白い花という名の巫堂 太白山脈 (1) (太白山脈)

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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834250213

作品紹介・あらすじ

日本の敗戦による解放後、朝鮮半島は政治路線をめぐる内部の対立に加え、南北に進駐した米ソ両軍がそれぞれ全く相反する政権の育成を図り、緊張状態が続いていた。米軍政下の南朝鮮では、1948年10月、麗水で国軍の第14連隊による反乱が起き、順天まで勢力を拡大、それに呼応して筏橋でも左翼勢力が町を掌握するが、鎮圧軍の前に退却を余儀なくされ、曹渓山に逃れた。そんな中、酒造場の息子で左翼運動に身を投じた鄭河燮は筏橋に潜入、巫堂(巫女)の娘で幼なじみの素花の許を密かに訪れる。

感想・レビュー・書評

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  • 1~10巻を一気に読めた。
    今まで読んだ本の中でも、特に印象に残っている。
    朝鮮がたどった歴史、共産主義、日本の位置づけ、パルチザンたちの戦い・・・そこに人間模様がからんできて、ストーリーに引き込まれた。
    そういえば1巻の分だけだったか映画化もされていたが、内容が薄すぎてイマイチだった。主人公のイメージも全然違う・・・
    また機会があれば読み直したい。

  • 朝鮮戦争の時代をそれぞれがどんな思いで生きていたかがわかってとてもおもしろく、興味深いです。全10巻なんとか読破したいと思っています。

  • 金範佑は鳳林の前の道を通り、昭和橋を渡ることにした。足元だけを見つめ、そそくさと歩いた。駅に着くまでは決して顔を上げないつもりだった。昭和橋に一歩足を踏み入れてからは一層うつむいて歩いた。橋の半ばまで来ただろうか、彼はぎくっとして足を止めた。上から土が撒かれていたものの、どす黒い色を帯びた染みが目に入った。それがかわいた血痕だと、すぐ気づいた。(略)「昭和橋の下の川の中にも、川岸にも死体がごろごろころがっていて、そりゃ、見ていられねえ」と、数日前に文書房の言った言葉が思い出された。(207p)

    今年の夏の韓国への旅の中で一番心に残った処は、全羅南道の筏橋(ボルギョ)であった。そこは小説「太白山脈」の舞台である。私は初めてその小説が韓国内で広く読まれていることを知ったし、1948年の麗水・順天事件というものがあり、日本植民地時代の残滓と米ソ冷戦下のもとに、左翼運動の蜂起と挫折の中でいかに多くの人間が亡くなっていたのかを初めて知った。

    筏橋には、この小説に出てくる地名と建物がほとんどそのまま残されているのである。人間関係は全くの創作らしいが、お陰で小説の情景がありありと目の前に浮かんだ。それどころではない、私は主人公の一人チョン・ハソブが生まれた酒造店の跡取りと(その時は小説を読んでいなかったので)それとは知らずに言葉を交わしていたのである。私はその時聞きかじりの僅かな知識で、その跡取り息子に聞いていたのである。
    「事件の時、筏橋では現実でも、あの昭和橋の下に死体が山の様に浮かんでいたというのは、本来にあったことなんですか?」
    「本当です」彼は無造作に答えた。
    「500人、いや少なくとも200-300人以上は犠牲になっています」
    「えっ!この筏橋だけで、ですか?」この筏橋は二時間も歩けば主要な所は歩いていける小さな町なのである。
    「それはいったい…」私は言葉にならなかった。
    私はそのあと、麗水・順天事件の博物館が無いか、色々問い合わせたが、墓地はあっても資料館は全くない様だ。未だ韓国の中では、歴史的にきちんと整理されていないと思った。小説の中でしか、書けないことはあるのだろう。

    私はこの小説を読み始め、私自身の長く浅い韓国との付き合いの中で、初めてその人々の心の奥底まで覗いた気がした。
    2012年10月24日読了

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