くろねこトミイ

著者 :
  • 復刊ドットコム
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本棚登録 : 140
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (24ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835454733

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、1978年に「ひかりのくに」より出版された「おはなしひかりのくに くろねこトミイ」を底本に、新たな装丁で「復刊ドットコム」から出版されたものです(2017年)。

     待望の名作というよりは、インパクトが強くて忘れ難いものになったというべきか、当時の子どもが読めば、漫画やアニメに近いような頼もしい正義の味方の大活躍に、スカッと爽快なお話と思えるのだろうが、おそらく現代の親御さんが読むと気が気でない心境になるかもしれません。

     ただ、女の子「まこちゃん」のその行動には、「みちこちゃん」に意地悪なことを言われたり、黒猫の「トミイ」がおままごとに付き合ってくれないといった理由があることも確かで、ちょっと軽率過ぎる、その気まぐれぶりも子どもだから仕方ない部分もあって、寧ろ、そうしたところに付け込む大人の方が明らかに悪い。

     そして私にとって、神沢利子さんのお話以上に衝撃的だったのが、林明子さんの絵であり、レトロなセピア色の景色を立体的に見せる人物の描き方も然ることながら、圧巻なのは、本気で怒ったトミイの力で空が真っ暗になってからの絵であり、その神か悪魔か判別し難い猫の姿には、黒と黄色の組み合わせが与える印象も加わって、頼もしさよりも人智を超えた恐怖が際立つようで、よく昔の人が猫を妖怪に見立てたり、神や悪魔の使いと考えていたことにも肯けるものがあった、それくらいの惹き付けられる迫力ある筆致を、嵐の雲を巻き込んで突き進むトミイの絵から感じることができた。

     しかし、いちばんインパクトが強かったのは、そんなトミイを見ても『あんたがトミイなの。まあ、なんて おおきく なっちゃって』と全く怖がらない、まこちゃんなのかもしれないが、よくよく考えてみると気まぐれ同士なのも、お互いに好き合った信頼関係もよく似た二人であり、猫も子どもも神に近いような似た者同士だからこそ、あれだけ仲良くなれるのかもしれないと、そんな感慨を抱くことができたことが嬉しかった上に、猫の習性を雷に擬えた神沢さんの表現にも信憑性がありそうで、とても印象深かった。

  • 知らないおじさんについて行っちゃダメー!!
    トミイ、よくやった!

  • おもしろかった!けどちょっとかわいそう。。

  • 女の子が助かって本当に良かった。
    くろねこトミイが空を飛ぶのがかっこよかった。
    *図書館で借りた本

  • ままごとで遊んでると思いきや なんと知らないおじさんに誘拐されてしまう!がしかし、くろねこのインパクト大‼︎

  • まこちゃんのなかよしは黒猫トミイ。みちこちゃんに「ねずみもとれないよわむしねこ」なんて言われても平気。トミイはやさしいねこだと知っています。
    でも「お人形を買ってあげる」と言われて、まこちゃんったら知らないおじさんの車に乗って行ってしまった。
    黒猫トミイは、すぐに怪しいと思う。まこちゃんは「やさしいおじさん」なんて言ってたけど、トミイのことを蹴っ飛ばしたおじさんだ。
    トミイは、まこちゃんを乗せたオレンジ色の車を追いかけて町を走る。車を飛び越え、怒って怒って、大きくなって、黒い雲のようになってトミイは走る。目はサーチライトのように地上を照らす。
    古いホテルでまこちゃんを無事に助け出したトミイ。
    うれしいまこちゃん。
    うれしいトミイ。

    おじさんやら、町やらなんとなく古い気がすると思ったら復刊ドットコムでした。もともと1978年ひかりのくにで出版されてたんですね。
    不審者にきをつけて、という時に紹介するもよし。

  • 知らない男の人について行った仲良しの女の子を助けに行く黒猫トミイのおはなし。

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著者プロフィール

神沢利子 1924年、福岡に生まれる。子ども時代を北海道樺太で過ごす。文化学院文学部卒業。童話作品に『ちびっこカムのぼうけん』(理論社)『くまの子ウーフ』(ポプラ社)『銀のほのおの国』『流れのほとり』(福音館書店・日本児童文芸家協会賞)『神沢利子コレクションI~V』(あかね書房・巌谷小波文芸賞)など、絵本に『たまごのあかちゃん』『おばあさんのすぷーん』『ぽとんぽとんはなんのおと』『おっとせいおんど』『いいことってどんなこと』『えぞまつ』(以上福音館書店)など多数の作品がある。東京在住。

「2022年 『てんのくぎをうちにいった はりっこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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