- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834026825
作品紹介・あらすじ
学校で一番サッカーの上手なデニスは、『ヴォーグ』のなかに、家を出ていった母さんの着ていたワンピースとよく似たドレスを発見し、きらびやかな服の世界に夢中になる。そんな折、ファッション通のリサと仲よくなり、彼女のすすめでドレスを着てみることに……! 親友ダルヴィッシュとの友情、親子の絆、ほのかな恋、そして〝いつもの自分〟を着がえることを軽やかに描く、英児童文学界の新星(実はコメディアン)のデビュー作。
感想・レビュー・書評
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原著は “The Boy in the Dress” 主人公はサッカーチームのエース。でも実はドレスに夢中。こっそり買った『VOGUE』は、そんな彼のナルニア国。なりたい自分になれる!元気を貰った
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「ファッションが好きな男子がいたって、いいじゃないか!男性ファッションデザイナーだって、たくさんいるじゃないか!」と思います。
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う~ん、この本は、セクシュアリティについて正面から書いたものではないのだから(校長の描写には、多少複雑なセクシュアリティの問題がほのめかされ...う~ん、この本は、セクシュアリティについて正面から書いたものではないのだから(校長の描写には、多少複雑なセクシュアリティの問題がほのめかされていますが)、ご自分が期待されていたそれが描かれていないからといって、作品自体が不十分だという批判は当たらないのでは?
四十代後半の女性教師を、「結婚指輪をしていないし、子供もいないようだ。」と書いているのは、ありのままを描写しただけでしょうし、そういうシングル生活をしている女教師が、物語のなかで、主人公のよき理解者になっている点に、作者の多様な生き方を認めようとする意志を感じます。
作者が、「おっと、わたしの経験ではないよ。人づてに聞いたんだ。」と言っているのは、自分が女装していると思われては困るからでは断じてなく、イギリスのテレビでは女装することで有名な作者が、あえて作中話者として自分をごまかしているだけでしょう。でも、イギリスの子どもたちは、ここを読んで、「デヴィッド・ウォリアムズだから、女装しなれてるし、ハイヒールの感覚はわかるんだよな~」と腑に落ちるという寸法になっているのだと考えられます。ここは、ギャグとして読むべきところなのでは?
それに、ここがたとえば「おっと、わたしがエッチな雑誌を見たのではないよ。人づてに聞いたんだ。」という叙述であったとしても、それがエッチな雑誌をみることを恥ずべき行為と見なしていることにはならないと思います。人には、自分だけで抱えている秘密の世界があるべきで(とくにセクシュアリティの領域については)、それを大っぴらにするのがすべて正しいわけではないように思われます。
主人公が、校長先生に対してある取引をするのは、校長自身が、自分を追放した、まったく同じ理由で、原状回復をしただけじゃないのかなあ。復讐にすら、なっていません。
また、ドレス姿でサッカーをしたのは、チームメイトが主人公を助けるためにしたパフォーマンス(一人に対してなら横暴をふるえた校長も、チーム全員には、勝手な判断はできない)の流れによるものでしょう。
ことセクシュアリティとなると、個々人にとっての切実な感情や思考がまつわるものでしょうが、その思い入れを、そのまま、そのためではない本にぶつけてしまうと、ないものねだりになってしまうように思います。
たしかに、その点で、誤解をまねきやすい本ではあるかもしれませんね!
この本は、「自分が自分らしくあることを貫き通す」ということがテーマをなんだろうと、私は思いました。
主人公も、その親友も、女教師も、校長ですら、その点では、自分らしくいようと思っているのではないでしょうか。2012/07/25
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家族を置いて出て行ってしまった母親への思慕から女装に興味を持った12歳の男の子デニス。2歳上のリサにそそのかされて(助けられて)フランス人の女の子のフリをするあたりは読者もドキドキするのでは?身近な人まですっかりうまく騙せてしまって。
フランス語の先生を傷付けてしまう下りはいただけなかった。
サッカー場でのドレスを着ての活躍ぶりや締めのウィンザー先生とのやり取りなどちょっと納得いかない。
母への思い、父との関係、兄の気遣いなどしんみりさせてもくれたけど、要はローティーンの男の子の微妙な感情の揺れを描きたかったんでしょうね。難しい時期だもの。
中二病と称される年頃より、ちょっと幼さが残る年頃。
脇を固める雑貨店店主や、校長先生のキャラが面白い。 -
LGBTQ をみんなが認知するかなり前から、このような本があったことに驚いた。
この男の子は生きるために探究し、生きるために戦い、考えて、強い心があり、すごいなと思った。
間違えてないと思うことを貫き通す力。大切。 -
さすがダール好き。
怒涛の展開、クェンティン・ブレイクの挿絵の力もあって、現代版ダールみたい。
ジェンダーレス。 -
タイトルからするとトランスジェンダーものだと思ったんだけれど、そうではなかった。ちょっとご都合主義かなぁとも思ったり。
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二年前に家を出た母親恋しさもあって、母親のワンピースに似た服が表紙を飾っていたファション誌を衝動買いした男の子が、服飾にハマり、学校へドレスを着て行って……という話。
アイディアは面白いんだけど、リンが何を考えてるか今ひとつわからないのと、最後の展開があまりにも都合良すぎ、かな。じゃあ何の取り柄もない子だったらあのまま泣き寝入りで家族にも見放されたままだったの?とふと思ったり。 -
LGBTがテーマの話かと思っていたら、そういうわけでもないようだった。
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ジェンダーなのかよく分からないけど主人公はヴォーグを見たりするのが好きで、リサの力を借りて完璧な女装で学校に行ったらバレて退学になる。しかし、サッカーの試合で全員がドレスを着てでたら復学した。
挿絵がロアルドダールの人で良かった。