まく子 (福音館の単行本)

著者 :
  • 福音館書店
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レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834082388

作品紹介・あらすじ

小さな温泉街に住む小学五年生の「ぼく」は、子どもと大人の狭間にいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしく、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエがやってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「撒く」ことが大好きで、そして、彼女には秘密があった。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと……。これは、誰しもに訪れる「奇跡」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ぼくたちはみんな宇宙人。
    同じ粒からなる生命体。

    粒は変わり続けるもの。
    粒をまき、永遠に受け継がれていくもの、それが”魂”。

    永遠に残るものは、他のものに粒を与えられないもの。
    他のものと、交われないもの。

    永遠じゃないから、美しい…。
    永遠じゃないものは、優しい…。

    とても難しい、無限の世界…。
    いろんなメッセージが、込められているのは想像できても、
    そのすべてを受けとめることは、出来なかった気がします。
    でも、この物語は、それでいいのでは…と思いました。
    たぶん受け止め方は、まく子がまいた光の粒の数。

    なぜ、命あるものは、みな死んでしまうのだろう…。
    永遠ではないのだろう…。
    その答えの一粒だけは、拾えたような気がします。

    最後はぜひ、暗闇で…。
    あなたにも、『まく子』の光の粒が降りそそぐはず…。

  • 少女の秘密が、ぼくの世界を塗り替えた。

    なかなか不思議なお話でした。
    なんだってまきちらすコズエ。
    大人になりたくないという慧。
    集落のちょっと変わったお祭り。

    みんな宇宙人、違うことがおかしいのではなく、みんなおかしい。
    人はみんなコズエと同じで「死ぬ」ことを、「生きる」ことを学ぶためにここにいるのかもしれない。
    たくさんの粒で偶然できた生命体。私が誰かだったかもしれないし、誰かが私だったかもしれないということ。
    気づいた瞬間、慧の視る世界が変わった。類の、ドノの、ミライの本質に気づけた。

    人を信じ、尊重すること。
    与えること、受けいれること。
    変わっていくこと。
    西さんの願いが込められた小説だなと思いました。

  • 不思議な話し。
    映画化しやすそうな感じはしました。

  • 説明
    内容紹介
    小さな温泉街に住む小学五年生の「ぼく」は、子どもと大人の狭間にいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしく、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエがやってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「撒く」ことが大好きで、そして、彼女には秘密があった。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと……。これは、誰しもに訪れる「奇跡」の物語。



    読み終えての第一印象はなんかぽわ〜んとした不思議な感じがしました。子供の頃の気持ちって覚えてるような でも忘れてしまったような...通って来た道なのでわかるはずなんだろうけど 今はあの頃の自分はいないなぁと思いました。成長するってそういう事だと思うのだけど...

    ダ・ヴィンチのインタビューを読んで 西加奈子さんってとても自然な方なのかなぁという印象でした。
    〝大事なことは信じること 真に受けること〟
    私にとって1番の課題かなぁ...歳を取るにつれて あまり他人を信じることが出来なくなってきている。
    私の考え方が凝り固まってきているのだろうけど 無条件に信じるってことが もう身内ぐらいにしか出来ない。
    子供のままの気持ちで大人になれれば 世の中ここまで醜い争いなんかはもっと少ないような気もしています。

    この本を上の子を育てる前に読めてたら もうちょっと男の子の子育ては違っていたのかなぁと思った。
    2人の異性の子育てもほぼほぼ終わりに近づき感じたことは 異性を育てるのは難しかったということ。
    初めての子ということもあっただろうけど 男の子の気持ちがホントわからなくてとても悩みました。

    人は顔も体型も考え方もそれぞれ違っていて それでいいんだとそれは素晴らしいことなんだと 猜疑心なく思えたら世の中みな幸せになれるんだろうなぁ...
    人との繋がりは難しいことが多いなぁ...

  • 挿絵力強い。
    テルテル坊主がリアルに効果ありそう。
    死に向かってどんどん変化していくことはみんな平等な生き方なんだと純粋に伝わります。
    自分のことも知らない人…宇宙人でさえ愛しく思える、今を大切にしたいと優しい気持ちになります。
    砂を撒くのは迷惑なのでホースで水を撒いてみました。撒き散らすのは気持ちいいです。
    コズエも慧も温泉街の人みんな大好きです。

  • 久々の西加奈子さん!いい!!すごく、いい!!
    西加奈子って感じだ!!!
    わたしは西さんの言葉の選び方使い方がとても好きです。
    そして、すごく、力強い土臭さがあって、突然正面から突き飛ばされるような瞬間がある。
    彼女の描く絵もとても好き。
    装画と挿絵も彼女の作。全くもって作品の世界観とリンク。
    この絵を描いている彼女の姿も目に浮かぶようです。
    肝心の内容ですが、わたしの好みの話ではないんですけど。でも。力技で納得させられてしまった気がする。

    作中の、「ドノ」の言葉がものすごく好きで、手帳に書き留めた!

    「誰かが言うことを、俺は信じるし。それは嘘だって責める前に、どうせ嘘なんだしとかじゃなくって、俺は言葉通り、そのまま受け止めたいんだし。」
    「信じて嘘つかれるのが嫌だから、最初から信じないのは、嫌だし。俺は、全部信じて、自分の頭で嘘だと分かって、分かってから、傷つくんだし。」

  • 本当にへんてこな本ばかり書く人です。勢いと独創性でぐいぐい書き進めている姿が目に浮かぶようです。サルが出てくるのかと思ったら出てこなかったことに一番びっくりしました。
    このへんてこさをたまに味わいたくて折に触れて読んでいますが、この本も期待を裏切らない本です。
    なんでまく子なのかと思いましたが、なんでも撒く子だからなんですね。これくらいはネタバレにはならないでしょう。
    撒くのって楽しかったなあとふと読みながら思い出しました。昔は砂とか種とか、枯れ葉とか水とか撒くときゃあきゃあ言って喜んだ記憶があります。

  • 息子ももう少しで同じような気持ちになるんやろなあ
    って思ったから息子の日記読んでる気持ちになった!

  • 相変わらずへんな女の子が登場する西加奈子さんの小説!
    この西加奈子ワールドの不思議な魅力はなんなのだろう。
    宇宙の中の一部である生命の力強さとはかなさ。
    命の生臭さ。
    いつも登場するへんな女の子が教えてくれる。

    今回は挿絵も装丁もまた素晴らしくて…
    電気を消してから、是非本を眺めてほしい。

  • 温泉しか資源がない小さな集落に突如転校生がやってくる。主人公の旅館に住み込みで働くことになり、職員の住みこみ「いろは荘」へ入居する。そんな転校生はとにかくまくことが好きだった。
     主人公は思春期入りたてで、なぜか「大人になりたくない」と思っている。また、みんなが成長していく中でその成長の過程を忌み嫌っている。特に女子に「せいり」が始まってポーチを持ってトイレに行くことなどで顕著に嫌悪感を示す。こういった描写に子供の些細な心の動きを表しているように思う。
     転校生が実は宇宙人という少しファンタジーの要素が入ってきてしまうけれど、そのファンタジー要素の中に主人公が嫌う「大人になること」への重要なメッセージがある。転校生の住む星には永遠しかなくて、「死」を受け入れにきた。死に向かって人間は歩み続けるが、昨日の自分と今日の自分は違う。それは人間を構成する粒が入れ替わるから。その粒は違う誰かのところに移っていくかもしれない。この一連の流れを「まく」ことにより結びつけてる。
     昨日の自分と今日の自分が本当に同一人物か?といった哲学的な読み取り方もできるが、やっぱりなんだか最後はほわっと優しく終わってくれて、いい感じでした。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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