こおり (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 :
  • 福音館書店
4.04
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本棚登録 : 366
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834027167

作品紹介・あらすじ

宝石のように透明で色のついた氷を夢みて、インクを水にとかして凍らせてみたら……インクと氷はくっきりわかれて固まってしまった。氷は、水の分子だけで規則正しく手をつないで、水の分子以外のものをおしだしてしまう性質があるからだ。この氷の性質は、地球のおだやかな環境をつくる原動力にもなっていた。ミクロからマクロへ、氷のサイエンス・ジャーニーをお楽しみ下さい!

感想・レビュー・書評

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  • この不快指数爆上がりの時期に読むと束の間癒された。
    絵を担当している斎藤俊行さんの描く氷がとにかく涼しい。

    ゆっくりと水を冷やしていくと、透明な氷ができるらしい。それからときどきかき回して気泡を逃してやる。
    自分もやってみたいけど、すごく集中力が要りそうで、また汗ばみそうになってきた。

    氷は気泡を含むとはいえ、色のついた氷を作ろうとすると、その色はみな外へ押し出されてしまう。それは水分子が密に結びついているからだ。だから北極や南極の氷もしょっぱくない。勉強になった。

    でも光だけはふんだんに通して私たちの目に透明に見せる。
    こんな抽象的な美をたたえた氷という存在がいっそう好きになった。
    自分の頭の引き出しに、これから結晶化していく氷という概念がひとつ増えた。

  • 科学絵本にしてはかわいい色合いと絵柄で、これは内容と合ってないんじゃないかとはじめは思った。水の分子がオーバーオールを着た女の子で、空気が色とりどりの風船であるのを見て、これはちょっと…と思った。
    が、水が氷になっていく様子を描いたページは圧倒された。ここまで正確に描ければ、女の子と風船でも大丈夫だ、と。

    色のついた氷があったらいいのに。赤い氷にはイチゴ味、黄色い氷にはレモン味、緑の氷にはメロン味をつけてサイダーに浮かべたら、美味しくて楽しくていいよね、という絵は、この絵柄だからこそいい。夢が広がる。そうだね、作ってみようよ、と大人でも思う。で、となりのページで赤い氷がアップになって、「でも、色のついたこんな氷、あなたは見たことありますか?」。
    確かに、見たことない。
    その次のページから色のついた氷を作る実験になる。この流れの良さね。
    それから、雲の中の氷、北極・南極の氷、海洋深層流と地球規模の話へ発展していくのは見事。
    ラスト近く「色のついた氷ができないのは少しざんねんです。でも、ほかのものをおしだす氷のがんこな性質は、深い海をめぐる大きな海流のはじめの一歩をつくっていました。わたしたちがくらせるおだやかな地球がたもたれているのも、この氷のちいさな力のおかげです。」(P38)とまた、近くへ戻ってくるのもすごくいい。
    科学絵本は写真や正確なイラストというイメージを覆す柔らかな絵柄が、日頃科学絵本を手に取らない層にも訴えると思う。
    文と絵が非常にマッチした素晴らしい絵本。
    こういうのを家に置いて日常的に読み聞かせしたら、子どもは科学が自然に好きになるのではないかと思う。

  • 「宝石のように透明で色のついた氷を夢みて、インクを水にとかして凍らせてみたら……インクと氷はくっきりわかれて固まってしまった。氷は、水の分子だけで規則正しく手をつないで、水の分子以外のものをおしだしてしまう性質があるからだ。この氷の性質は、地球のおだやかな環境をつくる原動力にもなっていた。ミクロからマクロへ、氷のサイエンス・ジャーニーをお楽しみ下さい!

    読んであげるなら ―
    自分で読むなら 小学中学年から」


    身近な冷蔵庫の氷から、水の分子、雲、気象、北極・南極、海洋・海流まで話が広がっていく。
    柔らかく優しい絵で、分子を手足を広げた女の子の絵で表現している。

  • まさにミクロからマクロへ

    小さなこおりの不思議から、
    大きな海のこおりの話へ
    地球をめぐる海流へと思いを馳せる
    絵も素敵です

    水の分子の説明もわかりやすい
    小学生は全部わからなくても、
    ごまかしのない真摯な説明は触れる価値ありだと思います。

    子ども用と甘く見ず、中学生にも良い内容です。

  • 表紙に惹かれて開いてみるも、内容は、実は難しい。
    でも、難しいことを本当にやさしくやさしく噛み砕いて書いてある。
    途中、色氷のこととか、わくわくも散りばめられていてるし、地球規模の話にもなって、展開がスゴイ!

  • かき氷の表紙が素敵氷、水、水蒸気の説明がわかりやすいです

  • 子供に借りたけど、分量多めの科学絵本の為母のみ。

  • 僕も、きれいな氷を作ってみたい。時間がかかると思うけど。

  • **********
    「夏」「冬」に。

  • みずのぶんしがあつまるのが、そうなんだ~っておもった。おうちのこおりもくうきがはいっている。


    (まだむずかしかった)

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著者プロフィール

1940年 北海道に生まれる
1963年 北海道大学理学部地球物理学科卒業
1965年 北海道大学大学院理学研究科修士課程(地球物理専攻)修了
現  在 北海道大学名誉教授
著訳書 『雪氷の構造と物性』(共編)
      『雪崩と吹雪』(共編)
      N. H. Fletcher 『氷の化学物理』

「2004年 『☆新版☆氷の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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