知れば知るほど面白い宇宙の謎: たとえばビッグ・バン以前、宇宙に何があったのか? (知的生きかた文庫 こ 40-1)

著者 :
  • 三笠書房
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本棚登録 : 82
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837982968

作品紹介・あらすじ

ビッグバン以前、宇宙に何があったのか?
そもそも宇宙に「果て」はあるのか?
このまま「膨張」し続けるのか?
最期に宇宙はどうなるか?――

科学の進んだ現代にあっても、
「宇宙の95%は正体不明」と言われています。
この謎多き宇宙について、元NASA研究員の小谷先生が、
最新の宇宙科学の成果を踏まえ、わかりやすく解説します。
「宇宙誕生」から、膨張をし続ける銀河、太陽がたどる運命、
深遠なブラック・ホールの世界、暗黒物質、そして「宇宙の
最期」……知りたいことがズバリわかる本!

感想・レビュー・書評

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  • 小谷太郎『知れば知るほど面白い宇宙の謎』(知的生きかた文庫、2014年11月)読了。

    宇宙の謎について50のトピックスで構成された本。宇宙本も、数年に一度読みたくなるんだよなあ。
    著者はNASAゴダード宇宙飛行センターの研究員などを経て、現在大学教員らしい。

    それぞれのトピックスが2~4ページで構成され、図や(モノクロながら)写真も挿入され、一見、分かりやすい。
    一見と書いたのは、宇宙物理学は、所詮、小生のような文系アタマには理解不能なことが多いということだ。

    たとえば次のような文章。ブラックホールについて書かれたセクションの一部。

    「ある天体から物体が脱出するための脱出速度は、天体の質量と、それから物体と天体の距離によって決まります。地球の表面、すなわち地球の中心から6000キロメートルの地点からボールが脱出するための脱出速度は11キロメートル/秒ですが、もっと高く、地球の表面から離れると、もっと小さな速度で脱出できます。たとえば地球の中心から38万キロメートル離れた月の位置が脱出するための脱出速度は1.4キロメートル/秒です。月の速度は1キロメートル/秒なので、もし月があと400メートル/秒だけ速度を増したら、地球から離れて宇宙を漂い出すでしょう。」[p.123]

    前段は何が何だか頭の中で計算もできず、そのスケールも想像できない。結局、月が地球から離れない絶妙な位置にあるので離れないということしか分からない。(笑)

    しかも宇宙の話が50も続くが、現在の宇宙に関する研究では宇宙全体の5%しか見えず、95%は見えてないなどど読むと、「はぁぁぁぁ?」と疑問符だらけになる。

    とはいえ、それでもこういった本が面白いのは、科学は仮説で成り立っていることを実感できることである。

    小生のような社会科学の一部を研究対象にしていると、規範論よりは当為論が望ましいと思いがちだが、95%が分からない宇宙を相手にしていると、何でもありの世界になる。アインシュタインの一般相対性理論は宇宙物理学でも重要な理論らしいが、この説を発表した当時は、アインシュタイン自身も証明できない仮説があったというから驚きだ。結局、その後の研究者が相対性理論が正しいかどうかを検証し、正しいという部分が理論化され共有される。

    こういうことを考えながら読み終えて、「いったもん勝ちだな」とほくそ笑むが、新説を提唱するほどの蓄積がない自分に気付き、「新説は、所詮、珍説だな」と急に卑屈になってしまった。(涙)

  • 宇宙が素晴らしさ、よりも素粒子物理学や天文学の可能性と、その魅力が伝わる一冊だった。

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著者プロフィール

1967年、東京都生まれ。
東京大学理学部物理学科卒業。博士(理学)。
専門は宇宙物理学と観測装置開発。
理化学研究所、NASAゴダード宇宙飛行センター、東京工業大学、早稲田大学などの研究員を経て国際基督教大学ほかで教鞭を執るかたわら、科学のおもしろさを一般に広く伝える著作活動を展開している。
著書:『宇宙はどこまでわかっているのか』 『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(幻冬舎新書)、『身のまわりの科学の法則』 (中経の文庫)、『科学者はなぜウソをつくのか ―捏造と撤回の科学史』(dZERO)、『知れば知るほど面白い宇宙の謎』(三笠書房)、『物理学、まだこんなに謎がある』『科学者たちはなにを考えてきたか』『科学の世界のスケール感をつかむ』(ベレ出版)など多数。

「2020年 『宇宙の謎に迫れ!探査機・観測機器61』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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