- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834019735
作品紹介・あらすじ
夏休み、父の故郷を初めて訪れたみち夫は、そこでひとりの少女に出会う。バンモチという伝統行事の晩、どこからともなく飛んできた一本の白羽の矢。その謎をめぐって二人の前に、なんとも奇妙でおかしな神様たちがつぎつぎと現れる。はたして白羽の矢は、だれが、何のために?……。作者自身の故郷への想いと方言の魅力がいっぱい詰まった物語世界は、読者の心をとらえてはなしません。作者会心のファンタジー。
感想・レビュー・書評
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母親の長期海外出張のため、夏休みを北陸にある父方の実家で過ごすことになった小学生男子・みち夫。都会っ子の彼にとっては、田舎の自然も風習も人間関係もびっくりすることばかり。(#^.^#)
おまけになんと、なんと・・・!!.
今の季節にぴったり、夏の気持ちよく暑い&爽やかな空気が肌に感じられる一冊です。
私は東北の出だけど、友だちに北陸の子たちが何人もいたので、村で語られる方言がすごくリアルで心地よく響いてきました。
茂田さんが石川県羽咋市出身ということで納得。
で、馴染みのない土地で、しかもほとんど初対面の親戚のうち、というハードな環境で、みち夫はよくやったと思うんですよ。
彼のお父さん、お母さんが、どうにも自分勝手(というか幼い・汗)で、そこだけに違和感があったけど、それ以外の村の人々とのあれこれに無理がなく、また、みち夫の成長物語としても面白く読むことができました。
この物語の目玉は、頻出する村の神様たち。
すっごくたくさん出てこられるのに、それぞれきちんとキャラ立てされていて、性格も姿かたちもごっちゃになってしまわないところが茂田さんの腕の見せ所だったんでしょうね。(#^.^#)
村の合併問題も含めながら、神さまたちの交流も楽しく描かれていて、(ホント、日本って多神教なんだなぁ、と。ガチガチの(失礼!)一神教の人たちが読んだらどう思うのかな。(#^.^#)聞いてみたいです。)嬉しい夏物語でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
毎夏、思い出す物語
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小五の夏に出合って以来、毎夏ごとに、十回は読んだでしょうか。
本を開けば、主人公とともに田舎の村へ行く夏休みが始まる。
田舎で迎えてくれたのは、人間だけでなく、親しみ易い個性的な神様たち。
『ミョウガ食べて、ミョウガ臭い息吐いて』物を忘れさせるブンガこと、ブンガブンガキャー。
稲を干す竿のホゾ神さん。
機嫌を損ねると鎌で首を刈られかねない、実は怖ーいボットのおばば。
ブタ猫と悪口される、嫌われ者のミョージン。(きっと漢字で書くなら、猫神でミョージン、子供の頃は明神しか浮かばなかったけれど)
温泉旅行中(!?)に、勝手に白羽の矢を使われて困り果てる氏神のイツオ彦さん。
バンモチの晩、ゴロヨモサにバンニョモサ『だらやね、みち君』『だんない、だんない』と言った方言も、物語の世界を温かく包みこみます。
小林敏也さんによる土の香がする版画も、物語の雰囲気にぴったり!!
きっと夏が来れば、また彼らに会いに行きたくなるのでしょう――もう一つの私のふるさとへ。 -
夏休み、父のふるさとに一人で訪れたみち夫は一人の少女と出会う。バンチモという伝統行事の晩、どこからか飛んできた白羽の矢。その謎をめぐって二人の前に現れる神様・・・
会話文は独特の方言で最初はいまいちよくわからないんですが、読み進めていくうちにだんだんみち夫の標準語のほうがうさんくさく思えてきます。方言で何言ってるのかわからないと言うみち夫に、従姉はちゃんと顔を見てしゃべったら犬や猫でも何言うてるかくらいはわかる、と怒るんですが、ああそうだなあ・・・と思いました。わかろうとして、ちゃんと目を見てしゃべったら何を言っているかくらいはわかるもんなんです。わかろうとしなかったら、同じ言葉をしゃべっていてもわからないんです。
最初はすべてに否定的だったみち夫が、少女や神様たちとかかわっていくことでいろんなものに溶け込んでいく。
泣きたいほどになつかしい、ふるさとの夏のおもいで。 -
夏。