貝の子プチキュー (日本傑作絵本シリーズ)

  • 福音館書店 (2006年6月1日発売)
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感想 : 28
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784834021431

感想・レビュー・書評

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  • 「自分の感受性くらい 自分で守れ」の茨木のり子さんの書いた童話。それが絵本になっていた!
    茨木のり子さんめあてで見つけた図書館の絵本。
    絵もよかった!山内ふじ江さんの包み込むような優しい絵。
    貝のプチキューが、力をふりしぼって目指した美しい世界。そこには星が煌めいていた。
    そこで出会ったカニさんと喧嘩になる。他愛のない喧嘩。その途中で、、、。

    茨木のり子さんらしい結末なのかもしれない。
    山内ふじ江さんのイカの夫婦、そして星月夜が美しい。
    せめて星達は全ての命を照らしていて欲しい。

  • おもいがけず素晴らしい絵本に出会いました

    『ゆたかな海、光り輝く星月夜…詩人・茨木のり子が残した生涯で唯一の絵本。きらめく宝石のような物語と絵画のハーモニー。』

    茨木のり子ということで図書館予約
    ずっしりとした美しい絵本
    これは忘れられないなあ

    浜べの子プチキュー(この名前がなんともいいの)
    ちっぽけな貝の子
    自分の足で歩いていきます
    海の底へ
    うつくしいものこわいものにいっぱい出会います
    そして水の上へ
    満天の星
    かにの子と出会います
    そして……

    泣きそうになりました
    そうです
    これが現実

    美しく迫力のある絵がいつまでも心に残ります

    ≪ いく晩も 波に洗われ 貝がらが ≫

  • 好きな山内ふじ江さんの絵が見られる本を探していたら茨木のり子さんが書いたこの本を見つけびっくり!こんな本あったんだ。

    そして、読み終わってまたびっくり!えっ、そう来るの⁈

    その容赦ない終わり方に暫し放心しました。その後じわじわと色々な思いが溢れてきました。プチキューが見た美しい星月夜。その下にあり続ける空のかいがら。

    切なくも美しい、そして独特な一冊でした。
    この絵、書くの難しかっただろうなぁ。

  • 1枚1枚を飾っておきたい位、美しい絵本です。
    原画展とかあったら行きたいな。

    絵本て色んな子供が登場人物になりますけど、貝の子供はなかなか斬新で、面白かったです。

    3歳息子は海や魚が大好きなので、ツボだったようです。

  • 茨木のり子さん唯一の絵本ということで、とても興味がありました。何しろキレイな大型絵本で、安らぎがありました。貝の子プチキューと一緒に海の中を探検している気分でした。最後の結末は安らぎから急転直下…….

    ちょっとドキッとさせられました。自然の神秘を感じつつ、「生きる」ということを考えさせられるというか、突きつけられまし

    茨木のり子さんの詩の中の言葉「自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ。」を初めて読んだときの衝撃が、再び呼び起こされました。美しさと共に、じわーっと何ものかが染み渡っていく、奥の深い絵本です。

  • 茨木のり子さん大好きだけれど、絵本まで携わっていたのはブクログ経由で知った。山内ふじ江さんの海の表現が素晴らしく、大判な絵本なだけあって頁を捲るたびに美しい絵画を眺めている気分になれる。茨木のり子さんの文章も端的で静かな美しさがあり、ストーリーは想像していたよりもシビアな内容で読み応えがあった。

  • ひとつの小さな貝の命と世界の美しさの話。
    絵もストーリーも素晴らしい。
    海の世界が広がるような大型の絵本。

    【ママ評価】★★★★★
    世界は残酷。
    命は儚い。
    そしてどちらも美しい。
    とてもとても心に残る絵本。
    ひとつの小さな小さな貝の命が、生きることの意義や喜びという大きく重いテーマを考えさせてくれる。
    安全なところでじっと生きること。
    命が尽きるまで生の意義を求めて動くこと。
    どちらが正しいということはないけれど、命に限りはある。
    世界は美しくて広大で、自分が目にすることができる範囲は限られている。
    そして自分という存在の存在意義。
    死んでしまったら名も残らない、存在してたこともわからないような、ちっぽけな命。
    でも確かに生きている。
    自分という存在の存在意義を確かめたい。
    それは貝も人間も同じ。
    とても考えさせられるストーリーで、最後の展開は胸に突き刺さるよう。
    絵も本当に美しい。
    海や生物の美しさだけではなく、命の美しさや世界の美しさが伝わってくる。
    色使いもとても綺麗で引き込まれる。
    子どもが幼稚園児か小学生くらいのある程度考えられる年齢になったら是非読ませたい一冊。

    【息子評価】★★★
    集中して聞いていた。
    息子にしては長めの絵本だったけれど、ちゃんと最後まで読めたので少し感心した。
    そして、最初の方の絵を見て「これ、きれい!」と言ったのも驚いた。
    綺麗という感覚があるということ、感性が育っているということがなんだか嬉しかった。
    母の受け売りかもしれないけれど。
    ストーリーはまだまだ難しいと思うけれど、何かを感じとってくれてたら良いな。
    もう少し成長したらまた読みたい。
    2歳9ヶ月

  • 海の中や星空の素敵な絵に癒されます。
    大冒険にでるプチキューだけど、あまりに儚く息耐えてしまう。
    それを、なんで食べるかなぁ、、、。蟹さん、こっちが泣きたいよ。
    読み終わった後、困惑してしばらくこの絵本が頭から離れませんでした。

  • 美しい絵にのんびりひたっていたら,思いがけないラストに衝撃を受けました.

  • 茨木のり子さんが唯一書かれた童話を絵本化したものだとか。
    とても大きなサイズの美しい絵本です。
    ある日、ちいさな貝の子プチキューは、まだ見たこともないものを見ようと歩いていきます。
    そうして満点の星を見た時は、しみじみ幸せでした。
    そのあと、カニの子と言い争いをしてケンカの途中で死んでしまい、カニの子に食べられてしまいます。(プチキューはしょっぱくて、おいしかった…)
    でもカニの子はプチキューの言っていたことが本当だったと知り、さめざめと泣きます。
    あとには、プチキューの貝殻だけが、ぽっかり口をあけて波にあらわれていました。
    プチキューが死んだことを誰も知らないけれど、その次の晩もまばゆいばかりの星月夜。
    その次も、その次も…。

    すごくすごく悲しくなりました。
    茨木さんがこの童話を書かれたのは、二十歳過ぎの頃。戦争によって奪われた青春を悼む思いが込められているんだそうです。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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