「人の上に立つ人」の勉強

  • 三笠書房
4.06
  • (14)
  • (6)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 95
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837919520

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 江戸後期随一の儒学者・教育者にして、佐久間象山や横井小楠らの師匠、佐藤一斎の大著、「言志四録」の60の名言と、藩の重臣に向けの十七の心得を纏めた「重職心得箇条」を収録した書。

    心に響いたのは、

    「書は妄(みだり)に読むべからず、必ず択(えら)びかつ熟するところありて可なり。ただ要は終身受用せば足る」

    「およそ事を作(な)すには、すべからく天に事(つか)うるの心あるを要すべし。人に示すの念あるを要せず。」

    「信を人に取ること難し。人は口を信ぜずして躬(み)を信じ、躬を信ぜずして心を信ず。ここをもって難し。」

    「二、大臣の心得は、先ず諸司の了簡(りょうけん)を尽さしめて、是を公平に裁決する所其職なるべし。もし有司の了簡より一層能き了簡ありとも、さして害なき事は、有司の議を用いるにしかず。有司を引立て、気乗り能き様に駆使する事、要務にて候。」

    「仕癖(しぐせ)の例格にても、其通りにて能き事は其通りにし、時宜に叶わざる事は拘泥すべからず。自案と云うもの無しに、先ず例格より入るは、当今役人の通病(つうへい)なり。」

    現代ビジネスにおいて十二分に通じる、普遍的な格言の数々。一斎先生の見識の深さに脱帽。

  • ※2003.8.10文庫本購入@八王子市TOKYU SQUAREの書店
     2007.9.17売却済み

  • 口語訳が読みやすく、とっつきやすいです。
    現代社会でもそのまま役に立つ内容です。

  • 言志四録と重職心得箇条がコンパクトにまとめられており良著。

    <めも>
    ・学びは少年期でも壮年期でも老年期でも役に立つ
    ・自分の信念を信頼して進めば良い。
    ☆外にばかり知識を求めるのでなく、内側に向け、心の研鑽に励む。書物は無目的に乱読するべきではなく、正しく洗濯して、熟読するべき。読んで得た知識を生涯にわたって活用することが大事。
    ・心がざわついて落ち着かないと、行動を謝る。心がたるんでいると、ものの見方がうわついてくる。心に不満があると、気力が萎え、いじけてくる。心が虚になると顔形までだらしなくなり、心がおごると顔色が傲慢になってくる。
    ・学ぶべきは智・仁・勇の三つ。
    ・時間は時事刻々と移り変わるが、自分の心は現在に据えておかなければならない。
    ☆自分の未完の大器を信ずる。
    ・志が確立していると、あらゆる雑念は雲散霧消する。清らかな泉の水が湧き出ると、外からの余計な水が入り込めないようなもの。
    ・頭脳は冷静、背中は人を動かせるよう暖かく、胸は人を受け入れられるよう虚心坦懐で、腹はものに動じない胆力を。このようにありたいものである。
    ・暗いところにいるものは明るいところの様子が見えるが、逆はよく見えない。
    ・短い1日を喜べ。怠けて過ごすと長いが、勉強に励むと1日は短い。主観で時間は変わってくる。
    ・知識も工夫も必ず自分のフィルターで吟味すること。
    ・発言が大きくもなく、元気があるわけでもないが、深い含蓄があれば、見識高く、度量も広い人物である。
    ・部下の気持ちを明るくしろ。人心が明るければ仕事能率は2倍にも3倍にもなる。そのためには誰でも納得がいく信賞必罰と気分高揚策が不可欠

  • ・若い時も、大人になっても、歳をとっても勉強せよ
    ・本は、乱読せず、厳選して読め、そして実践せよ
    ・部下には楽しく仕事をさせよ
    ・人には暖かく接し、自分には厳しくせよ

    幕末に書かれたものとは思えない、現代にも通用する内容。
    いつの時代も、人が成長するために必要なこと、重職に求められることは変わらないということか。

    実践、実践。

  • 前半は人生訓、後半は上司としての心構え。
    家老の家に生まれたがゆえあって家督を継がず、儒学者になった佐藤一斎。朱子学、陽明学、そして易学をよくした。その弟子には佐久間象山がおり、さらに孫弟子には坂本龍馬、勝海舟、吉田松陰など。彼の思想は幕末の志士に影響を与えた。

    「人の上に立つ人」になれるかどうかはともかく、自分の人生を律する名言が散りばめられた書物。東洋哲学も奥が深い。

  • 200年前に書かれた本のようだが、今現在の社会に置き換えてもなんら違和感はない。人の上にたてる人は今も昔も変わらないというこのなのだろう。

    30分もあれば全部読めるので、今後も定期的に読み直そうと思う。
    素晴らしい本だと思う。

  • 言志四録のエッセイが詰まっている一冊であり、とても勉強になる。

  • 陽明学の書、佐藤一斎は昌平黌の儒官にもかかわらず朱子学を看板に掲げておきながら陽明学を教えている。「知行合一」。門下生には勝海舟、坂本竜馬、吉田松陰、など維新の志士が数多くいた。図書館で借りてすぐ読めたが、この本は借りる本ではなく買う本。何度も読んで味わい、自分を省み、実行する書。良い本に出会った。



  • 昔の教養のある人の必読の書だった『言志四録』。

    その『言志四録』がわかりやすく解説つきで紹介されています。


    この本は私の合気道の師範が中国にお越しになった際に読まれていたもので、私もすぐに購入しました。

    ちょうど日本から友人が遊びに来るので買ってきてもらったのですが、「あまりに古典だったから、はじめは目を疑った」といわれました。

    最近の若い人は読まないんでしょうね。


    本自体は古くても、その内容は今でも通じるところがたくさんあります。

    どのページから読んでもそれをただ知識として得るだけでなく、深く内省して味わえば得るところがたくさんあるはずです。

    決して速読してはいけない。

    そして、一度読んだだけで終わりにしてはいけない、味わい深い本です。

    人間として大きく成長したい方にお勧めの一冊です!

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

朱子学・陽明学を消化し、 近世日本儒学に偉大な足跡を残し、 幕末維新の主な学者・思想家を育てた大儒。
【著書】
『言志四録』一斎の透徹した人生観を語り、処世上の指針を与える書。西郷隆盛の愛読書としてしられる。
『重職心得箇条』等の政教に関する心構えを説いた書
『愛日楼文詩』詩文集
『論語欄外書』等、中国古典の訳注書も多数ある。

「1990年 『佐藤一斎全集 1 政教論考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤一斎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
デイル・ドーテン
ロバート キヨサ...
松下 幸之助
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×