「韓非子」を見よ! (知的生きかた文庫 も 2-18)

著者 :
  • 三笠書房
3.45
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本棚登録 : 207
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837977834

作品紹介・あらすじ

名君として名高い始皇帝に、「会えたら、わしは死んでも悔いはない」と言わしめた、韓非子の哲学とは-?手に取るようにわかる!韓非子の考え方。

感想・レビュー・書評

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  • 内容
     中国の戦国末期、国を統治する為に用いた掌握術。リーダーとしての組織掌握術の柱は「法」と「術」
    「法」唯一の絶対基準でありはっきりと明文化して示す。
    「術」法を運用して、部下をコントロールする為のノウハウ。術は人に見せるものではない。君主が胸の中に収め、あれこれ見比べて秘密のうちに部下を操縦するもの。

    五を捨て十をとる。
     政治はバランスの力学。常に何かを捨て、何を取るかの判断をせまられる。つまらない思いや既得権などというものに縛られて、捨てるべき事を捨てきれないようであれば、政治は硬直していくばかり。例えば、刑罰など誰も加えたくはないが、大多数の良民を保護するという大きなプラスの前に、刑罰を加えるという小さなマイナスに目を瞑る事である。

    人間の行動の基本にあるものは利益。人間は自らの利益によって動く。
     そういう人間を動かすには、相手の利益になる事をきちんと保証してやれば良い。
    例え、賃金を払って人を雇い、田畑を耕してもらう場合賃金を弾んで待遇を良くするのは雇い主を愛しているからではない。一生懸命生産性を上げてもらうためである。
     雇い人が汗水流して働いてくれるのは、雇い主を愛しているからではない、そうすれば自分の生活を向上させる事が出来ると思っているからである。

    気づき
     性善説にたって経営をする事、組織を率いる事が理想ではあるが、やはり善人ばかりではない。性悪説にたって書かれている韓非子。人は誰も見ていないところでは、悪い事をする事もある。人の行動の本質は、利益によって左右される。双方の考え方、物差しをしっかり持って、時と場合によって使い分ける事が重要。しかし、歴史上の人物で長い期間統治をした将軍をみると韓非子の考え方の方がおおい。

    アクション
    人の心理、相手の意向を組みながら、本心はどこにあるか考えてコミュニケーションしたい。

  • なんとクールでしたたかな韓非子。

    人は利によって動く、内部の敵に足元をすくわれないよう人を信じすぎない、隙を見せない、人間関係のけじめをつけるなどなど、厳しく聞こえるけれど、特に社会や組織で生きるのに大切な処世術がいっぱいです。

    「相手の意向を汲みながらこちらの考えを述べ、相手の気持ちに逆らわないで物を言い、その上で知恵と弁舌の限りを尽くす」なんて、わかっていてもできそうにないわ。

    秦の始皇帝が、会えたら死んでも悔いはないと語ったほどの韓非子。
    私も好きだな。

  • 人生の哲学は中国の思想書を読むに限る。
    上司による評価が異なれば、たとえ同じ行動を取ったとしても、褒められることもあれば罰を与えられることもある。
    現代のサラリーマン道にも通ずるところがあり学ぶこと多い作品でした。

  • ◾️2017/10/31読了。
    ◾️あらすじ
    ・韓非子をわかりやすく解説。
    ・逐次解説ではないから全部は網羅せず。
    ◾️コメント
    ・先にエピソードを書き、韓非子がそれに対して解説をする方式なので、頭に入りやすい。

  • わかりやすい。岩波文庫4冊で 消化不良を起こすより、これ1冊を 理解した方がいい。日本語訳だけでなく、仕事の実例と絡めて説明されているので、頭に残りやすい

  • 【再読もあり】
    人間関係、組織統治のあり方。
    この人の考え方の根底は人間とは基本的に利益によって動く動物であり、楽を求める動物であるという、人間不信の哲学。
    その人間観に立った場合の政治とはいかに行うべきか、組織統治の示唆に富む。

    【韓非子の統治理論の2本柱「法」「術」】
    「法」・・・法律。人民の従うべき唯一絶対の基準。はっきりと明文化しておかなければならない。君主はこの法を周知徹底させて組織掌握をし、君主はその上に立って、黙ってにらみを効かせていればそれでよい。
    法の適用は公平無私にすべきである。

    「術」・・・人に見せる物ではない。部下を操縦するための考え方。 おべんちゃらに惑わされず、公平に部下を見るために。3つの側面がある。

    ①信賞必罰・・・賞と罰の2つの権限をがっちり握り部下に臨む事。その権限は絶対に委譲してはいけない。君主が組織から浮き上がってしまう。
    一般に、賞は下位の者に与えるほど効果があり、罰というのは上位の者に与えるほど効果がある。(下位の者は賞で励む。身分の高いものも罰があるとなれば驕ることも無い)
    賞罰の効果が無くなるとき
    Ⅰ.賞罰が軽すぎるとき・・・心に響かない。賞をもらってもうれしく無いし、罰せられても怖くない。
    Ⅱ.賞罰を乱発する場合・・・どちらにも慣れてしまう。

    ②勤務評定・・・申告と実施の一致を求める。申告はふさわしいものか。実績はふさわしいものか。一致すれば賞を与え。一致しなければ罰を与える。申告を上回っても罰を与える。(腹黒い部下に誤魔化しをさせない為)
    また、越権行為までしての実績にも罰を与える。

    ③虚勢無為・・・じっとして動かない。好き嫌いの感情や心を見透かされない。部下がそこに付け込んできてその方向に組織が動いてしまう。


    名君は、相手が背かないことに期待をかけるのではなく、背こうにもにも背けないような態勢を作り上げる。相手がペテンを使わないことに期待をかけるのではなく、使おうにも使えない様な態勢を作り上げる。

    国の安危は「是非」と「虚実」にかかる。
    「是非」・・・正しいことをしているか。内部の士気を高め、結束も高まり、周辺諸国の支持も得やすい。
    「虚実」・・・立派な政治が行われているか。隙を与えない。

    なぜ隆盛を誇る組織が衰亡したのか・・・「内憂外患」の為
    「内憂」・・・内部要因
    ・上層の意思不統一
    ・組織の士気低下
    ・人材の不育成
    ・派閥争いの頻発
    など
    「外患」・・・外部要因
    予想外の出来事に対応できなかった
    衰亡を逃れるには、「内憂外患」の芽を一つずつ取り除く事である。

    孫子によると名君はあらかじめ勝利する態勢を整えてから戦う物が勝利を収め、戦いを始めてから慌てて勝機をつかもうとする者は敗北に追いやられる。それ故、まず政治を革新し、法令を貫徹し、勝利する態勢を整える。

  • 2013/10/20

  • 韓非子のとっかかりと思って読んでみたけど、全体的に読みやすかった。
    中国の古典だし、現代にあてはめようとするところは多少強引な感じがなきにしもあらず(笑)
    まあでもさらっと韓非子に触れてみるという目的は果たせた。

  • 表紙裏
    韓非子流「賢い」世の中の渡り方
    ・早めに、手を打つ――形になる前に、動きを察知して対策を講じる
    ・勘所さえ、押さえればいい――大所高所より、目を配れ!
    ・自己満足に陥らない――「頑張る」のは自分ではなく部下
    ・人を信じ過ぎない――手足をもがれないために
    ・「欲」、一色に染まらない――目先の利益よりも、大きな利益を追求する

    目次
    第1部《歴史に学ぶ》人間通になる!
    第2部《名言に学ぶ》したたかに生きる!

  • 韓非子が読みたくても
    本屋に売っていないので
    読めなくて買った本。

    少しくだいて説明しすぎな気もするけど
    読みやすくて面白し!!

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著者プロフィール

著述業、中国文学者

「2022年 『世界のビジネスエリートが身につける教養 論語と孫子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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