ケイゾウさんは四月がきらいです。 (福音館創作童話シリーズ)

  • 福音館書店 (2006年3月31日発売)
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感想 : 26
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  • 本 ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834021981

作品紹介・あらすじ

ケイゾウさんは幼稚園に住むにわとりです。うさぎのみみこがやってきてから、ケイゾウさんの暮らしは、一変しました。各章「ケイゾウさんは〇〇がきらいです。」と名づけた、主人公ふたりの織りなす十のお話を、季節感あふれるカラフルな絵とともにお届けいたします。月刊雑誌「母の友」掲載当初から人気沸騰のケイゾウさんとみみこちゃん。さて、あなたのごひいきは、どちらになるでしょうか。

感想・レビュー・書評

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  • 幼稚園で飼育されているケイゾウさんのキライなもの、あれこれ。読み終わって、ケイゾウさんがなんともうらやましくなった。

    公然と「〇〇はキライ」と言えることが羨ましい。
    さて、私はなにがキライだろう。幸か不幸か、すぐに思い浮かばない。たくさんたくさん、あったはずなんだけど…。

    私も「〇〇はキライ」とハッキリ言いながら生きてきたほうだとは思うけど、オールドスタイルな組織で何年も働くうちに、だいぶカドが取れてきたのかも。「キライなものはキライなんで」と言っていたら、仕事にならない…。
    思えば「キライ」という言葉や感情をグッと飲み込んで、もうどのくらい経つだろう。
    大人になるって、社会で働くって、本当にそういうことなんだろうか…。
    そういうことで、いいんだろうか…。

    本書は、娘が公文式の教室にあったのを借りてきて、もう何日も放置されていた。
    4月、終わっちゃう。
    とりあえず私が読んだらいったん返すか…と思って休日に読んでいたら、娘がやってきて「読んでー」と言う。「ギリギリ4月でよかった!」みたいなことを言っていた。
    借りていたことを忘れてたんかぃ。

    最初に目次を一緒に見て、娘もキライなものはあるか聞いてみた。「サーフィンはなんだかわからないけどー、寒いのがキライー」とのこと。
    4月のお話を読み終わると、続けて欲しいという。口の悪いケイゾウさんのセリフに爆笑。
    次も読む。「これ、4月、5月、って続いていくんじゃない!?」
    御名答。
    結局、最後の3月まで一気に読まされた。小一時間の朗読会。他の本の感想でも書いたが、吉永小百合のスゴさを思い知る。

    読み終わって、娘は「風がいっぱい吹くのもキライー」とか、「パパとママが怒るのもキライー」とか、あれこれ自分の嫌いなものを並べていた。
    「お肉もー」と言ったところで、ハッとして「あ、キライってチクチク言葉だから言っちゃダメなんだった!ちょっと苦手ー、だよね」という。
    齋藤孝監修の絵本、『ふわふわとちくちく』の話である。

    この絵本のことは、以前感想に書いた。とてもいい絵本だと思った。しかしなぁ…幼い子どもに「キライ」という感情を押し殺させるってのもどうなのかぁー、とケイゾウさんを見ていて思う。
    いや、でも食べ物や人のことをハッキリと「キライ」と言い切るのは、やっぱりどうかと思うよな…。

    言われてみれば、私も4月と3月はキライだ。
    私の勤め先は3月決算なので、とにかくやることが多い。人事異動や組織改編もこのタイミングで大掛かりに実行される。自分は同じ部署に留まったとしても、周りで何かが変われば自分にも必ず影響がでる。変わるタイミングは、なにかとストレスフルだ。

    私は、暑いのも寒いのもキライだ。雨の日もキライ。
    こうなってくると、残されたのは5月、10月、11月くらいしかないじゃないか。頭の中で手帳をめくる。5月と11月は私の業務の繁忙期じゃないか。もちろん繁忙期もキライだ。
    消去法でいって、10月しか好きな月がなくなってしまった。はー。サラリーマンってキッツー。会社に行くのが一気につらい。

    「ママー?」と言われてハッとする。
    キライなものを考えるより、好きなものを考えるほうが断然楽しいよね、と娘に言う。娘は「折り紙!みつ編み!」と言って好きなことをやりにパタパタと行ってしまった。

    あらためて、ハタと思う。
    ケイゾウさんがキライなものは、誰のことも傷つけない。
    別に誰かのことがキライだとはっきりと言うわけではないのだ。

    ケイゾウさん。深いなぁー。

  • こんなに可愛い幼年童話を知らずにいたなんて悔やまれる。
    幼稚園で飼われているケイゾウさん(にわとり)と、うさぎのみみちゃんと、園児たちの1年間を描く。
    入園したての子が泣くから四月は嫌い。三月は…予想通りなんだけど、泣ける。
    1ヶ月に1話ずつ読み聞かせするのありだなあ。したかったなあ〜!!

  • 読み聞かせ用。幼稚園で飼われているニワトリのケイゾウさんのお話。ケイゾウさんも、うさぎのミミコも、子どもたちも、ももこ先生もちょっとずつ悪いとこあって、笑、そんなのぜーんぶひっくるめて愛おしい時間が流れている本です。

  • 絵が可愛い。鶏や兎って昔、幼稚園や学校に必ずいたけど、なんかわりとほったらかしで可哀想だった覚えが。ケイゾウさんいくつくらいなのか、園児より年上なのか。毎年大変だねえ。

  • きらい、きらいとあって最後に‥‥で終わるところが可愛らしい締め方だった。

  • 大人の私はにわとりの視点が面白かったけど、
    小3娘には面白くなかったようです。

  • 図書館の児童書の棚にて…児童書らしからぬ字体に書名の背表紙!どんな児童書やねん…と手に取ってみたら、ニワトリ目線の世界でした。きっと、ニワトリってほんとにこんな風に思ってるんだろうなぁ…と。しかも同居人(?人ではないけど)のウサギも、なんだかカワイイキャラではなく。。それを最後まで貫いて描かれているのがよかったかな。

  • ケイゾウさんは、音鳥だった!

  • 読み聞かせ(60分)

  • ケイゾウさんとみみこはいいコンビ。幼稚園の先生や子どもたちとの距離感や関係性もいい。こういう幼稚園、いいと思う。

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著者プロフィール

1960年神奈川県生まれ。1982年より月刊保育絵本の編集に携わる。2006年『ケイゾウさんは四月がきらいです。』(福音館書店)で小学館児童出版文化賞、2010年『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは…』(ひさかたチャイルド)で野間児童文芸賞、『あまやどり』(文研出版)でひろすけ童話賞を受賞した。ほかにも『おばけのおーちゃん』(福音館書店)、『ケータイくんとフジワラさん』(小学館)、『11月のおはなし どんぐりカプセル』(講談社)などがある。

「2018年 『ケイゾウさんの春・夏・秋・冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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