- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834021066
作品紹介・あらすじ
ハルは海辺の小さな村に生まれた。「おや、ほくろのあるいい手じゃ。きっとこの子は器用だし、幸せになるよ」とハルの手をみて、みんながいった……。ハルばあちゃんの手を通して、歴史と社会が変わっていくなか、懸命に生きる女性の姿が浮かんでくる。その人生は、一見、大勢の同世代の人々と変わらず、平凡なようにみえるが、その生涯を貫いた深い愛が大河ドラマのように胸に迫ってくる。簡潔で力強い文に、モノクロの鉛筆画の奥深い世界が展開されている。
感想・レビュー・書評
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子ども時代からおばあちゃんになるまでの一代記。
大事件が起きるわけでもないけど、こういう人生がいいよなぁと子ども心にも伝わったみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少な目の静かな文章と、きめ細かく繊細な鉛筆画。
読み終えると、感動というだけでは言い足りない大きなものが心に残る。
タイトルどおり、ハルばあちゃんの手が何度も登場する。
生まれつき器用だったため、家族を支えることにもなる手だ。
そして、踊りの名手ともなった手。
死と別れと出会いとを経験する手。
暮らしを支え愛をはぐくみ、やがて死を見送る手。
すべてを受け入れ、誠実に生きた証のような手。
戦前の海辺の町が背景で、PTSDだのという言葉さえなかった頃のこと。
誰かに幸せにしてもらおう、守ってもらおうなどと考える暇さえなく、みんながひたむきに自分の人生を生き抜いていた頃のことだ。
結婚相手は、かつて自分の作ったものを素直に褒めてくれた、同級生の男の子だった。
このエピソードが実に良くて、貧しい中でもお金とは無縁のところで心が繋がっていくのが、涙がにじむほど素敵だ。
ユウキチさんのおかげで、ハルばあちゃんの一生は、言い尽くせないほど幸せだったに違いない。
控えめな文章が、丹念に描かれた絵によってそれは饒舌になっている。
どのページにも、赤い小さな玉がほんのりと描かれている。
ハルばあちゃんを見守るようだったり、運命の道案内のようだったり、手から放たれる美しい魂のようだったりする。
これを見た子どもたちは、どんな解釈をするだろう。
最後のページでは、ハルばあちゃんが夜に浮かび上がる月の元で踊っている。
まるで「風の盆」のように静かで切なく、美しい。
一生懸命生きるということは、それだけで何よりの説得力を持つものなのだ。
人生を包み込む、芸術品のような一冊。
約9分。高学年以上に。大人の方もぜひ。 -
「ハルは海辺の小さな村に生まれた。「おや、ほくろのあるいい手じゃ。きっとこの子は器用だし、幸せになるよ」とハルの手をみて、みんながいった……。ハルばあちゃんの手を通して、歴史と社会が変わっていくなか、懸命に生きる女性の姿が浮かんでくる。その人生は、一見、大勢の同世代の人々と変わらず、平凡なようにみえるが、その生涯を貫いた深い愛が大河ドラマのように胸に迫ってくる。簡潔で力強い文に、モノクロの鉛筆画の奥深い世界が展開されている。」
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7分。とても遠目がきく。
高学年から。
はるばあちゃんの物語。
泣いてしまいそうで、読み聞かせは個人的に難しそう。 -
年老いた方の、顔・そして手の「美しさ」
皺は、その方の年輪なのだ
と、感じた次第。
心に響く、絵本です。 -
手先の器用なハルの一生。
働きもので優しいハルの手も働き物で優しいのだと思う
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感動した。最後の場面の美しさ。涙が出た。
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ひとりの女性の歴史。それが手によって表される。そう、確かにハルばあちゃんはその手で懸命に生きた。手だけでも人生がよくわかる。
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「わたしは あんたの おかげで ずっと しあわせだったよ」
ハルばあちゃんの手が主役の話。その5本の指が、成長し、恋をし、結婚し、子育てを経て、ハルばあちゃんの人生を語っていく。手って、その人の全てを語りかけて来る。私も、結婚するなら、こういう手の歴史を持つ人と一緒になりたいなと思いました。 -
4-3 2018/03/14