小説ゼビウスファードラウトサーガ

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  • 復刊ドットコム
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835400785

感想・レビュー・書評

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  • 伝説のビデオゲーム『ゼビウス』のバックストーリーを遠藤雅伸が自ら小説化。人類とガンプの遠大なる戦いの物語。

    衝撃と驚愕と感動をもって読み終えた。最初から最後までワクワクが止まらなかった!予想を大きく上回る興奮だった!!ゼビウスってこんな話だったのか。ゲームブック版をプレイしたけど、あれはほぼファンタジーだったから、これほどの途方もないガチSFだったとは驚きだ……。

    ゲーム制作者が自ら書く本書は、設定バックストーリーに肉付けを施しました、という文体で、本格的な小説作品とはいえないのだけれど、そんなことはどうでもよくなるほどストーリーそのものが面白かった!!!本職の小説家が書けば、おそらく数倍に膨れ上がるであろう内容を、ギュッと凝縮しているような濃密さともいえる。

    ナスカの地上絵、ノストラダムスやマヤの予言、超能力といったオカルティックな要素を巧みに取り込み、超古代文明と超知能AIをめぐる壮大な物語世界を作り上げている。1万数千年という時間軸を包括する、そのスケール感たるや!

    超知能AIが誕生するプロセスを、シンギュラリティが近づく現代の我々にとって、40年前に書かれたとは思えないほどリアルに描いている。ガンプが自意識を持つようになる過程は非常に興味深く、その高い先見性に目を見張る。

    ガンプを日常生活で利用する人々の姿が、ChatGPTを利用する現在の我々の姿とかぶる。AIに頼りすぎているために、AIのウソが見抜けなくなってしまったという展開は、現実でもありそうで怖い。その後ガンプによって人類が家畜化され、自分の「意志」という言葉が死語になってしまった世界は示唆に富んでいる。

    AIによる支配、ディストピアの恐怖が描かれる一方、逆に理想的なAIと人間の関係も登場する。それらの姿は、「人間らしさとは何か」というテーマを突きつけてくる。AI vs 人類、超進化したAIから人間らしさを取り戻す戦いという内容は、SFとしてベタではあるが、今の時代にはリアルなテーマであり、かつ、シューティングゲームのバックストーリーとして心燃えるものがある。

    ゼビウス軍に対抗して開発されるソル・バルゥが完成し、ついに発進するシーンがアツい!これからゲームをプレイするモチベーションを上げる最高のラスト。今から、NintendoSwitchで購入したアーケードアーカイブス版ゼビウスをプレイしますよ!(笑)。そんな今年は、ゼビウス40周年!!!

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