ありのままの私

著者 :
  • ぴあ
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835628417

作品紹介・あらすじ

男性のフリはやめました。女性装で話題の東大教授が見つけたのは「自分自身でないもののフリ」をすることは、すべての"暴力の根源"という発見だった!

感想・レビュー・書評

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  •  これを単なるエッセイと言ってしまうのは、あまりにも軽すぎて失礼かもしれない。
     著者は、40代半ばまでは、通常の男性として、大学に勤めていたが、故あって、レディースの服を着始める。そこで自分の外観や内面に起こった前向きで自然な変化を経て、「立場」という「フリ」を捨てて、素のままの自分で居ることの大切さに気付く。
     また、「フリ」をした結果、フィジカル、メンタルでの暴力的なものに支配されてしまっている他人や、現在の社会そのものにも警鐘を鳴らしている。
     この本を、「今、オネエがトレンドだから出したんでしょ」と思わないで欲しい。どんな人でも、日本の社会から課せられたいろんな枠(「母親」「父親」「部長」「女性」「男性」「社会人」など)に、不自由や疑問を抱いたことがあると思う。そして、それを人に強要してしまうのも理解できると思う。それらから、少しづつ自由になっていく著者の過程には、非常に深いところで共感した。そして、この人が同じ日本にいることをとても心強く感じた。
     近いうちに、著者の他の著作も読んでみたいし、講演会があればぜひ行ってみたい。
     

  • 我慢してるから、我慢してないひとがムカつくんだよね
    我慢すべき社会とか、人生は修行とか、そういうのやっぱり止めたい
    自分を洗脳して、嫌なことを好きなふりしてやるからストレスがたまって人にぶつけてしまう
    カテゴライズできない人を、カテゴリーのなかに押し込めようとすることも、偏見のひとつなのか

  • 先日、「性同一性障害」の方の講演を聞いた後、facebookだったか、この本を知り、読んでみた。
    読んでみて、自分が「人」に思ってきたこと、自分が「自分」に思ってきたことが自然な見方だということの手応えを得た。人はその人のみの固有の存在なのだ。理屈抜きに宇宙にたった一つの存在、それが「人」であり、「自分」なのだ。

  • パッと見、女性向けの自己啓発書のようだし、著者のカラー写真ばっかりで「うえ……」となったし、序盤は自分のことばっかり書いていてほかのLGBT本と変わらなかったのでテンションが上らなかったが、後半になり、マスコミや社会、政治に対する批判からせいのあり方と宗教、国家など、おそらく本来の安冨氏が解く意図する領域に入ると俄然おもしろくなってきた。一番ショッキングだったのは、結局のところ私もLGBTを理解しようとして、必至に彼らをカテゴライズしているだけだったのだ。それに気づけたのは大きい。

  • 「なぜ日本の男は苦しいのか?
    女性装の東大教授が明かす、この国の「病理の正体」」
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47501
    という記事を読んで初めて安富歩さんを知りました。今「女装」が何かと話題になっておりますが、上記の記事を読んだ私の印象は「東大の先生も女の子になる時代になったんだなぁ」という感慨深さでした。自らを「男性装をやめた」という立場をとっていることも興味をそそられます。とにかく、そんなこんなでネットの記事の内容が大変面白かったので、まずはこの本からと思い購入しました。買ったその日に読み進め、読み易かったので翌日には読了してましたね。

    読んでみて、私自身「女の子になったことのある」身として大変うなづける話でした。女性装をすることによる安心感というのも、私自身女の子になって確かに感じました。歩さんの場合「靖国」とからめて「兵隊にいかなくっていいんだもん!」という安心感だったようですが、私はそういうのも含めて「クズみたいなオトコらしさから解放された! 自由になれた!」という解放感でしたね。
    「クズみたいな」部分といっても、これまではどうにも複雑でごちゃごちゃしていて私自身語りづらかった。だからこそ、歩さんの「立場主義」「靖国精神」という形ではっきりさせ、「暴力」として明快に斬っていく本書でのスタイルには胸がすく思いがしたし、勇気付けられたとも思いました。

    「バブルだとか、戦争だとか、環境破壊とか、そういった、誰にとっても良くないことを、どうして人間はみなで一生懸命やってしまうのか?」(p.16)、確かに私も疑問に思います。歩さんがそのテーマを学術研究として追求することと、女性装の実践が、別々ではなくちゃんと結びついているというのも面白いですね。歩さんの他の本も読んでみたいと思いました。

  • 安冨さんって、これまでけっこう堅めなことを書いているイメージしかなかったので、この本が出たときは驚きでした。こういう本を出すことができるのは、編集者の力なんやと思う。「自分自身でないもののフリ」をしてしまうと、人間はつらくなる。これはその通りで、女装とかに限る話ではない。読んだ瞬間、胸をつかれる思いやった。確かに、人間そういうときって誰にでもあるなぁと。

  • ファッションは女物が好きで、女性装が落ち着く。自意識は女性で、昔から女性の友達の方がしっくりくる。
    恋愛の対象は女性で、性器を女性化したいと思ったことはない。オネエ言葉は使わないという著者。
    性同一性障害の障害という言葉が、男性の体を持ったまま女性装で暮らしたい人、身体的性別を変えずに同性を愛する人を圧迫するという指摘には、その通りだと思います。
    生まれ持った体のまま、同性のパートナーを持つことは許さない。体にメスを入れるなら許す、というのは非道でしょう。
    それにしても、『異性装は本人の自由』で通る東京大学という職場の、揺るぎない学問への信頼よ。真理は我らを自由にする、ということですかね。

  • ありのままに生きること、私にとっては、母のようにいろいろな服を短期的に買って着ることではなく、ずっと着られるシンプルな服を長く着ることだったみたいです。
    みんながありのままに生きられるといいですね。
    安富さんの原点が分かる本で、読みやすかったです。

  • ついに安富本デビュー。ってちょっと大げさか・・。
    「一月万冊」等の動画ですっかりおなじみになった安富先生だけど、まだ著書を一冊も読んでいなかったので、まずはこれから・・。ちなみに細川貂々さんの『そして彼は彼女になった』と合わせて読んだのは正解だったかなと思う。「つれあい」さんの話とか、ご家族のこととか、さらに背景がいろいろ分かったので・・。
    前半は現在のようないでたちになるまでの経緯が描かれている。そこから、次第次第にメディアへの露出が増えていき、後半は「無縁」や「トランスジェンダー」についてのお話も。この後半部分は、さすが大学の先生だ‥と思わせる部分でした。とはいっても、そこまで難しく書いてあるわけではないので、気楽に手に取った方でもしっかり読めると思うし、読むべき。
    「無縁」という言葉はそういえば、去年の参院選後のコメントでも使われてたな・・。もう一回読み返してみようかな・・。

  • 2018年にYouTubeで公開されていた2013年ごろの授業を観て内容が衝撃的に面白く、今どんなことをしてみえるのだろうと、調べた結果出たのがこの本。
    2度衝撃を受ける。。。
    今じゃすっかり、彼のファンです。

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。
著書『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出』(NTT出版)、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)、『生きる技法』『合理的な神秘主義』(以上、青灯社)、『生きるための論語』(ちくま新書)、『満洲暴走 隠された構造』(角川新書)ほか

「2021年 『生きるための日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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