黒の李氷・夜話 1 (ホーム社漫画文庫)

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  • ホーム社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834273632

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の流れを行ったりきたりしながら転生を繰り返し、その度に女性性を否定される男装の少女セイちゃんと、幾度も彼女に出会い恋をする不死の少年李氷の物語。李氷の飄々とブラックで、でも青くさい性格や、セイちゃんのまっすぐで凛とした立ち姿が良い!

  • 転生を巡るファンタジーです。
    古代中国からいとしい人の魂を追っていく黒衣の少年・李氷。
    第1話は殷の成湯の物語です。

    これ以上はネタバレになるかな?

  • STOP劉備君以外の漫画も好きです。

  • 好きなのよ。

  • これ…すっごいお勧め

  • これはいい中国歴史漫画

  • 白井恵理子センセの中華モノ。不死の少年・李氷が、歴史と時空を行き来して、永遠の人「セイちゃん」に出会い続ける物語。

  • 李氷かわいいよ李氷。

  • 三国志の4コマも好きですが、やっぱり李氷シリーズが大好きです。

  • <br>
    紀元前20世紀。中国、夏王朝。泥人形の李氷はある日、道で出会った男装の麗人に恋をした。時には漢の時代に、清の時代に、時には東国・日本の平安朝に、転生をくりかえし歴史の要所要所に姿を現す彼女を、彼は金魚のフンよろしく追い続ける。だが時代のたびごとに彼女にそっぽを向かれ、あるいは死に別れてしまう・・・。巫蟲の乱、安禄山の乱、殷周革命など、中国史のエピソードとして有名なものを題材にして、二人の追っかけっこを描いていくお話です。<br><br>

    昨年引越をしたさい、迷った末にブクオフに単行本7巻全部売っぱらった。それほど名作ってわけでもないし、もともとブクオフで揃えたものだったしまあいいや。と思ってた。でも単行本板が絶版になったことを聞くに、残しておけば良かったなあ、と思う。手放してしばらく経ってみると、李氷がなんとなく恋しくなる。<br>
    単行本は角川から出ていたのだが、この7月に別なとこで文庫復刊されたようだ(ここの画像はその復刻版)。ネット上で評判を見ても、なんか大多数の知らない人はぜんっぜん知らない漫画であるが、ごく少数の人が熱烈に主人公に入れ込んでいるのがわかる。わたしは後者に微妙に入るか、入らないかぐらいの感じ。<br><br>

    しかしまあ、いったい何がこの漫画の魅力なの?と聞かれるとわたしは非常に答えに詰まる。そこまで完成度の高いものではないし、かと言って、未熟だが随所に類いまれなる作者の才能が見いだせる作品!ってわけでもない。歴史漫画好きの人からしてみたら内容があまりにずさんであろうし、良くも悪くも、作られては消費されをくりかえす「ちょっと切ないファンタジー少女漫画」の域を大きく脱していない気がする。<br><br>

    まず絵。<b>かなり下手くそ</b>...。身体全体も顔のデッサンも狂いまくってる。単行本バージョンの1〜3巻は、ほんとにもうアチャーという感じのへたっぷりだ。背景とか衣装・甲冑とかも(たぶん)適当だし・・・<br>
    それなのになんか<b>妙な迫力と色気</b>があるんだよなあ・・・李氷が異様に色っぽいのですよ。表情も豊かだ。そしてヒロインのセイちゃんも こいつは美人なんだなあ。と納得して話を追える顔してるんだなあ。下手なのに・・・。謎だ。本当に謎だ。ああ楊貴妃も色っぽかったわあ。顔とかポーズとか・・・。<br><br>

    物語。<br>
    基本的に「運命・宿命の恋」「輪廻転生---生涯を超えた愛」とかいうのに<b>心底全く興味ない</b>のだが、いったい何がわたしにこの漫画を許容させるのだろう・・・(やはり謎なのだった)たぶん大枠の主人公とヒロイン(成湯/セイちゃん)の絡みはわりとどうでも良くって、ひとつひとつの小編、とりわけ全体の筋にあんま関係ないやつの力だなあ。たとえば楊貴妃の物語は、本人は邪気のない少女でありながら魔性の魅力を持って生まれついてしまったために、男の欲望とエゴイズムに翻弄され夭折する女の話として作ってあって、印象的だった。それと、不幸な人生を送って今は醜く年老いてしまった女が、才能と美貌にあふれた若い女と自分を偽り生活するお話もほのかに哀しい。このあたりを見るに、作者はお話をきちんと作れる人だったんだなあという気がする。<br><br>

    そしてキャラクタ。<br>
    おそらくこの漫画の印象の9割はこの主人公李氷の造形にある。しかし、じゃあ具体的に何が良いの?と問われるとまた言葉に詰まる。一途とか健気とか言うとそりゃ聞こえが良いが、「俺の女に手を出すな!」とか「ぼかぁセイちゃんのためだったら天も地も神も敵に回せらあ!」とか言ったり、(彼女のことが)<font color=magenta>「好きだーーーー!!」</font>って一頁か二頁丸々使って絶叫したり、痛い台詞満載。頼むよ恥ずかしいよなんとかしてくれ。<br>
    それなのに!なんでかしらんが<font color=firebrick>コイツやたらとかっこいい。というか可愛い・・・!</font>こういうのを可愛いと思うあやうさは承知の上だ!でも健気なんだ!(ジレンマ)たぶん、ベースそのものは熱血漢でもマッチョでもなく、口ばっかり達者な怠け者だってところが良いんだろう。ガチンコしてもライバルの男に連戦連敗してるんだよ。(ソレガイイ)<br>
    そのライバルの二郎神君もわりと良いキャラをしている。あんまり深く描きこまれてはないし<b>顔もちょっと変</b>なのだが権力側の犬としての哀しさをしみじみ示している。そんでその二人に数千年間愛され続ける(笑)成湯だが、二人の気も知らないで<font color=blue>「バカ!化け物!顔も見たくない!」</font>とか暴言を吐く鈍感さがやっぱり良いのだ。(良いのか)<br><br>

    つまるところ、何かしらの主題が深く描き込まれているわけではないし、絵は下手だし、ずば抜けた才能の光る表現があるわけでもない漫画なのだ。だからわたしは名作だとは思わない。正直、佳作に入るかどうかも怪しいと思う。だけれどなんとも説明の付かぬ主人公の魅力と、人のなまぐさい部分をさらっと物語に取り入れる手法によって、「感性が時折きらりと光るで賞」みたいな特別賞ぽい存在感を放っているんだと思う。<br>
    結局このお話はネタバレになってしまうけれど、<font color=white>
    女なんて世の中に必要なのか?ってぽろっと、ぽろっと言われて心臓にひびの入ってしまった女神と、その女性をひたすらに愛し抜いた泥人形のお話</font><br>
    であるわけだ。そしてそれを話の真ん中に持ってきて延々と引きずることをせず、ひとつひとつが筋をもつ、ほのかに心に残る掌編で組み立てていったところが好きなんだ。うん。<br><br>

    それにしても覚えている限りすら「セイちゃんは人の嫌がる役目を いっつもいっつもいっつもいっつも!進んでやる娘だよ!」とか「ああ 重い運命をものともしないほどに 君は------強いんだ!」とか、もー <b>困っちゃう</b>台詞にも満ちていたことだわあ・・・そういう部分があるから この漫画好きって言い切れないのよ。うおおお恥ずかしいよ。<br><br>

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