どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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本棚登録 : 221
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834081220

作品紹介・あらすじ

「声」は、いつもむこうからやってきた。ぜったいにつかまらないはずだったどろぼうのはなし。

感想・レビュー・書評

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  • 詩人の斉藤倫さんの美しい言葉に惹かれた。
    優しく美しいものは、心がしーんと哀しくなる。
    どろぼんの生立ちを知ると、なぜ物の声が聞こえ、その物たちを救ってしまうかが分かる。
    たまよさんの言葉の意味がずっしり胸に迫る。
    どろぼんは、幸せなんだね。

  • 面白くて感動するステキなお話でした。

    挿絵も独特の色使いとタッチで、挿絵も気に入りました✨
    特にカラーの挿絵が好きです✨

  • うちにはどろぼんに盗んでもらいたいと思っているものがたくさんある気がする。
    私がそう思っているのも、ものの方がそう思っているのも、どちらもありそう。

  • 詩人でもある斉藤倫さんの作品。この題名から、子供向けの小説かと思いきや、大人の心にも響く心温まる物語。物の声が聞こえる主人公のどろぼん。ここから救ってと言ってるようなちいさき声が聞こえる。ところが、それに誰も気がつかない。必要とされていない物は、誰も気にもとめていないのだ。それどころか、幸せになることも。そんなある日、世話を放棄したような手入れされていない、虐げられた子犬を救う。物の声ではなく、生き物の声が聞こえ始めたどろぼんは、刑事に捕まってしまう。事情聴取されてしまうが、刑事も書記もいつのまにか、どろぼんの話に引き込まれる。。。

    大人の童話だ。年末の気ぜわしいこの時期、ホッと温かい涙に洗われるのもいいかもしれない。

  • 雨の夜どろぼんはある家に入ろうとしていた。張り込み中の刑事のぼくがどろぼんに出逢ったのはその時。どろぼんはぼくに言ったんだ。「よぞらを見てください」こんな雨の夜に?
    警察の取り調べ室でぼくはどろぼんの話を聞いたんだ。彼の半生、彼の不思議な力。
    どろぼんは物の声が聞こえるという。その場にいたくない”物”、持ち主に忘れ去られた”物”、そして持ち主を縛り付けている”物”。それらの物を盗み出す。でも持ち主は誰も気が付かない。だって忘れ去られたんだ、むしろ解放される人だっている。
    どろぼうも、人の家に忍び込むのも、どろぼんには息をするみたいに当たり前のこと。だって声たちはいつも向こうからやってきたし、鍵は自然に開いたんだ。
    でも最近その力が弱まってきたらしい。
    それは生き物の声を聞いたから。
    生きた者の声を聞くと、物の声は遠ざかって行くという。

    どろぼんは、今は本当に自分に必要な存在を見つけたんだ、自分の意志で声を聞こうとしたんだ…。

    ***
    静かな雰囲気の語り口がなんとも胸が締め付けられるような。
    とにかく整理整頓片付けが大の苦手な私には、私の元を去りたがっている物も多かろうと、そういう意味でも胸が締め付けられたりorz

  • まず、読み始めは幸せになる。私の微々たる読書経験の中でも5本の指に入るほど素敵な語り出し。

    刑事、どろぼうの出会いから始まるけど、その出会いはいささか、ファンタジーのようで普通でない。

    取り調べが始まり、物語が語られる。

    これは、ぼく と どろぼん との二重構造のようなおはなし。

    読んでいて私は「海辺のカフカ」を思い出した。どろほんがナカタさんとかぶるのもあるけど、ファンタジーちっくなのにリアルだから。そして、比喩と、情景描写が美しくて瞼に焼き付いてくる感じ、と、気の利いたジョーク。(オーハスの扱いww)

    挿絵が美しい。でも、どろぼんの顔だけは描かれない。そこが私たちをより物語に引き込ませる。

    ずーっと取調室のお話を聞いているだけでも楽しいんだけど、ラストは小さな事件にみんなが巻き込まれていく。ほんとによく出来た、楽しめるおはなし。善き物語。こういうお話がベストセラーになればいいのにな。

    斉藤倫さん、「せなか町から、ずっと」でお話の名手だと感激したけれど、どろぼん、もっと早くに読んでいたらよかった!
    次はどんな本を作ってくれるんだろう。楽しみだなぁ。。

  •  持ち主に忘れられた「もの」の声が聞こえるどろぼうのどろぼん。
     何の特徴もない、毎日会っていても次の日には顔を忘れてしまうようなどろぼんは、今までに1000回も泥棒しているけれど1度も捕まったことがなくて。
     なのに、ある雨の日、盗みに入ろうとしていた家の前で、偶然に刑事の「僕」に見つかり、そして捕まってしまう。
     どろぼんの生い立ちから、盗みを始めるようになったこと、ものの声が聞こえること、取り調べの中で、静かに明らかになっていく。
     本当に静かに、淡々とお話は進んでいくんだけれど、心を揺さぶられる何かを持ったストーリー。
     挿絵や装丁もすごくすてきです。

  • 小学館児童出版文化賞2015
    http://www.shogakukan.co.jp/sites/default/files/manual/20150910.pdf

    タイトルの通り、どろぼうのどろぼんの話だが、まずつかまってしまうところからはじまるのが不思議。
    どろぼうに入ろうとしたどろぼんがチボリさんという刑事さんに現行犯逮捕される。

    そこから、事情聴取がはじまるのだが、どろぼんの話は荒唐無稽で、まるでお話のようであった。
    まずは子どもの頃のこと。
    母たまよさんはお手伝いさんをして生計を立てていたが、ある日どろぼんを連れて行った先で、花瓶が割れてしまう事件がおきる。
    まさにどろぼんの原点。
    どろぼんはモノの声が聞こえるのだった。
    花瓶の声を聞いたどろぼんには、花瓶が自殺であったことがわかる。
    その後、モノの声に導かれ、そのモノのいる場所に偲び込み、モノを盗み出す。
    ただし、盗むモノはすべて盗んだことが気づかれないようなモノばかり。忘れられたモノたちの声を聞き、場所を変えてやっているとさえいえる。

    そんな取り調べを興味深く聞く、記録係のあさみさん。
    彼女の姉も実はどろぼんによって救われていた。

    チボリさんの後輩のオーハスはどろぼんを捜査に使えないかとたくらむ。

    どろぼんが初めて盗んだといえる犬「よぞら」によって、どろぼんはモノの声を聞く能力が失われていっていることがわかる。

    どろぼんの犯罪は立証されるのか?

  • 素敵な物語だった。世界は、見る人によってこんなにも色を変えるのだなぁ。よぞらに幸せになってほしい。

  • ふわっ、ほんやり不可思議なリズムが響く、ちょっぴり切ないお話。

    どろぼんに、栄光あれ!

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著者プロフィール

斉藤倫 1969年生まれ。詩人。2004年『手をふる 手をふる』(あざみ書房)でデビュー。14年『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で長篇デビュー。同作で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』(以上福音館書店)、『波うちぎわのシアン』(偕成社)、絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、『えのないえほん』(絵 植田真/講談社)詩集『さよなら、柩』(思潮社)、がある。また、『えーえんとくちから 笹井宏之作品集』(PARCO出版)に編集委員として関わる。

「2019年 『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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