竜宮ホテル 迷い猫 (f-Clan文庫)

著者 :
  • 三笠書房
3.98
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本棚登録 : 404
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837936008

作品紹介・あらすじ

作家の響呼は、異界の住人が見える左目を持ちながら、その力と、それゆえに見える世界を否定して生きてきた。だが、住まいの古アパートが崩壊し呆然としていた響呼は、その傍らで泣く猫の耳としっぽのある少女と出会う。倒れてしまった少女を連れ、今はアパートとなっているというクラシックホテル「竜宮ホテル」で世話になるが、そこは、美しくもどこか不思議な場所で…。

感想・レビュー・書評

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  • 作家の水守響呼は、「運が悪い」。何をやっても裏目にでちゃう。
    しかもあやかしが左目を使うと見えてしまうので、外に出ず引きこもっていました。
    そんな響呼ですが、書く小説は、読者が幸せになるお話し。ファンも多い。
    ある日、ファンの一人である編集者の寅彦に出会います。前向きでポジティブな彼と一緒に帰宅すると、目の前で自宅が崩れ落ちます。

    やっぱり、自分は不幸な人生なのだと思っていると、寅彦は「いやいやこれは幸運です」と実家の竜宮ホテルに来るように響呼を誘います。
    そこは、レトロな作りの不思議な物が引き寄せられるホテルでした。

    響呼を訪ねてきた、頭に猫耳があるひなぎくと一緒に、竜宮ホテルでの生活を始めます。今まで封印してきた左目で見える光景は、響呼の心を開いていきます。そして、しまい込んだ父への思いを伝えたいと思うようになります。

  • 表紙の 猫娘がかわいい。
    少し はにかんだような ちょっといたずらっこっぽい。
    ちっちゃなクダギツネが かわいい。

    入院して目を覚まさない母と 作家のキョウコ。
    人を幸せにするけど、それは自分の幸せを 分け与えるだけで
    幸せにした分、自分の大切な人が不幸になるという
    祝福であり 呪いでもあるという血筋。
    異世界の住人が見える左目。


    わけあって 竜宮ホテルという アパートに住むようになり。
    引き寄せられて 建物と相性のいい人だけが住んでいるアパート。
    しかも格安。夜景の見える屋上庭園と 温泉つき。
    もとホテルだけに さすが豪華。
    異世界の人も住める。
    みんな気の良い ステキな人たちだったな。

    大事な人を不幸にするかもしれないと
    他者と深くかかわらず 閉じこもっていたキョウコが
    竜宮ホテルに引っ越してから
    出会った人との交流で 少しずつ 変わっていく。

    昔 父にとった態度で後悔していたこととか
    母が目を覚ますことはないという絶望に近い不安や
    いろいろネガティブな思いが
    なにか あったかいものに包まれて 癒されていくイメージ。


    衝撃的だったのは
    木製タイムマシンと 携帯型タイムマシン(木の葉)
    今まで 金属のイメージが強かったけど
    そういう発想もあるのかっと。 目からウロコ。

  • 例によって、例の如く。
    公共の交通機関で読んではいけないのです。

    点というポイント、というでなく、このお話の雰囲気というものに、三分の一を過ぎた辺りから、はらはらと涙が。
    最後はボロボロと。

    歳をとるということは、涙脆くなるという事なのでしょう。

    途中、寅彦さんとの間にラブはあるのか?!とマサカの勘繰りを致しましたが、そんなことはなく(苦笑)

    父と娘の邂逅を軸に、心の中の曇り空が、少しずつ晴れ渡っていくような、そんな素敵なお話でした。

    続き、出ると嬉しいのですが・・・・。
    もっともっと、このホテルで楽しみたいと思いました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「公共の交通機関で読んでは」
      村山早紀+遠田志帆だから、読もうと思っているのですが、通勤時に読めない内容だと、ますます後回しになるなぁ、、、
      「公共の交通機関で読んでは」
      村山早紀+遠田志帆だから、読もうと思っているのですが、通勤時に読めない内容だと、ますます後回しになるなぁ、、、
      2013/01/24
  • まさかティーンズ文庫のコーナーにあるとは思わず、本屋で探し回ってしまいました!ううぅ、泣けました!よかった。ひなぎくちゃんが、可愛くて、こんな妹欲しい!愛理さんとの話もよかった。お父さんのエピソードはいうまでもありません。目頭がこう、キューっときます。寅彦さんとのロマンスがあったらいいのになぁ。読んでみたいなぁ。あぁ、もっと風早シリーズ読みたーい!

  • 人ならぬ登場人物も含めて、誰もがとっても可愛らしい。そして、否定的な考えから肯定的に、諦めから希望へと変わっていくのが微笑ましい。

  • 一人で暮らしている作家の水守響呼は、もって生まれた「ちから」のために、ひとに近づくことができない。なにもかもが「不幸」だと思っていたのだが、ある人と出会って、その方向が変わってくる……?「風早の街シリーズ」の一冊(といっても、舞台が一緒なだけなのできにせず読んでおくんなまし)。
    少女小説というよりは、大人の女性向けの現代のおとぎ話といった感触でした。いつもの村山早紀さんだ。響呼さんの置かれた境遇は、貧しくはないけれどとても孤独。(それであっても、大家さんとか、彼女を好きでいる人はいたと思うけど)彼女の視点が変わることによって、それが少しずつ変わった角度から見えていく物語なんだろうなあ。紺野キタさんが好きな人は好きだろうと思います。

  • お伽噺のような血筋に生まれた二十代の女性小説家のお話、というか、彼女が見つけた居場所のお話?
    焦点が絞れてないのでなんとも言えませんが、とにかく可愛くて、可愛い話。
    徳間文庫に移るようなのでそちらでどうなるのか気になります。

  • 優しい気持ちになれます。
    村山早紀作品には間違いなく癒されますな。

  • 読書感がいいね。終わるのが名残惜しいくらいの物足りなさ。ふわふわ不思議ワールド。ひらがなが多くてちょっと読みづらかった!

  • 人に幸せをわけて暮らしている主人公は、ある時
    アパートが崩壊してしまい、住まいに困ってしまった。

    そして出会った、自称運がいい他の編集者さん。
    アパート崩壊の時に拾った、猫娘。
    住む所と紹介された所のオーナーは、憧れの作家。
    建物内ですれ違った学生は…『遠い所』の人。

    視点は主人公で固定されてますし
    読みにくいという事もなく。
    ちょっと不思議ですが、流れるように話は進むので
    不思議度が増すくらい?

    ただ、登場人物のエピソード盛りだくさんなので
    寄り道たくさん、です。
    最後の選択をするために必要ですし
    主人公がほぼ動かないので、動くよう
    働きかけてくれる人達が必要なので違和感はなし。

    人生、日々後悔せぬよう生きていかねばなりません。

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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