葉隠

著者 :
  • 三笠書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837920984

作品紹介・あらすじ

『葉隠』の素晴らしさは、人間の生き方を教えていることである。宗教でもなければ、道徳でもない。それを超えたところにある「人間の美学」だ。いつの時代であれ、社会秩序のなかで飼い慣らされず、主体性を持って生きるために最も必要なのがこの「美学」である。起居動作一つから、他から後ろ指をさされないための修養まで…美学の根本を語った鍋島藩士、山本常朝の渾身の「武士道指南」をわかりやすく体系づけたのが本書である。

感想・レビュー・書評

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  • 死の覚悟を持つこと、
    いつも死に身となり、心を正して職務あたること

    正気では大仕事はできない、死に物狂いで立ち働く

    「いま」この時が「いざ」の時
    いまといざを二つに分けて理解しているものは、いざというとき間に合わない。いまといざは一体として考え、常にいざに備えておく
    (覚の士 ⇔ 不覚の士)

    武士が意地を立てるときは、やりすぎくらいがちょうどいい。
    刀を抜いてばかりでは誰も寄り付かないが、鞘に納めてばかりなら人に軽蔑される。

    不動心、一念に徹する

    聖をヒジリと読むのは、聖人は非を知っていたから
    誰にでも至らないことはある、という謙虚な心を持つのが聖人。
    しかし、武士の生き方はそれとは違う。
    大いに高慢な心を持ち、自分に並ぶほどの勇士は他にいないくらいの気概を。

    喧嘩の仕返しをしないのは武士の恥。
    相手が多勢でも命を賭して仕返すのが武士。言い訳をつけてやらないのは恥。
    武士が頭を打たれたらなら、相手を斬り捨てる。

    芸は身を助けない。
    鍋島家の侍は、芸事、学問などそのものに熱心になるのではなく、
    奉公に全て身をささげよ。
    奉公一筋を心がけていたなら、暇な時があろうはずがない。

    武士のあり方を一言でいうなら
    自信の身命を惜しみなく主君に差し上げることが根本。
    このうえで、智・仁・勇 の三徳を備えること。
    智とは、人と相談するだけの事。これが計り知れない智なのだ。
    仁は、人のためになることをすればよい。自分と他人を比較して、いつも他人が良いと思うようにしてやりさえすればよい。
    勇は歯を食いしばること。前後の事を考えないでただ歯を食いしばって突き進んでいく。

    自信の立身出世、自分の名誉のためでなく、殿のため、家のため。
    殿に進言する立場に自らがいないのであれば、然るべき立場のひとへ話し、その人が自分の意見として殿に申し上げるように努めるのが本来。
    自分の手柄をもとめるものではない。

    意見をする場合は、まずその人が受け入れてくれるかくれないか、
    その気質を十分に判断して、それから懇意な間柄になり、平素から
    こちらが言う言葉を信頼するように仕向けておき、またその人が好んでいることなどからも近づき、話し方をいろいろと工夫して、言う機会を考え、
    自分の失敗や欠点も語って、それと指摘しないでも思い当たるようにするか、
    あるいは、まずその人の良い点を褒め上げておいて、元気を出させるように気を配り、のどが渇いているとき水を飲むように、自ら望んで受け取らせる、こうして欠点が直るのが本当の意見というものだ。

    世の中には教訓をする人は多い。しかし、その教訓を喜んで聞く人は少ない。まして、そうした教訓に従う人はさらに少ない。人間三十歳を超えると教訓をしてくれる人もなくなる。教訓の見たがふさがって自分勝手になるので、一生涯非を重ね、愚を増して、結局つまらぬ人間で終わる。道理をわきまえた人には何とか親しく近づきになって、いつも教訓を受けることである。
    年功を経たものの話などを聞くときには、たとえ自分が知っている事でも、十分に尊敬して聞くことだ。同じことを十度も二十度も聞いているうちに、ふと理解できるときがある。

  • 小学校の時間割に「道徳」という時間があった。
    月曜日の1時間目が定位置だったと記憶している。

    月曜日1時間目は、
    学校行事等でもっとも潰れやすい時間枠。

    ついぞ学校で「道徳」を習った覚えはない。

    この本で書かれていることは、
    「奉公」についてである。

    武士としてお家に奉公するには、
    こうあるべき。

    また、人としてあるべき姿についても
    書かれていた。

    「道徳」は、
    公と人倫について学ぶ機会だったと思うが、
    それを蔑ろにしている、
    学校の罪は重い。

  • 鍋島家の奉公人に向けたメッセージ。会社なら教訓・心得みたいなもんか。
    武士道=死ぬ事だそうで。直ぐに腹切り。

  • まだ、読めてない!友達からのお勧め本

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著者プロフィール

1913~2001。山口県生まれ。京都帝国大学文学部国史学科卒業。元立命館大学教授。専門は日本近世思想史、幕末維新史。著書に『近代陶磁器業の成立』『日本近世史研究』『近世封建社会史論』『維新史の課題』『吉田松陰』『日本経済史』『二宮尊徳』『部落問題入門』『高杉晋作』『明治維新論』『変革者の思想』『武士道の系譜』『町人の実力』『幕末入門』『叛骨の士道』『維新的人間像』『「狂」を生きる』『日本地酒紀行』、共編著に『未解放部落の社会構造』『未解放部落の歴史と社会』『近世日本思想史研究』『明治維新人物事典 幕末篇』『日本の私塾』『幕末志士の手紙』『素顔の京都』『適塾と松下村塾』『京都百話』、訳・校注書に『統道真伝』『武士道』『葉隠』などがある。

「2013年 『吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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