘩した雪女とも仲良くなったり、普段は元気いっぱいの まゆ がプレゼントのお人形に目を輝かせたり、実に幸せな光景でした。
    このお人形は、啓太のお母さんが啓太に「山姥のお嬢ちゃんの誕生会なら贈り物がいるやろ?」ともたせたものですが、この村では遊ぶのは子供だけではなく、大人たちもモッコたちを感じたり昔は自分も遊んだりしてつないでいってるのだなと思いました。

    幸せいっぱいですが自然の掟というか、「人の秘密を知りたがると、今に、秘密に仕返しされるで」「化けるんがちょいとうまいもんで、すぐ、いんげんをからかって、うれしがりよる。あたしは、おまえに、そんな仲間に、なってもらいたないんや」「あれは、溜池っていうてな、人間が作った池なんや。そういう池には、河童も、水の精も、一匹も、住んでへんのやで」などという言葉が現れ、それぞれ相手のいる場所を侵食ぜずまさに自然そのもので生きているのだと感じます。

  • えほんのまゆと同じかなぁ?と思いながら。
    (絵本の方はよんだことがあるのか、表紙を見ただけだったか、ちょっとよく覚えていなかったので……)

    文字量が多い中高学年向けの児童書だけれども、絵本のようなワクワクかんと安心感。それから、山姥のお母さんが、とっても素敵!
    季節をぐるっと一周する分のお話が、ぎゅぎゅっと一冊に詰まっているのがまた最高。
    最後に雪女とも仲良くなれてよかったです!

  • 啓太は霜里村に住む小学生。村を囲む北がわの山は「山姥山」と呼ばれていて、めったに人は立ち入りません。
    モッコとは人間とも動物ともちがう、変わり者の生き物たちで、小さなモッコから大きなモッコまでいろんな生き物が含まれます。山姥に河童、天狗、鬼に雪女・・・。だれにも邪魔されずに勝手気ままに暮らしています。
    啓太は山姥山に入って、山姥の娘、まゆと出会います。山姥としてはまだまだ子どものまゆ。啓太と一緒の冒険がはじまります。
    絵本にもマユのシリーズ有り。

  • 「まゆとおに」と「まゆとりゅう」を読んだあとに発見した本

    なんとこれはまゆちゃんと山姥の話じゃないか!
    やったーすごーい
    わたし大喜び^^

    山に生きてるふしぎ生物を「モッコ」っていうらしい
    これは他できいたことなかったなー

    まゆちゃんたちが関西弁だったけど
    絵本もそうだったっけ・・??

    山の暮らしがちょう楽しそう
    まゆちゃんかわいくて山姥のお母ちゃんは強くてかっこいい
    いっしょに遊べたりごちそう食べられる啓太がうらやましい

    啓太のお母さんも、子どもが山姥と遊んだり雲に乗ったり(ひとりで乗れるんだって!すごーい!)してるのに
    理解があってすごいな

    食べ物がすんごいおいしそう

    これはいい本だ!

  • 山姥山は村からはずれた、人のあまり入らないひっそりとした山。そこには、今の時代から切り離され、時代に流されない生き物たち、河童、雪女、木魂… モッコと呼ばれるものたちが、気ままに自分たちの生活を続けているのです。今日、山姥に女の子が生まれました。新しい山姥の女の子、まゆ。人間の友だち・啓太とともに、モッコたちや、山の生活の目新しいもの、美しいものに、心躍らせ、たくましく生活していきます。ぶっきらぼうのように見えて、心暖かくまゆを見まもる山姥の姿も、またほほえましくえがかれています。日本の、時間の流れから滑り落ちてしまった、日本人の生活感が、ここにあります。『しあわせやぁ…』、甘いものを食べてまゆはつぶやきます。単なるノスタルジーではなく、日本人が心の底に持っている暮らしの楽しさ、自然とのあり方を、ここに見いだすのではないでしょうか。ぜひ、今の時代の子ども達に感想を聞いてみたい本です。

  • 「あれは、溜池っていうてな。人間が作った池なんや。そういう池には、河童も、水の精も、一匹も、住んでへんのやで」


    「ほっとくんや。あれは、白ボウズたちの秘密なんやから。なんでも、人の秘密を知りたがると、今に、秘密に、仕返しされるで」

  • 先輩司書さんが「まゆとおに」シリーズを推していたものの勤務校の蔵書にはなく、代わりに蔵書にあったこちらを読んでみました。

    富安陽子さんの作品はたいてい好きになりますが、その中でも上位に入れたい本。

    人間の啓太が山姥の娘のまゆと友達になるなんて不思議ですが、すっとお話の世界に入れます。

    降矢奈々さんの絵は、絵本だけでなく挿絵でも素敵でした。

    中学年以降におすすめ。



  • 続編でないかな〜

  • 小学生の頃、大好きだった1冊。
    やまんばの作る料理が、本当に美味しそうでいつか食べてみたいと思ってた(^-^) 特に、スモモがww

  • 全部おもしろかったけど、最後のまゆのおたん生日会のお話が一番好きだった。おっきいケーキにのぼってみんなで食べたのがいい。ぼくも、まゆの友だちになりたい。雲に乗るのもこわくないからだいじょうぶ。
    やまんばのお料理をみんな食べてみたい。どれもおいしそうで、ほーっとなる。(小4)

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著者プロフィール

1959年生まれ。1991年『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で第24回日本児童文学者協会賞新人賞、第40回小学館文学賞を受賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社)で第15回新美南吉児童文学賞を受賞、2001年『空へつづく神話』(偕成社)で第48回産経児童出版文化賞を受賞、『盆まねき』(偕成社)により2011年第49回野間児童文芸賞、2012年第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞、2021年『さくらの谷』(絵・松成真理子 偕成社)で第52回講談社絵本賞を受賞。絵本に「やまんばのむすめ まゆのおはなし」シリーズ(絵・降矢なな 福音館書店)、「オニのサラリーマン」シリーズ(絵・大島妙子 福音館書店)などがある。

「2023年 『そらうみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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