生きる喜びは、仕事とともにあるヒルティの幸福論: すぐ実行できて結果が出せる76の言葉 (知的生きかた文庫)

  • 三笠書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837981398

作品紹介・あらすじ

「自分は今、生きているのだ」-"今日の充実"が一生続く本。ヒルティの『幸福論』がいまでも読み継がれている理由。それは、誰にとっても即、役立つことばかりだからだ。この本には、最短時間で目標を達成し、幸福に確実に近づく具体的なヒントがあふれている。これが、世界的名著である所以だ。

感想・レビュー・書評

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  • 書評:『生きる喜びは仕事とともにある ヒルティの幸福論』(カール・ヒルティ著、斎藤孝訳・解説、知的生き方文庫・三笠書房)

    評者:本の虫太郎 書評投稿日:2019年12月9日

    先行きが不透明で閉塞感に覆われている現代社会において、「自分は今、生きているのだ」と感じられるだろうか。三大幸福論の一つであるヒルティの幸福論は、実践的な「人生の教科書」として「必ず幸せをつかむ」堅実で有用なアドバイスを教えてくれる。ヒルティの『幸福論』は、世界的な名著として、「時代を超え、世界中で圧倒的な読者の支持を受けている」。その理由は、「誰にとっても即、役立つことばかりだから」である。

    著者・カール・ヒルティ(Carl Hilty 1833-1909)は、スイスの法学者・弁護士であり、代議士も勤めた。代々医師の旧家に生まれ、ドイツのゲッティンゲン、ハイデルベルクの両大学で法学や哲学を修めて後、著述家として『眠られぬ夜のために』など多くの著作を残している。また、訳者・解説者の斎藤孝は、明治大学の教授であり、教育学、身体論、コミュニケーションを専攻としているが、多彩な活動で広く知られている。ベストセラーとなった『声に出して読みたい日本語』をはじめとして、教育論から古典名著の解説まで幅広い分野にわたる多くの著作を出版している。分かりやすい文章なので、教科書や入学試験の問題に取り上げられることも多い。

    『ヒルティの幸福論』には、「幸福に確実に近づく具体的なヒント」があふれている。仕事の方法や時間の使い方、苦難の対処法や心を平穏に保つ方法、人間交際術など、幸福を感じるために、「すぐ実行できて結果が出せる」実際的で優れた叡智が詰まっている。本書はヒルティの『幸福論』の中から、「今を生きる私たちにとっての大事なエッセンスを新たに訳出したもの」である。手軽で持ち運びもしやすい文庫本であり、ヒルティ―の叡智溢れる言葉で、すぐに実行できる「幸福術」を教えてくれる。

    人生の様々な苦しみの中で、仕事が思うようにいかないとき、病気や苦難で心がつらいとき、人間関係に疲れてしまったときなど、本書のページを捲れば、生きる喜びと幸せを感じる実際的な方法が、どこかに見つかるだろう。手軽に持ち運べる文庫本であり、「人生の教科書」として、繰り返し読みたくなる名著である。


    【本書のあらすじ】

    本書の構成では、5つの章立て、すなわち仕事の方法、時間の活用法、辛い苦難の時の対処法、心を整えて穏やかにする方法、幸福な人間関係を作る方法といったテーマごとに、幸福につながるヒルティの言葉がまとめられている。

     第1章「幸福に”直結する”仕事の方法」では、楽しみながら効率良く成果をあげる仕事の仕方が述べられている。「人生の中で“一番長く使う時間”を幸せに過ごす」ことは、「最高の幸せ」といえる。「仕事を楽しむ=幸福」ためのの絶対原則では、仕事の「内側」に入ることで、成果を挙げて幸福感も増える好循環につなげることができる。自動運転ができるように仕事をすることを習慣にする。「とにかくできるところから手をつける」こと、「身の丈に合った仕事を確実にこなす」こと、「小さなことでも一つ一つ仕上げていくこと」が大切である。「決めた時間」は仕事に集中して没頭することで、「規則正しい生活がいい仕事をつくる」のである。また「仕事の成果はスピードで決まる」のであり、「壁にぶつかったときは、とにかく繰り返す」とよい。他方で、「仕事の”奴隷”にだけはなるな」と忠告する。「どこまで主体的に、自分らしく仕事ができるか。仕事に使われるのではなく、自分自身の意思をもって仕事を動かしていくことができるか。与えられるまま、ただこなしていくのではなく、与えられた仕事に自分らしい工夫や発見を加えて、自分の喜びに変えていく」ことで、仕事が幸福につながるのである。「幸福感を毎日、たくさん味わう簡単な方法」として、「目標達成ノート」をつける。たとえ小さな目標でも、「自分の力でできたことを実感することで、大きな幸福感が続々とやってくる」のである。

     第2章「「充実時間」をもっと増やす知恵」では、効率よく仕事をすることで、充実感を味わい、休日を最高に楽しむ時間の活用法が説明されている。仕事では、自分に合った一日の「効率的な時間配分」を見つける。仕事を続けながら取り組む仕事を変えることで「気分転換」する。1つのことを「区切りのいいところ」まできちんと仕上げる。また、「先延ばしグセ」をやめる、「細切れ時間」を活用する、「小さな取り組みを積み重ねる」ことで、限られた時間を効率的に活用して仕事ができる。懸命に働き続けて、「社会の役に立っていると確信できる」ことが幸福なのである。「安らぎや満足感に満ちた休息の喜びも、仕事をしている人でなければ味わえない」のである。

     第3章「つらいときこそ「幸福」に近づいている」では、苦難や病気といった逆境を幸福に結びつける。「苦難こそ、幸福へ至る門」であり、病気は「幸福になるきっかけ」にできる。「「悪い習慣をやめる」のではなく「いい習慣を身につける」。なまけ心を打ち砕くのは「習慣の力」である。幸福は「自分の内から生まれるもの」であり、「完成形」がない幸福は無限である。「地道な努力を重ねた人」が最後に笑うことができる。

     第4章「「心」を整えて、おだやかに生きる」では、幸福になる心のあり方を教えてくれる。「幸福を感じる心構えをつくる」のである。自分の力が「及ぶもの」と「及ばないもの」がある。また「求めるべきもの」と「避けるべきもの」がある。大切なものの「本質」を考えて、ほしいものがあるときは、時が満ちるのを心静かに待ち、大事なものを失ったときは「天に返したのだ」と思えばよい。どんなものもすべてを「分相応」にとどめる。何であれ良い習慣をたくさん身に着ければ、自分を鍛え、健やかで強い精神の持ち主になれる。人生を豊かにする宝は、自分の中にしかない。嫉妬や羨望は何の意味もなく、もともと「人生には勝ちも負けもない」。まわりの目や他人の評価を気にせず、他人の成功を素直に喜べる人になることで、自分も幸せになれる。「不幸や失敗体験からたくさん学ぶ」ことで、人格を深めて器量を大きくできる。

     第5章「誰でも世界一幸福な人になれる」では、幸福をもたらしてくれる人間関係の方法や交際術を教えてくれる。相手の人間性を見抜くには、自分自身をよく知ること、相手をよく知ろうとすること、私心を持たないこと、できるだけ虚心坦懐に見ることである。「人生の目標」を相手に尋ねることで、人間性を見分けることができる。人は年齢を重ねてくると、本来持っている人間性(本性)を見せるようになる。本当の人間性は、「弱い人や不幸な人に対する態度」を見ればすぐにわかる。「子供たちや貧しい人々から信頼され、敬愛を集めている人は、すばらしい人間性の持ち主だ」と断定できる。用心して付き合うべきでない人は、顔つきが表情のない目、落ち着かない視線や目つきや話し方をする人である。親切心を持たない人や意地悪な性格の人も要注意である。

     「軽蔑される人」は、「やたらに謙遜しすぎる人」、「陰口をいう人」、「どこか高慢で独善的」で、「大きな失敗を経験したことがない人」あるいは「失意の底に沈んだことがない人」である。他方で、「人から好かれる人」の共通点は、率直な態度、押しつけがましくなく気分が安定していること、バランスが良く人間関係の程よい距離を保てる親切な人である。このような好意を持たれる人の多くは、「たとえ、世の中の進歩に貢献をしないとしても、大いに価値ある存在」である。

     人を評価する場合、「名声」はあてにならないが、最も重要なのは「器量」である。器量とは、「生まれながらの素質」であり、苦難に耐えたり、優れた友人を得たり、すばらしい結婚生活を送ったりすることにより、持って生まれた器量を高めていくことはできる」。真の勇者ほど謙虚である。自分の業績や自己アピールは、「静かにありのままを淡々と語る」のが良い。

     人生で本当に求めるべきものは、名誉や快楽でなく、「愛」である。愛の本質は、「何よりも自分自身のために」なる。「深い愛を持って生きている人は、まわりの人の心を深く洞察し、ときには奇跡のような偉大な力を発揮する。とにかく、何があってもどんな場合にも愛を失わないこと。愛こそが心を常に平穏に保ち、この世のあらゆることに対して前向きな関心を失わないためのただ一つの方法」である。「突き上げるような愛に溺れることなく、自然に湧き、満ちてくるような愛を静かに育むべきなのだ。人を愛することが習慣のように自然に身についている……そうなれば、本当の幸福は自然にあなたのものになるだろう」。(了)

  • あまり得るものはなかった。参考のみ

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