ハーバード流交渉術 必ず「望む結果」を引き出せる!

  • 三笠書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837957324

作品紹介・あらすじ

交渉は「駆け引き」のうまい者が勝つ-それは大きな間違いである。本当のプロフェッショナルは、時間と労力をもっと効果的に使う。どんな複雑な利害があっても「最高の解決法」を導く。相手の面子を立てながら、自分の要求を通す。「どう見ても不利」な状況も一発大逆転できる。理屈が通じない相手を180度変える「ひと言」…。「交渉力」を身につける-ハーバード史上最高の研究。

感想・レビュー・書評

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  • 交渉術の古典的名著。世間一般的に有名なのは「駆け引き型」の交渉術。でもこれだと双方納得する結論には至らない場合がある。なるべく衝突を避けようとする「ソフト型」も、相手に言いくるめられないようにする「ハード型」も、互いが自己保身に執着し、解決点が見出せない。そこでこの本では「原則立脚型」について語る。原則立脚型交渉とは、人と問題を切り離して、立場でなく利害に焦点を合わせ、双方が満足できる結果を得ようとする交渉方法。事前準備をしっかりと行うことで誰でも交渉の手綱を握ることができると教えてくれる良書。

    以下、本書より抜粋
    「昨日の行動のいい・悪いを問い詰めるより、明日、誰が何をできるかを考えよう。」

    「一つ目の原則:人と問題を切り離す――交渉では案件そのものを協議する前に、人間的要素を切り離して対処し、かつ、同じ立場に立って解決に取り組むのが望ましい。相手ではなく、交渉で話し合うべき問題に立ち向かうのである。」

    「二つ目の原則:条件や立場でなく利益に注目するーーお互いの利益を満足させることが交渉本来の目的であるにもかかわらず、提示した条件にこだわることの弊害に注目してはいけない。相手に表明した条件と本来求めていることとの間には、ズレがあることが多い。つまり、その条件の間のどこかで妥協しても、本来のニーズが満たされない可能性が高いのだ。そのため条件や立場でなく利益に注目することが重要となる。

    「三つ目の原則:精神的に余裕のない状況では満足のいく結論を見つけるのが難しい」

    「鼻先ににんじんをちらつかせてくる相手には:圧力に屈せず、原則にもとづいて交渉を進める。交渉における圧力にはさまざまなものがある。ワイロ、脅し、信用してほしいというアピール、あるいは単純に一歩も退かない態度をとり続けるケースもある。いずれの場合も、相手側の理を聞き出し、適用すべきだと考える客観的基準を示して、それらの原則に拠らないかぎり情報しない姿勢を貫く。」

    「相手が主張してきたときに突っぱねず、自分の案を批判されても弁護はしない。攻撃されてもやり返さない。こちらが反応しなければ、悪循環のサイクルを断ち切ることができる。押し返すかわりに横によけ、相手の矛先が問題に向かうようにしてしまおう。東洋のブドウであえる柔道や柔術と同じように、力に力で対抗せず、体をかわして相手の力を利用するのだ。力を受け流し、利益の追求や、双方の理になる案の創出、意思の影響を受けない基準を探すことに向けさせるのである。」

    「むこうが条件を提示してきたときは、突っぱねないことだ。だからといって受け入れることもしない。あくまで選択肢の一つとしてとらえ、相手側にどのような利益があるのか、どんな考え方にもとづいているのかを見極めよう。改善できるかどうかも検討する。」

    「『わざと逆光になる場所に座らせましたね』と批判するかわりに、『日差しがまぶしくて集中できません。なんとかならないでしょうか。無理なら今日のところは早めに切り上げようかと思います。新しい日程をセッティングしておきましょうか。』と本題を攻めていく。相手の人間性を買えるより、交渉プロセスを変えるほうが簡単である。懲らしめようなどと考えて交渉の目的から脱線しないように。」

    「交渉のはじめにこう提案してしまうのもいいだろう。『いきなり妙なことをいうと思われるかもしれませんが、交渉をどのようなルールで行うのかをはっきりさせておきませんか。できるだけ少ない時間と労力で合意にたどりつくことを目指すのと、押しの強さを競う居あうのと、どちらのやり方にしましょうか。』どのような形の交渉であれ、相手が手練手管を使ってきたときの備えを怠らないこと。あなたもその気になれば、相手に匹敵する、あるいは相手以上のタフ・ネゴシエイターになれる。不当な戦術よりも、理のある原則のほうが弁護しやすいことを覚えておいてほしい。そして、相手の戦術のえじきにならないよう、細心の注意を払おう。」

  • 今までどうしてもソフト型の交渉となってしまいがちだったので、これを改善したいと思い、本書を手に取った。

    本書では、ソフト型やハード型ではなく、「原則立脚型交渉」により、双方の納得する交渉にしていく事を目指している。その際に、どのような点を注意しながら交渉しなければいけないか、を事例を交えて説明していた。

    重要な視点は4つ
    1.人:人と問題等分離せよ
    2.利害:立場ではなく理解に焦点を合わせよ
    3.選択肢:行動について決定する前に多くの可能性を考えだす
    4. 基準:結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ

    実際の交渉では、どうしても勝ち負けや、以下に自分のパイを増やす事だけを考えがちだが、この本にある視点で交渉を見直してみると、今まで自分が見えていなかった選択肢がたくさんある事を気付かせてくれた。

    交渉に悩んだ時に、本書に立ち返り、解決策を探すとともに、自分の血肉にしていきたい。

  • 仕事において「交渉」と呼ばれるようなコミュニケーションが非常に苦手だということを知人に話した際におススメしていただいた本。非常に為になる話だった。

    交渉の進め方について多くの人はあくまで自身の条件を強気に押し出す「ハード型」か、あるいは条件よりも相手との関係性に重きをおく「ソフト型」のどちらかしかないと思いがちだが、そうではないというのが本書の主張。

    どちらか一方だけが勝ったり、得をするというのではなく、双方にとって良い解決策を模索する方法が本書でいう「原則立脚型交渉」

    ポイントとしては、
    ・人と問題を切り離すこと
    ・「条件や立場」ではなく双方が本来求める「利益」に注目すること
    ・双方の利益に注目した「複数」の選択肢を考えること
    ・判断の拠り所には客観的で公平な「原則や基準」を用いること

    など。それぞれ簡単な事例的な会話例とともに解説され、分かりやすい。

    読んでいくうちに仕事以外のコミュニケーションでも意識すべきものだと気づいた。というか、むしろ「交渉」と意識をしない場面では当たり前のようにできていたことが交渉ごとにおいても大事なポイントであることに気づいた。

    多くの人に薦めたいとても良い本だったのだけど、この本、タイトルや訳で若干損している気もする。

    タイトルの「必ず望む結果を」だったり、各唱題でも「思うままになる」「相手の心をコントロールする」「一発で大逆転」などと、とても強い言葉が使われている。読んでみると内容はどれも真っ当だと感じたのだけど、目次読んだ時点では「ハード型」な印象しか受けなくて怖かった。どちらかというとソフト型よりの人にこの本はなかなか手にとってもらいにくいのではないか。私は人の薦めで手にしたけどそうでなかったら多分読む機会はなかったので、そこら辺は残念というか気になるというか。

    ということで、交渉ごとに関してあまり強きになれないソフト型タイプで悩んでいる、という方は表面的な言葉の印象に負けずに一度読んでみることをオススメします。

  • ▼テーマ
    ソフト、ハードどちらのアプローチでもなく、駆け引き型から抜け出す、「原則立脚型交渉」。


    ▼キーワード
    人――――人と問題を切り離す
    利益―――「条件や立場」ではなく「利益」に注目する
    選択肢――お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える
    基準―――客観的基準にもとづく解決にこだわる

    ▼その他抜粋
    共通の認識をもち、腹を割ったコミュニケーションを実現して、相手を非難せずに心情を伝えていける前向きな関係を築かなければならない。譲歩することばかり考えず、接し方を改善することで人の問題を解決していくことが大切だ。

    交渉前に、相手の情報を集め、好き嫌いなどを把握しておく。仕事抜きで会ってみるのもいいし、少し早めに交渉の場に出向いて、あるいは、終わった後に雑談したりするのもいい。
    ベンジャミン・フランクリンお得意の懐柔策は、相手に「本を貸してくれないか」と頼むことだった。それで相手を持ち上げ、貸しができたという気分にさせていたそうだ。

    100%賛成してもらえる確証のない結論を受け入れてもらうには、その結論を引き出すプロセスに相手を関わらせることが重要なのだ。
    例え相手が合意内容を有利だと思っても、蚊帳の外に置かれた不信感で拒絶することも有る。自分もアイディアを出して貢献できたという意識を持てた方が、合意はずっと成立しやすい。

    真剣に耳を傾けて「それは、これこれこういうことと理解してよろしいでしょうか」などと質問や合いの手を挟む。
    →「一番安上がりな譲歩は、あなたのお話を聞いていますよ、というアピール」といわれる。


    ▼相手の立場を考える
    あるイギリスの大使は自分の仕事を「相手方の人間が新しい指示を与えてもらえるように助けていくこと」といっていた。
    目の前の交渉者の立場を心から思いやれば、どのような問題を抱えていて、どのような案があればそれらをクリアできるかといったことも見えてくる。


    ▼公平な手続き
    意思の影響を排して結論を導くには、公平な手続きを取り入れる。
    ・ケーキ・カットのルール――「相手が切って、自分が選ぶ」
    ・公平な役割分担を話し合っておいてから、どちらがどちらの役割を選ぶかを決める。
     →どちらも結果に文句を言えなくなる。

    「交渉が決裂した場合にとれるベストな行動」を考えておくと、相手の提示条件と比較してどちらが多くの利益をもたらすかを考えることができる。


    ▼交渉フレーズ
    「間違っていたらおっしゃってください」
    「これまでのご厚情に感謝しています」
    「公正な形で解決したいだけです」
    「どちらがどんな手段をとれるかではなく、客観的な基準で解決したいのです」
    「信用するしないの問題ではありません」
    「事実確認のためにいくつか質問してよろしいですか」
    「あなたの行動の根拠となっているのはどんな考えですか」
    「このように理解してよろしいでしょうか」
    「また改めてお話しできませんか」
    「根拠の部分でちょっと理解できないところがあります」
    「公正な解決策の一つは……」
    「合意できた場合は……、合意できなかった場合は……」
    「一緒に解決できてよかったです」


    ▼相手の権限を確認
    ギブアンドテイクの具体的交渉をはじめる前に、まずは相手の権限を確認しておく。
    権限のはっきりした人物との交渉に切り替える。
    →これまでも意思決定プロセスを確認することがあったが、少し改善しつつこれを入れていこう。

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    交渉術

  • ハーバード大学交渉学研究所で開発された「原則立脚型交渉」

    4つの原則

    ①人と問題を切り離す

    人は他人の発言を曲解したり、深読みしたりする。そうした心の問題には、次の3つの視点から対象するとよい
    ・認識:互いの認識を明らかにし、ギャップを解消する
    ・感情:胸襟を開いて話をし、互いの感情を表に出す
    ・コミュニケーション:相手の話をしっかり聞く

    ②「条件や立場」ではなく、「利益」に注目する

    交渉では、双方の主張(合意条件)の対立が問題であるように思いがちである。だが、本当に話し合うべきなのは、互いの利益だ。対立する条件の背後にある利益に視点を移すと、双方にとって利益につながる案が見つかることが多い

    ③お互いの利益に配慮した複数の選択肢を考える

    複数の選択肢を考えるためのポイント
    ・まずはどんどんアイデアを出し、判断は後で行なう
    ・選択肢を出す段階では、アイデアは1つに絞らない
    ・お互いが満足できる利益を見つける
    ・自分の望む決断を、相手が下しやすいように配慮する

    ④客観的基準に基づく解決にこだわる

    いかに調整しても、利害が衝突する部分は出てくる。その場合は、駆け引きに頼らず、科学的論拠など客観的な基準を取り入れると、ベストの合意に辿り着きやすい。

    医療現場におけるコミュニケーションにも応用できそうな箇所がありました。

  • 今までに読んだ交渉術本の中で1番わかりやすく、かつ実態に即した本だと感じた。網羅的な内容であり、強硬な戦術をとってくる相手からの防御策も書かれている。有名なBATNAだけでなく、色々な視点から交渉のあるべき姿を学べる。
    プロセスそのものが合意である、原則立脚型の交渉がベストである、のあたりが印象に残った。
    交渉という言葉から思い浮かべる強さ、勝ち負けではなく、双方の価値を最大化させるのがあるべき交渉、という考え方に深く共感した。

  • さんからお勧めされた本

    世界戦争の例が多くて読みやすくはなかったけど

    ・1回で解決しようとしない
    ・希望→事実→提案
    ・一緒に考える(白人の黒人案)
    ・客観的物差しで
    ・否定しない(相手を変えようとしない)

    また読み返したい本

  • 対立するのは
    前提となる事実認識が違っている、基準が違っている、価値観が違っている、から。
    相手にはどのような世界が見えているか、を考える。
    駆け引き型から抜け出して、winwinを目指すことを前提にする。
    「一番安上がりな譲歩は、訊くこと」
    相手に花を持たせる。フランクリンは相手に本を借りた。

    オレンジを分けるこども=一人は皮を捨てて、一人は実を捨てた。そうならないように、相手の世界を考える。
    パイを切り分ける前に、パイを広げる。

    交渉する前に共通の利益を考える。その前提に立って相手の世界を見る。
    ケーキカットのルール。切り分ける人と選ぶ人を別にする。

    原則立脚型交渉=客観的事実が間違っているかもしれないという前提に立ち、確認することで理性的な話し合いの場を作る。

  • 交渉ごとは面倒で避けたいと思ってしまうが、そうも言ってられないので読んでみた。理解するだけでなく実践の経験も必要。「プロセスに参加できたという意識は、合意に至る最大の要因の一つといっていい」「対立している『条件』の背後にある『利益』に視点を移すと、自分だけでなく相手側の利益にもなる案が見つかることが多い」「自分の利益に目を向けてもらいたいなら、まずこちらから、相手の利益をわかっていることを伝えよう」

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著者プロフィール

ハーバード大学名誉教授。第二次大戦後のパリでマーシャルプランの策定に関わり、ワシントンD.Cの法律事務所で数々の訴訟や国際紛争に携わる。1979年、ハーバード大学ロースクールにハーバード交渉学研究所を設立。交渉学を体系化し多くの教え子を育てる。そこでの研究を元に1981年『GETTING TO YES』を刊行。その後も交渉学の泰斗として研究をけん引。国際紛争などにも的確な助言を与えてきた。2012年、逝去。

「2021年 『マンガでわかるハーバード流交渉術【逆転の切り札篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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