なくしたものたちの国

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834251661

感想・レビュー・書評

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  • 物心が付いたのはいつだろう?

    わかる人はいないだろう。

    本書を読んだら、物心の付く前と後のことを考えていた。この物語はそんなことを考えさせる童話のような話。

    幼児期の自分には見えていたもの。いまも記憶に残っているモノや出来事。思い起こせば、「あれはどこにいってしまったのだろう?」「あれらはなんだったのだろう?」という疑問が浮かぶ。そして、なくしてしまったものたちに一抹の寂しさを感じる。

    論理的とか合理的とか、常識的とか道徳的とか、そういった概念から自由だった頃を思い出せないものかと、思案させられる作品だった。

  • 揺らいでいて、独特の色使いで、ちょっと怖い松尾たいこさんの絵をもとに書かれた、角田さんのやさしい文章が心にスーッと入ってくる。あぁ、わたしもなくしたものがたくさんあって、でも別の場所で、違う姿で、違うかたちで、きっとまた会えるんだろうなぁって。。。最後の一文がいい。

  • 松尾たいこさんのイラストをもとに書き下ろした小説。
    ひとりの少女が成長していく過程でなくしていったものをえがいた連作短編集。
    イラストとのコラボなので、なんとなく児童書っぽいのかと思っていた。
    ファンタジーの要素があって、心地よい文章ですいすいと読めていく。
    伏線がちりばめられていて、読み進めていくうちに、それがつながっていった。
    自分の記憶の中にあるものがよみがえってきたり、「こんな感覚があった」とも思った。
    懐かしさに含まれる淋しさみたいなものは大人だからこそ理解できると思う。
    読後は、ものすごく切なくて、言葉にならない感情に包まれた。
    私もこの場所に行きたいと思った。
    そしてイラストの世界の中に吸い込まれるように感じた。

  • キスとミケ〜の話が大好きです。

  • 柔らかな印象の装丁に惹かれて。(笑)

  • いつの間にか、なつかしく感じるときが来るのよね。本当に。

  • 2010年10月28日~11月21日

  • イラストレーターとのコラボ。
    記憶の中で忘れられていくことに思いを馳せ、言葉で綴ることで甦らせる。
    あったこととなかったことを織り交ぜにして語るその加減が抜群。

  • 松尾たいこさんの美しい絵と角田光代さんの素晴らしい話。
    相乗効果で5話目を読み終わる頃には、
    2話目の「母」のようにボトボト涙を流していました。
    心のデトックスをしたい方、
    是非オススメの1冊です。

  • 「どういうことなんだろう?」って読み始めたけど、「うん、きっとそうだよね。」ってやさしい気持ちで読了しました。あと男性として、夫が言う「大丈夫、大丈夫」という言葉、3回出てくるけど(3回目はオチ?)、どれも印象に残った。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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