新選組藤堂平助

著者 :
  • 文芸社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835566528

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで土方さんがモテモテ。犬のように土方さんになつく平助が可愛い。そして「あの男はトシの何だ」とか聞いちゃう近藤。
    平助の運命を決めていく土方さん。清川と京に行くという平助に「俺がつれていく」。浪士組を出るときに「いかないと答えたら?」「無理にでも従わせる」…ものすごく俺様な土方様がいます(笑)
    後半に行くにつれて政治・時代背景の話が多くなり、時代にのまれていく気持ちになり、切ないです。
     土方さんをかばって怪我をする山南さんは、土方さんの中に消せない傷を残したいヤンデレ。黒い…!

  • 藤堂平助の18歳から24歳までの、短い生涯を丁寧に書いてあります。
    新選組の中で土方を慕い、永倉とは冗談を言い合い、そして他の隊士にも優しく接した平助が、最終的に新選組を裏切ってしまう。
    裏切った平助を連れ戻そうとした斎藤、平助を逃がそうとした永倉。新選組の中で、どれだけ平助が好かれていたかがわかります。
    優しく、繊細で、敵にも情けをかけてしまう平助。だけど志は強く、それゆえの悲しい結末でした。
    分厚い本でしたがぐいぐいと引き込まれ、藤堂平助がさらに好きになりました。

  • 自分の信念を持ち、それを曲げずに生き続けた姿はかっこいい。藤堂平助という人物を前よりもっと好きになるきっかけになった作品。

  • この本は、わたしが時代小説・歴史小説を書くことを思いっきり後押ししてくれた本です。
    この本が出たとき、新選組の藤堂平助という人物はいまほど有名ではなかったと思います。
    今でも、「すっかり有名になった」とは言い難く、平助が主人公の本はまだ少ないと感じていますが……。
    そんな藤堂平助に馴染むための入門にいかがでしょうか。
    ……その際、できれば「史実」や「新選組に対する既成概念」は取り払うことをおすすめします(笑)

  • 藤堂平助を扱った数少ない作品。
    乙女ちっくな藤堂平助が気になるところではありますが、新しい、人間くさい新選組です。

    秋山香乃さんの作品は、演劇をされていたという事もあってかキャラクターがしっかりされていて、多く読むとかなり楽しいです。どこに行っても平助は平助、新八は新八・・・みたいな?

    とにかく大好きッス

  • 新選組四天王の一人、なのにあまり注目されない藤堂平助が主人公。

    冒頭BL風なところにう~ん、となりつつ
    山南さんの死に泣きました。
    小説で泣いたの久しぶり。
    こんな繊細な男だったのか・・と思いつつ、
    ほかの幕末物を読みたくなりました。

    新選組を扱っている小説の中でも解説がとても丁寧で、
    スピード感があって面白いけど細かい時勢の変化が分かりにくい(と個人的に思う)幕末時代小説の中では
    初心者向きなのでは、と思います。

  • ほとんど主人公は土方だった。藤堂と土方が半々な感じ。後半に斉藤が少し。この人は絶対に土方歳三が好きだ。藤堂が土方に拾われるという今までとはちょっと違う設定で見れて楽しかった。この人の小説はオリジナルの人物が良く出てるけどよくなじんでていい!

  • 『新選組藤堂平助』遂に読み終わりました。燃えよ剣の下巻を読んでる途中で友達から借りたのでこっちを先に読んだ次第です。秋山香乃さんという方が書いた作品なのですが、新選組隊士一人一人のキャラがとても素敵でした。平助と土方さんの繋がりがとても個人的に好みでした。それと斎藤一さんのキャラが最高!あれはツボでした。
    この本では今まであまりなじみの無かった御陵衛士について沢山書かれていたので、とても勉強になりました。
    読んでいる最中、何度もニヤケたり、悲しくなったりしながら読むことが出来てとても幸せだと思います。土方さんが大好きな分、悲しくなるところも多かったのかと自分では感じています。そしてこの本を読んだお陰で、平助のことが、また、斎藤一さんのことが今まで以上に好きになれました。
    今回は長くなりましたが、この辺で。

  • なかなか珍しい、藤堂平助が主役の小説。
    女性作家らしいやわらかく抒情的な文章に、するすると引き込まれた。
    丁寧な心情の描写や、日常風景を多く描いているなど、時代小説が苦手な人も読みやすいかも?
    ただ、史実を知っていて読むともう・・・あらゆる場面で切なすぎる。
    前半部分のほのぼのエピソードとか、無邪気に土方を慕う場面とか。
    そういうのがあればこそ、あのラストに至る葛藤が際立つんじゃないかな、と。

    以下、ややネタバレ…なのか?

    「わたし、土方さんに会えてよかった」
    このひとことに全てが集約されていると言ってもいいかもしれない。
    運命とも言うべき偶然の出会いによって、苦境の中から掬い上げてくれた土方を慕う藤堂。
    まさに恋い焦がれるように惚れ込んで土方についていく。
    しかしやがて訪れる軋み。
    土方への深い想いと武士としての信念―このふたつの間での葛藤・・・
    悩み抜いて出した結論は別離の道ではあったものの、
    それでも最期まで土方を慕い続けたその想いに感動。

    大きな歴史の流れと日常の光景が上手く折り合っているのがまたいい。
    ふとしたやりとりや、心情の描き方が上手いと思う。
    体温のある文章というか、その場の空気を追体験できるような。
    歴史上の人物ではあっても、10代・20代の青年としての日常が当然あったわけで。
    軽口を叩き合ったり、ふざけたり・・・
    そうしたごく些細な日常の光景がすごく生き生きと描かれていて
    激動の時代だからこそグッとくる。
    特に新八っつぁんと斎藤さんとのやりとりがイイ。
    斎藤さんはちょいちょいオイシイとこ取り(笑)

    そして最後に土方に届けられた橘の実・・・

  • ■土方歳三は18歳の藤堂平助の初めての殺しの現場に居合わせる。その先で二人を待つものは…。「新選組」の面々を、侍的哲学による心の葛藤という切り口で描く。2000年刊「裏切者」の改題・リメイク版。

    ■■新撰組を取り扱うお話のなかでも、主要メンバーの一人でありながら決してメインになることのなかった藤堂平助を主人公にしたお話。山南さんの切腹事件や藤堂のご落胤説が一般とはちょっと違った解釈をしてるのが物珍しかった。繊細で綺麗な文章は、読んでてちょっとうっとり。だけど作者が女性なせいか、ぬるくホモ臭い。ってか土方さんが男の色気むんむん。土方さんが美形なのは言うまでもなく、藤堂も女性的な優男。ヴィジュアルがよいと読んでても楽しい。
    ただどうにも藤堂や土方の心理面の描き方がぬるく思えて、今一感情移入しきれず。雰囲気を察して読むものだったのかも。とにかく描写は綺麗でした。最初から最後まで悲壮感と儚さたっぷり。結末は、さすがに胸に詰まりました。

     元結もとっくに切れて、土方の指の間から少しずつ藤堂の髪が零れて散った。藤堂は全く身動きができなかった。
     土方は藤堂に合わせてしゃがむと、顔の前にもばさらに散らばる自分の乱した髪の毛を、丹念に指で払ってやりながら、
    「伊東にくれてやるくらいなら」
     と囁く。藤堂が身震いした。
     土方の目がふいに笑う。
    「ただじゃ殺さねぇ。嬲り殺しだ」
     言葉にそぐわぬ優しい声音が、藤堂をさらにすくませた。

    土方の藤堂に対する執着と藤堂の土方に対する愛情の形に泣ける。

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著者プロフィール

1968年福岡県生まれ。活水女子短大卒業。2002年『歳三往きてまた』でデビュー。2017年『龍が哭く河井継之助』で第6回野村胡堂文学賞受賞。柳生新陰流居合道四段。主な著作に『伊庭八郎凍土に奔る』『密偵』『獺祭り白狐騒動始末記』などがある。

「2022年 『氏真、寂たり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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