とうだい (日本傑作絵本シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (44ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834082890

作品紹介・あらすじ

岬に一本、灯台がたちました。生まれたての灯台の前に、漁船や客船や、魚や鯨が毎日行き交います。みんな知らないどこかから来て、どこかへ行くんだ……。そんな灯台のところへやってきたのは渡り鳥。彼らから遠い国の驚くような話をたくさん聞いた灯台は、自分はどこにも行けないことを痛感します。そしてふたたび訪れたある冬の日のこと、灯台は大嵐に襲われます。吹きすさぶ雨風のなか、灯台にできることとはいったい……?

感想・レビュー・書評

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  • 「どんな時でも灯台にできることは、光ること」
    灯台が自ら、役割を語る。
    四季、天候、行き交う船、海の生物、また渡り鳥から聞いた話も交え、灯台から見る海の風景が楽しい。

    そして小池アミイゴさんの絵が素晴らしい!
    油絵だろうか?シュッとなぐり描きしたような線の一つ一つが、風や波や光、また船や航跡etcを表すのに効果的なのだ。
    そしてその背景の優しい色使い。
    特に嵐の後の静かな薄紫、夕焼けの優しい桃色…。うっとりしてしまった。

    小池アミイゴさんのファンになりました…調べたら、絵のイベントで見たことがある方でした。
    体の不自由な子どもたちが描く大きなキャンバスに大人が少し手助けしようとしたところ、「自由に描かせて」のアドバイス、そして「それぞれの想いがつまった個性的な一本の線をつなげて、一体的なアートに仕上げる」という考えが印象的でした。

    灯台の絵が表紙の本をブクログ本棚に並べ集めて、6基目になりました(^^)

    • なおなおさん
      かなさん、こんばんは。
      今日、図書館で借りてきちゃいました。表紙の可愛い絵は、中の絵をくり抜いたものです。
      “灯台”の本、並べていきますね。
      かなさん、こんばんは。
      今日、図書館で借りてきちゃいました。表紙の可愛い絵は、中の絵をくり抜いたものです。
      “灯台”の本、並べていきますね。
      2023/09/24
    • でつさん
      こちらで知って、読みました!
      とっても良かったです。
      ありがとうございました。
      こちらで知って、読みました!
      とっても良かったです。
      ありがとうございました。
      2023/11/05
    • なおなおさん
      でつさん、はじめまして。
      フォローといいねをありがとうございます。
      アミイゴさんの絵や色使いが素敵ですよね。
      コメントをありがとうございまし...
      でつさん、はじめまして。
      フォローといいねをありがとうございます。
      アミイゴさんの絵や色使いが素敵ですよね。
      コメントをありがとうございました。
      2023/11/05
  • 灯台にも色々と悩みがあるらしい。

    できることと、できないことが両方あると、つい、できないことばかりを考えてしまいがちなのは、私も分かる気がする。

    しかし、そんな悩みを内に抱えながらも、時には、誰かのために覚悟を決めて、できることを精いっぱいすることで、恐怖に立ち向かってみせる。
    こうした、もうやるしかないという心意気は、成長の過程で自然に訪れるものなんだろうな。

    そうした自己の成長と、自分の知らなかった、できること(良いところ)は、他の人が教えてくれることだってあるということ。
    それって、自分のことを見ていてくれたってことだよね。

    お互いを思いやる関係の素晴らしさは、表紙を見ればよく分かります。

    最後に、小池アミイゴさんの、子供の魂が乗り移ったかのような、純粋で手作り感溢れるやさしい絵には、灯台の光や海の色ひとつとっても、全く同じ色がない繊細さを感じ、とても印象的でした。

  • 鮮やかな色の景色で季節を巡りつつ、こどもと灯台の役割が学べる♪

  • 岬に新しく建った灯台。海をゆく船、飛んでくる鳥たちの物語にときめいて、ここから動けない自分にしょんぼりしたけれど、「ここから動かない」ことこそ自分の最も大事なことなのだと知りました。なんだか勇気づけられました。

  • この絵本が発売された頃には、
    私はこれは大人向けの絵本だとずっと思っていました。

    絵を描かれた小池アミイゴさんの福島への思いや、美しい塩谷崎灯台のある風景、
    斉藤倫さんの子どもたちへ大丈夫だよと語りかけるメッセージがあまりにも美しくて。

    でも、アミイゴさんのブログを読んで…
    とうだいを描いている時に、ご子息が幼稚園を卒業して小学生になっていく。。
    "6歳の感性を思いっきり浴びたとうだい"
    いうのがとても腑に落ちたのです。
    そしてその時ようやくとうだいくんにお顔があったことに気づきました。

    斉藤倫さんのその後の作品での変わらぬ子どもたちへの思いも感じ、
    これはやはり子どもから大人までしあわせになれる絵本なのだと気づきました。

    以降、1.2年生くらいのこどもたちとこの絵本を読むと、ほんとうにとうだいの気持ちになってはらはらしたり、わくわくしたり、楽しめることがよくわかります。

    またある時、2年生の灯台が好きな男の子から、絵本を読んだ後に
    「ぼく、この本欲しい!」
    というナチュラルな感想をもらい、
    私の心が晴れ渡った瞬間がありました。
    それ以来、今まで以上に愛おしい一冊になりました。

    ながくながく読み継がれて欲しい一冊です。

  •  出来たばかりの岬の灯台。見るもの全てが珍しく、渡り鳥の話に憧れ、旅に出られない自分を少し残念に思う。
     2年目の冬、ひどい嵐が来る。波にもまれる船のため、灯台は懸命に光り続ける……。


     図書館本。
     ざっくりしたタッチの絵だが、横見開きを活かして画面いっぱいに広々と海を描いている。
     夜に灯台の光がまっすぐ延びている様子も雰囲気がしっかり出ていてGood。

     灯台も良いけど、渡り鳥が旅で見た羊たちも可愛い。

  • どこにも行けない灯台が、自分の存在意義を知る。
    絵の淡い色合いがきれいで、質感がとてもリアル。

  • 声に出して読んでみました。
    渡り鳥からよその国の話を聞いた灯台は思います。

    ああ そうか
    ぼくは どこにも いけないんだ

    灯台のその思いに
    胸がいっぱいになってしまったのは、
    今の自分の立場と重なったからなのかもしれません。
    シンプルでやさしいタッチの絵がまたよかったです。

  • ことばが選び抜かれており、声に出して読みやすい。

  • 自分の存在意義を見つけることができたのですね。
    良かったね、幸せだな。
    自分がここにいる理由なんて、動き回れる人間でもなかなか見つけられないのに。

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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