チーズと塩と豆と

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834251685

感想・レビュー・書評

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  • この手の企画もののアンソロジーってあんまり好きじゃなくて手に取っていなかったけれど、私の好きな作家ぞろいな事だし気が変わって読んでみた。
    そうそう、思い出した!
    これってNHKの紀行番組の企画だったんですよね。
    当時(って今もだけど)BSの見れない我が家だったから、番組を見れなくて悔しい思いをしたんだった。

    筆を取るのは今をときめく四人の直木賞受賞作家。
    角田光代、井上荒野、森絵都、そして江國香織。
    さすがにみなさん力があります。
    ヨーロッパの田舎が舞台になって登場人物も日本人ではなくヨーロッパの人々という縛りがあるから設定も雰囲気も似たりよったりだけれど、それぞれの作品に作家の個性が出てますね。
    読み比べるとホント面白い。

    私が一番好きだったのは井上荒野さんの「理由」。
    圧倒的に他の作品より良かったと思う。
    彼女独特のえぐ味がイタリア人気質やイタリアの風土に妙に馴染んで。
    森絵都さんはよく分からないけれど、角田さんや江國さんの小説の中にも食べ物はふんだんに登場している。
    でも井上さんの書く食べ物が断トツで美味しそうだなと日頃から思っていた。
    今回も登場するミネストローネがなんとも美味しそうで。
    こっちまで匂ってきそう(笑)

    角田さんと森さんの作品は内容も似ているけれど、作品自体も日本人作家が書きましたーって感じかな。
    ヨーロッパが舞台なのが無理があるというか。
    森さん、久々に読んだけれどなんだか爽やかだな。
    四人の中では一番アクがない。
    他の作品も読んでみようかな。
    江國さんの話、これ読んだことあるー!ご自身の短編集に入ってるのね。
    楽しみにしてたのに・・・。いや、良いんですけどね。
    あ、江國さんは日本が舞台だろうと外国が舞台だろうと気になりませんね。
    どこが舞台でもふわふわと非日常的なのは変わりないから(笑)

    読み終わってみて・・・。
    やっぱり番組が見たかった!
    自分の好きな作家が実際に異国を旅して美味しいものを食べてそれをドラマにして。
    うーん、悔しい。

    • メイプルマフィンさん
      vilureefさん:私もまたまたおじゃまします。
      このBSの番組、私、見たんですよ。角田さんのとこだけ。
      めっちゃ楽しみにして見た割に...
      vilureefさん:私もまたまたおじゃまします。
      このBSの番組、私、見たんですよ。角田さんのとこだけ。
      めっちゃ楽しみにして見た割には、あまり印象に残らなかったな~。
      ドラマ部分も、海外の方達が演じているのにちょっと違和感感じました。
      いい話だったのだけど、仰る通り「日本人作家が書きました」って内容だったので、
      日本を舞台に見てみたかったなと思いましたわ。
      あくまでも私の個人的な感想では、そんなに悔しがらなくても大丈夫、というところです(^_^;)
      2014/07/07
    • vilureefさん
      メイプルマフィンさん、こんにちは♪

      おおっと、番組ご覧になったのですね!
      いいな~。
      でも期待するほどのものでもないのですね・・・...
      メイプルマフィンさん、こんにちは♪

      おおっと、番組ご覧になったのですね!
      いいな~。
      でも期待するほどのものでもないのですね・・・(^_^;)
      作家さんて林真理子さんとか故渡辺淳一さんとか一部の人以外はあまりテレビでもお見受けしませんよね。
      単純なファン心理で見てみたかったなと・・・。
      サラメシに角田さんが登場した回も見逃しました。
      そうそう、3月に東京で開催された公開トークショーも私の体調が悪く行けなかったし・・・。
      はぁ。
      作品を読むしかないですね(^_^;)
      2014/07/08
  • ヨーロッパの4つの国を舞台にした短篇小説です。
    4人の女性作家がそれぞれの国を実際に訪れ、その土地の取材を通して紡ぎ出した物語なのだそう。
    それぞれの土地が醸し出す空気感もすてきですが、なにより料理がすばらしく美味しそうなのです!

    4つの物語のうち、江國香織さんの「アレンテージョ」から立ち上る、気だるげで色っぽい雰囲気にどきどき。
    森絵都さんの「ブレノワール」はドラマを1本観たような、短篇であることを感じさせない充実感でした。

    どの物語も食にスポットが当てられていますが、ほのかなセクシーさが感じられるのが印象的でした。
    食と性ってどこかで通じているんだな。

  • 4人の女流作家の愛と味覚のアンソロジー。
    森絵都さんのブレノワールがよかったなぁ。母の愛情を感じました。5枚の白い花の意味がわりと初めの方で理解してはいたけど最後の一行、白い花びらを数え、そして慟哭した...に私も感動しました。
    ガレットが食べたくなっちゃうなぁ〜。

  • 四人の直木賞作家の書き下ろしアンソロジー。という事で、角田光代さん井上荒野さん森絵都さん江國香織さんの短編集。

    この四人の中では、今までに江國香織さんの小説しか読んだ事がありませんでしたので、その他の方々はお初になります。たまたま図書館で目に止まり借りてきましたが、思いの外良かったです。

    ヨーロッパの田舎を舞台にした食と愛にまつわるお話。
    とにかく出てくる食事がとても美味しそうなんです。豆のスープやミネストローネ、ガレットなど。なんていうか、アルプスの少女ハイジに出てくるパンにチーズが乗っかっているだけなのにそれがとても魅力的に見えるみたいな感じで。

    4人の作家さんたちがそれぞれ現地に滞在して書き上げたそうで、なるほど〜と納得しました。この4作品は似てるというか、同じ様な空気があったので。

    井上荒野さんのはちょっと重かったけど、どの作品も素敵でした。

  • ヨーロッパの田舎を舞台に食べ物と絡めた話を4作。「直木賞作家が食べて書くヨーロッパの田舎」がテーマで以前BSプレミアムで紀行番組を放送し、それにより生まれた物語たちらしい。
    イタリアのピエモンテ(井上荒野)、フランスのブルターニュ(森絵都)、スペインのバスク(角田光代)、ポルトガルのアレンテージョ(江國香織)。私は行ったこともない場所だが、読みながら一緒に旅する気持ちになれた。
    私もちょっと遠出した時は、それぞれの場所でその地のものを食べる。不思議と食べ物でその地が分かる気がする。食べ物と土地と人は密接に繋がっていると思う。そんな事も感じられた一冊だった。

  • 4名の女性作家によるヨーロッパの田舎町を舞台にした短編集。
    角田光代さん「神様の庭」
    スペインの田舎町の料理人の娘として生まれ育った主人公が都会へ出て成長するとともに父親の気持ちや文化を感じる短編

    井上荒野さん「理由」
    教師だった夫と結婚した主人公。
    色々あったけれど、夫は現在病気でもう目は覚さないかもしれない。そんな2人を繋ぐミネストローネをとりまく短編

    森絵都さん「ブレノワール」
    フランスの田舎町で育った主人公が料理人となり地元に戻り、宿屋を経営する話

    江國香織さん「アレンテージョ」
    ゲイカップルがバカンスでポルトガルへ。
    そこでの2人を描いた短編。



    角田光代さんと森絵都さんの話は、少し似たような感じ。
    暖かく美味しそうで、それぞれの作家さんのカラーがあって面白い。

  • この題名だけはもう何年も前から認識していたけれど、なんとなく角田光代さん(だけ)の作品と捉えていて、どんな内容かということにも頓着せずにいて、今回ふと気まぐれに図書館に予約してみた。

    アンソロジーだったのか…。
    この中では井上荒野さんだけが初読みの作家さんで、お名前の漢字は存じ上げて(勝手に男性だと思って)いたが、今回初めて調べてみてお名前の読み方と女性であることを知った。

    アンソロジーは自分のカテゴリ『その他の小説』に入れることがほとんどだし、『森絵都』さんのカテゴリも有るのだけれど、『角田光代』さんのところに入れておこう。(追記 2024年3月 更に変更した)

    それぞれスペイン、イタリア、フランス、ポルトガルが舞台なのはいいのだが、【日本人が書く、登場人物が日本人じゃない】お話は私には無理なのだ。
    申し訳ないけれど、好きじゃない。
    身体がむず痒くなりながらも、短編4つだし読みやすくはあったから、なんとかサクッと読めた。

    言葉使いでどうしても引っかかってしまうところが一箇所あり。
    森絵都さんの作品の中で「〜大いに震えあがったものだよ。君があの子と結婚するなんて言い出した暁には、三日三晩かけて悪魔払いをしなきゃならないって」(131ページ)

    言葉は生き物で、時代によって変化していくことはわかっている。
    「的を得た」という間違った表現を耳や目にする度に猛烈に腹を立てる私に向かって、娘が「もう諦めなよ。その言い方が良しとされるようになってきたってことだよ」と諭してくる。
    弓道とアーチェリーの両方をやってきた娘に対して、全くやったことのない私が「10年間、的を『射って』きたあなたが何故それを許すのだ?」と怒る、ということの繰り返し。
    (娘はもちろん自分が「的を得る」という言葉は使用しないのだが)
    (我ながらめんどくさい母親だな)

    だから以前にもどの作家さんのどの作品だったか忘れたが、「暁には」を本作品と同じようにネガティブな事象に対して使われていた時に調べ済みだけれど、今回もまた調べ直してみた。
    やはりポジティブなことに対して使う言葉だが、皮肉や嫌味や冗談の意味に限定して悪い意味に使うこともあり、というような記述も有った。
    しつこいようだが、私だって、言葉は生き物で、時代によって変化していくことはわかっている。
    ただ、若い世代の作家さんならいざ知らず、直木賞受賞している50代の作家さんには使って欲しくないというのが個人的感想。
    本来ならポジティブな意味に使うということをご存知なかったのか、または皮肉や嫌味や冗談の意味としてあえて使ったのかはわからないが。

    この本で私が好きなのは(これは4作のどれかの題名ではなく、このアンソロジーの題名としてだけ存在している)【チーズと塩と豆と】という題名だけだ。



    【以下ネタバレ注意】




    森絵都さんのお話では、冒頭で「私は花に姿を変えて…」「五枚の白い花びら」とあった時点で(なにかしらの白い花が咲くのだろうという)オチは予想がついてしまった。
    しかし、「蕎麦粉」のガレットとシードルの組み合わせの店に行ったことがあるのにもかかわらず、本文に頻繁に出てくる単語の「黒麦粉」が「蕎麦粉」のことだなんてわからなかったものだから、最後の方で「黒麦粉=蕎麦粉」と(これまた、そうはっきりと書かれてはいないのだが)結びついた時に、「ああ、蕎麦の花は白いもんな。実物は見たことないけど」と合点がいった。
    別に難癖をつけているわけではなくて、最後のそのオチのシーンは良かった。

  • 表紙が可愛く、タイトルも素敵。
    それに人気作家さんのオムニバスなのでちょっと読んでみた。

    タイトル通り、4作品とも食事がらみ。
    そしてオシャレな外国が舞台で、登場人物ももちろん外人。

    私は森絵都さんの「ブレノワール」が好き。
    母と息子の関係、最後にじわっときた。

  • 表紙もタイトルも一目惚れ。角田光代、井上荒野、森絵都、江国香織が食とヨーロッパの田舎町をテーマに書いたアンソロジー。テーマが決まっているからか全体的な雰囲気にまとまりがあってひとりの作家が書いたと言われてもおかしくなく、それでいて4人の個性が出ている。物語のみならず、表紙、裏表紙、各話の扉、著者紹介などに添えられた写真もいい。

  • 4人の作家が描く食卓のお話。

    角田光代さんの「神様の庭」が良かった。泣いてしまった。

    食事の時間を栄養補給のための時間と考えるか、人生の中の重要な時間と考えるか、あるいはもっと違う意味を持つのか、その価値観が一致していないと共に生きるのは難しいのかもしれない。
    食べるということは、それ程重要で基本的な問題なのかもしれない。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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