クリスマスのちいさなおくりもの (こどものとも絵本)

  • 福音館書店
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感想 : 20
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  • 本 ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834025798

作品紹介・あらすじ

クリスマス・イブ。お母さんが病気で、その家ではクリスマスの用意が何もできていません。その家に住む、ねことねずみは、その様子を心配し、急いで準備をし始めます。靴下を下げて、ケーキを焼いて、もみの木を飾りつけて・・・。くものおばあさんも手伝って、次第に部屋は美しく飾られていきます。アリスン・アトリー自身が子どものころ体験した、イギリスのよき暮らしを描いた心温まるおはなしです。

感想・レビュー・書評

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  •  いつもの図書館の絵本の特設コーナーで既にクリスマス特集をしていたことと、昨年のように「クリスマス絵本特集」を組んで短い期間に大量に投稿することにも疲れを覚えたので、今年は今のうちから気楽にちょこちょこと発信していきたいと思います。

     そして本書は、『グレー・ラビット』シリーズでもお馴染みのアリスン・アトリーの原作に、上條由美子さんが翻訳、山内ふじ江さんが絵を描いた、2006年に月刊「こどものとも」に掲載されたものの絵本版。

     アトリーの作品ということで、本書も動物たちが大活躍し、しかも普段であれば絶対に手を組まないもの同士が、クリスマスイブはみんなが仲良くする夜だからと共に力を合わせる、そんな意外性のある夢のある展開に、彼女ならではの素朴な温かみを感じられた。


     お話の始まりは、クリスマスイブの夜で、ちょうど時計が11時を打ったところと、あと1時間でイブが終わってしまうのに、なぜ何も飾り付けしていないんだと腹を立てたのは、何故かその家の人間たちではなく、そこにひっそりと暮らす「ねずみ」であったが、ねずみだってクリスマスを楽しみたい気持ちは持っているはず。

     そして、その理由はお母さんが病気で入院してしまったことが余程ショックだったのか、子どもたちだけでは何もできず、お父さんはふさぎ込んでしまい、3人は早々に寝てしまっており、まあこれでもサンタさんは来てくれるだろうけれど、靴下すら用意されていないのはプレゼントを入れる時に困るのではないかと思うのだが、きっとそれどころではなかったのだろう。

     といったことを暖炉の側で寝ていた「ねこ」が話すと、ねずみは僕らも手伝うから何とかして下さいよと懇願し、皆が仲良くする夜なら仕方がないと、そこからはねこが司令塔となって、たくさんの手伝いのねずみたちに的確な指示を与えながら、いよいよクリスマスのお祝いの支度が始まった。

     まずは靴下の準備であり、その時にプレゼントについて初めて猫から教えてもらうと、「それなら、ぼくたちも くつしたを さげてもいいですか?」と、その場で履いているそれらを脱いで子どもたちの隣に吊り下げる、そんな場面も愛らしいのは「グレー・ラビット」同様に彼らも服を着ていることで、それぞれにある個性を窺わせるからだと感じ、ねこに至ってはエプロンを絞めると完全におかみさんそのもので、ねずみたちがそう呼んでいるのにも納得。

     その後は『グレー・ラビットのクリスマス』でも見られた、ミンスパイやケーキ作り、クリスマスツリーにキッシング・バンチと、当時のイギリスの形式に則りながら、馴染みの無い言葉についての説明もちゃんと掲載されている親切さが魅力で、更にそれらをねことねずみと、その後仲間に加わった「くものおばあさん」が、人間に代わってする姿は、きっと子どもたちにとっても楽しく映るのではないかと思う、それは絵本ならではの絵から想像の翼を広げてくれる楽しさである。


     山内ふじ江さんの油彩は、ミントブルーを背景とした絵が、どこかさわやかで落ち着いた癒しの雰囲気を醸し出しながら、動物たちを縁取りしたような描き方には、まるで光沢をまとったような輝きを感じられて、それがそれぞれの存在感や躍動感をより際立たせる効果があるようにも思われた。

     そして、きっかけは自分たちが楽しみたいことではあったものの、結果として、アトリーの夢見る動物と人間との幸せな関係性が窺えた、そんな彼女の動物たちに寄せる変わらない眼差しや愛情に更に感嘆させられたのは、本書を執筆した当時のアトリーの年齢が86歳ということもあり(1970年)、いくつになっても失わないその想像力の瑞々しさは、彼女が『グレー・ラビット』という慈愛に満ちた、皆に愛されるキャラクターを生み出したことにも納得であった。

     また、それはタイトルに込められた優しさからも感じられて、そこには動物たちへの感謝の気持ちと共に、たとえ小さくても彼らがやり遂げたことは、とてつもなく大きなものであることに対する賛辞でもあり、更に原題が『THE CHRISTMAS SURPRISE』となっていることには、アトリーならではの茶目っ気たっぷりな、動物たちからのクリスマスプレゼントという意図もあったのだろうと思うし、これが二重の意味を帯びていることも面白い。

  • お母さんが入院しているお家は、クリスマスの準備が何ひとつできていません
    夜に顔を出したネズミが何で何もできてないのかとおかんむり
    ネコが、では準備をしようと
    ネコとネズミで飾りつけや料理をして、サンタさんをお出迎え
    海外のクリスマス準備がよくわかる1冊
    読み聞かせ時間は11分ちょっとです

  • 「みんながなかよくするよる」っていいねえ
    猫がネズミに指図してクリスマスの用意を整えていく。
    ほのぼのと幸せになる。
    絵がやさしい。

  • 図書館本。ねずみとねこの連携プレーがなんだか新鮮でした。また、古き良きクリスマスの風習が垣間見れてよかったです。

  • 創作された最後の絵がいい。

  • とても可愛らしい表紙に惹かれたんだけど、猫さんがやたら働き者キャラで違和感。イラストの可愛らしさが、かえってあざとい気がした。クリスマスの絵本は秀逸なのが多いので、また手に取るかと言うとうーん?

  • このえほんは、なんでいつもはネコはねずみをたべるのに、たべないの?っておもって、はじめてみたときにおどろいて「えーっ」となっておもしろかった。

  • お母さんが病気でお父さんがふさぎこみ、クリスマスの準備をしていない家。
    その家のねずみがねこのおかみさんに「何とかしよう」と呼びかけて、サンタクロースを迎える準備をします。
    ねことねずみのクリスマスの話はビアトリクス・ポターの『グロースターの仕立て屋』を思い起こさせます。
    このねこのおかみさんはなかなか有能ですが、言われるまでは暖炉の前でのびて寝ていたんですね。
    手柄はねずみに譲り、控え目なところもいいです。
    目覚めたお父さん、しっかりしてくださいよ。

  • アトリーの作品だけあり、簡潔ながら読み応えがあります。絵も優しく雰囲気があり、素敵です。心がほんわかするクリスマス絵本^_^

  • 最初のページの寝てるねこかわゆす~。
    全体的な色合いも好き。

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