アリになった数学者 (たくさんのふしぎ傑作集)

  • 福音館書店 (2018年10月5日発売)
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本 ・本 (48ページ) / ISBN・EAN: 9784834084344

作品紹介・あらすじ

数や図形を便利につかう方法を教えてくれるのが「算数」。「数学」は、そもそも、その数や図形とはなにか? と考える学問です。そんな「数学」の世界を探求する数学者は、ある日気がつくと、アリになっていました。数学者は、アリたちと数学について語りあいたいと願います……。さて、アリたちに人間の数学、「数」は理解されるのでしょうか? 数を通してこの世界をどう理解するか。アリたちが導くあたらしい数の世界へ。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学的でむしろ大人のほうが意表を突かれるのではないか。アリ社会の数学論なんて、アリの行列を見ても思いつきもしないのに、なんて豊かな想像力なのだろう。

  • アリにとって数とは何かという問いをもつ数学者の話です。人間の数の概念はアリには通用しないことがわかり、またアリのものの見方にも触れることができます。

    “数とは何かを突き詰めていくと、数がわかる人間とは何かという問いにぶつかる。この問いを、絵本を通して一人でも多くの人と分かち合えたら嬉しいと思う。“

    『偶然の散歩』という本で、本書のことをそうおっしゃっていた森田さん。

  • 中学生の長女が今でもいちばんの宝物だという絵本。これで算数が今までより好きになったらしい。数学も頑張っているね…
    姿は絵本だけど内容は深いような。大好きなSOU・SOUのテキスタイルデザイナー脇阪克二さんの絵もいい。苦手だった数学、やり直してみたくなる〜。

  • 本当にアリになったのかな

  • 娘はどうか知らないが、

    一親として、これはすごく、哲学的でしびれた。

  • 人間からみた数字の意味とアリからみた数字の意味。
    シンプルにおもしろいなと思った。私たちからしてみると数というのは生活のほとんどを占めているといっても過言ではない。今日は何日?今何時?お給料はいくら?薬をどのくらい飲めがいいか?どれをとってもいい意味でも悪い意味でも数字に支配されている。
    それをこういった子供向けの本で解いたというのがどうにも面白いところ。小学校中学年にはこの本の真のテーマを解くのは難しいかもしれない。でもこういった形で著者が世に向けたメッセージをみて明るくなった。
    数字一つとっても、受け取る側で理解が180度変わる。
    例えば、テストで悪い点をとったらどうだ?自分はばかだから一生分からないとふさぎ込むのではなく、分からないところを指摘してくれたこのテストの機会を通して、理解が深まった、もう二度とミスはしないと視点を変えてみることはとても大事だなと思わせてくれた。

  • 月刊絵本での発行から1年余りという異例の速さでハードカバー化。安野光雅さんの推薦文の帯付き。

    **以下月刊誌のときの感想**
    著者初のこどもむけの著作。体の構造も見えている世界も生き方もまったく違うアリも人間と同じように数学を理解するか? というやや哲学的な内容ながら、具体的な話題を積み重ねてなるほどと納得させる。アリが体感する数の世界はわたしたち人間ならではの想像力の賜物であり、詩のような文章を通して、数学の美しさやとらえどころのなさ、当たり前の概念を疑う用心深い思考にふれて、「計算」「苦手」「面倒」といった算数のイメージが一変するかもしれない。

  • 『数学する身体』からの併せ読みがおすすめです。

    自然科学の読書体験は、読後がいつもと違う、乾いた涼しい風が吹いてくるような読書だ(高野文子『ドミトリーともきんす』)という後書きが思い起こされる。本当に身体がふわりと浮いて少し高いところで気持ちいい風に拭かれているよう。あるいはひんやりとした土の匂い、朝露のしずく、木々のぬくもりに包まれているよう。身体をつらぬく地球生命体としての喜び、生命や学問への敬意のまなざしがこの本にたくさん詰まっていて心から美しい。

    自然があるとは何か、あるいは「1」とは何かという根源的な問い。
    差ではなく違いなのだ、という包摂性・共生への示唆、そして環境へのメッセージにも富む、なかなか味わうことができない質の高い読書体験。小学1年から大学4年までの国語と算数と理科と社会の教科書に載っていい、いや載るべきだろう。

    著者の森田真生さんは在野の研究者、数学。レイチェル・カーソンの未完の名著『センス・オブ・ワンダー』に新訳をつけて大幅に加筆して出版した(2024年)。詩人であり哲学者であり文学者であり音楽家に違いないと自分は思う。
    この本を読むと景色がひらけ、世界が美しく見えてくる。

    福音館書店の子ども向け月刊誌『たくさんのふしぎ』から、傑作なものは意味通り傑作集というシリーズ名を冠して単行本化されている、そのうちの1冊。シリーズ化はやめてほしいよ、シリーズ眺めると欲しくなるので...。

  • 森田真生さんの思考に触れるようで非常に楽しかった。
    娘が大きくなったら、一緒に読みたい。

  • 2024.08.02

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著者プロフィール

森田 真生(もりた・まさお):1985年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、ライブ活動を行っている。著書に『数学する身体』で小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10回 河合隼雄学芸賞 受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』『アリになった数学者』『数学する人生』などがある。

「2024年 『センス・オブ・ワンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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