ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集 (福音館創作童話シリーズ)

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感想 : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834084573

作品紹介・あらすじ

きみはいつものように、あけっぱなしの玄関から、どんどんぼくの部屋にあがりこみ、ランドセルをおろしながらこういった。「せんせいが、おまえは本を読めっていうんだ。ことばがなってないから」。ぼくは一冊の詩集をきみに手渡す。「ここんとこ、読んでみな」。詩は、おもしろい。そして、詩はことばを自由にし、ことばはわたしたちを自由にする。20篇の詩を通して、詩人斉藤倫と楽しみ、考える、詩のことそしてことばのこと。

感想・レビュー・書評

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  • いい年のおじさんである「ぼく」と、小学生の「きみ」。言葉について語られる2人のやり取りが、何とも瑞々しくてよい。如何に自分の頭がガチガチに凝り固まっているかをその都度思い知らされた。自由で柔らかな子供の感性と、子供の素直な疑問に真摯に応える大人の感性。さりげなく紹介される詩の数々もとても素晴らしく(初めて知る詩人も多かった!)、一気読みが勿体なくて噛みしめるように一章一章読んでいった。
    ゆるやかな展開ながら、後半はグッとくること間違いなし。「きみ」の成長を見守る「ぼく」の視線のあたたかさよ。ひと夏のきらめきの愛おしさをすごく感じさせる内容だ。高野文子さんのシンプルなイラストも味わい深くてよい。読了後、表紙を見ると改めてグッとくる。
    実は本書のことをよく知らず(そして斉藤倫さんも初読み)勢いで買ってみたのだが、自分の勘を信じてよかったと思えるほど素敵な出会いだった。読み返し甲斐のある、幅広い世代に手に取ってもらいたい一冊。

  • 見つかった

    なにが?


  • この本は「きみ」と、詩人だった「きみ」のお父さんと親友だった「ぼく」との、ことばについての会話です。

    1ことばのじゆう  より
    ぼく「そんなもの、(国語じてんや教科書)見なくたって、話せるし、ずっと話してきただろ。そしたらじしょのなかにただしいことばなんかに、どんないみがある?」
    きみ「じゃあ、ただしいことばなんて、ひつようないっていうの」
    ぼく「まあ、ひつようだね」

    「か」   藤富保男
    かくかく
    しかじか的に
    天使は述べられた

    隕石が象の尻のように
    一個ふって来た

    残念であることばかりが
    とてもつづいて

    あなたの頬をかじってもいい?
    パンのようだから

    仕方がなく淋しい夏だ


    きみ「詩って、こんなでたらめ書いていいんだ」
    ぼく「なんででたらめだと思った?」
    きみ「だっていみがわかんないから」
    (中略)
    ぼく「ゲームのほうが、ぜんぜん、おもしろい、と、いって、せんせいに、なってない、といわれた。でもそれは、いい、でたらめなんだよ
    きみ「ほんと」
    ぼく「文法としては、でたらめかもしれない。けど、それは、ただしい、ことばなんだ」
    (中略)
    ぼく「先生と、きみの、ことばの、あいだに、否定の気もちは、ちゃんと、あった。そんな、すきまにしかないものが、じしょに、のってるはずあるかい?」
    きみ「詩も、ことばとことばのあいだにあるのかな?読んでたら、すきまに、おっこちちゃう感じがした」
    ぼく「ふふ。なかなか、いいこというな」

    このようにして、ぼくと、きみの会話が、あいだに詩をはさみながら続いていきます。
    そして、詩とはどういうものかが、だんだんわかってきます。
    表紙の画は高野文子さんです。

    おまけ
    2いみなくない  より
    ぼく「作者だってわかってないんだから」
    ぼく「書いたひとも、わかってない、って。なにがいいたいかなんて、作家だけじゃないんだよ。だいたい、じぶんが、なにを話してるかなんて、わかってないのさ」


    小中学生だけでなく、大人も楽しめる、アンソロジーだと思います。

  • ジーニーさんの本棚から♪

  • 第一回 ことばの自由 - ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集
    http://www.webfukuinkan.com/magazine/2236

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    わからなくたって、好きになっていいんだよ
    きみはいつものように、あけっぱなしの玄関から、どんどんぼくの部屋にあがりこみ、ランドセルをおろしながらこういった。「せんせいが、おまえは本を読めっていうんだ。ことばがなってないから」。ぼくは一冊の詩集をきみに手渡す。「ここんとこ、読んでみな」。詩は、おもしろい。そして、詩はことばを自由にし、ことばはわたしたちを自由にする。20篇の詩を通して、詩人斉藤倫と楽しみ、考える、詩のことそしてことばのこと。
    https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5884

  • いいなぁ、いいなぁ、すごくすごくいい。
    大好きな本、というのだけではなく、胸の中に特別に棚を作って大切にしまっておきたいくらいの本。
    図書館で借りたのだけど、この本は絶対すぐ家に迎える!

  • 大人になった「ぼく」が、大人になる前の「きみ」に手渡す詩と、二人で共有する時間。
    斉藤倫さんの短く、かみしめるように置かれたセンテンスも、高野文子さんのまるくて優しいイラストも、丁寧でうつくしい名久井直子さんの装幀も、すべてが心地よくてしっくりなじむ。
    誰かに手渡したくなる一冊。

  • 久々に、
    「いい本を読んだ…」
    という余韻に浸った一冊。

    詩はとっつきにくくて、特に子供はあまり手に取らないけれど、詩って、言葉ってこんなにワクワクするものなんだ、と教えてくれる。

    また、ぼくと少年のやりとりにユーモアと味わいがあってすばらしい!

    いい本に出会えました。

  • とても素敵な本。
    単なる詩集ではなく、単なる小説とも違う。
    詩の素晴らしさ、言葉の面白さ、大人の愛情、子どもの賢さ、色々なことが一杯詰まっている。
    それでいて、物語として面白い。
    児童書という括りで読まないのは、勿体ない一冊。

  • ことばにしないと、消えてしまう感情。
    縛られて動けなくなった心を、
    もう一度自由にさせてくれる本。

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著者プロフィール

作 斉藤倫(さいとうりん)
1969年生まれ。詩人。『どろぼうのどろぼん』で、第48回日本児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『波うちぎわのシアン』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『レディオワン』など。うきまるとの共作絵本として、『はるとあき』『まちがいまちにようこそ』『レミーさんのひきだし』がある。

「2021年 『あしたもオカピ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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