風刺画で読み解く近代史 (知的生きかた文庫)

著者 :
  • 三笠書房
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837983521

作品紹介・あらすじ

風刺画専門家が
厳選した図とともに、
幕末から昭和前半までを旅する本!

□「西郷隆盛」が風刺されにくかったのは、なぜか?
□「自由民権運動」――その高まりを巨大犬で表現
□「レストラン」――当時の最先端西洋料理店とは
□「鉄道」――明治の中流が乗った二等車
□「大逆事件」を風刺した数少ない一点
□「第二次世界大戦」――甘く見た戦況判断……

日本史の復習にも、受験対策にも最適!

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り、風刺画をひも解いて、明治~昭和の世の中を読み解くもので、当時の様子や雰囲気がよくわかる。
    1つ3ページの短さなので、わずかな時間に読め、歴史を味わえる。

  • 風刺画を通して、明治政府がはじめるあたりから、第二次世界大戦の終戦までの歴史をおさらいする内容。
    基本は政府と戦争に関すること。庶民の生活関連や、ラシャメンなどの教科書に出てこない件も風刺画として表現されていた。
    ビゴーも後半のほうがいい感じの絵が増えてきている。竹久夢二の絵は素晴らしい。
    関連して、この時代の移り変わりに関係あるだろう情報を調べて追記した。グローバル化の流れで日本は侵略国家として進んだけど、敗戦国となったのでアメリカ様の靴ペロコース。
    勝てば官軍負ければ賊軍。そして、何より人間は立場が変われば、言うこともすることも思想も目的も変わる。みな自分がかわいいから。


    風刺画家
    ・ジョルジュ・ビゴー(フランズ人)
    ・小林清親
    ・竹久夢二
    ・宮武外骨
    ・和田邦坊
    ・小川治平
    ・尾崎三郎
    ・ダニエル・R・フィッツパトリック


    補足と略
    吉田松陰の幽囚録にて、領土拡大の思想はすでに塾生に刷り込まれていた。
    蝦夷地の開拓、カムチャッカ・オホーツク、琉球、李氏朝鮮の日本への属国化、満洲・台湾・フィリピンの領有。
    ロスチャイルドがグラバーを通して、坂本龍馬を使いグローバル化を進め、結果的に大政奉還により明治政府ができる。
    明治政府は当初から征韓論を唱えているが、そのタイミング、やり方でモメたので西郷は下野した。
    決して、明治政府内に「征韓反対派」がいたわけでない。皆基本は「征韓」すべきという考え。≒併合
    明治当初は北方領土に関する問題があったのでそちらが優先されていた。
    明治政府は国の制度を整え、国力をもったところで朝鮮の支配に動く。これに対して、清国は反発。
    朝貢国である朝鮮への侵略は、清国からすると「おれの女に何手だしてんねん!」ということ。
    結果、日清戦争がはじまる。日本は戦勝国として賠償金ゲットでうまうま。
    中国満州に進軍してきたロシアと日露戦争もはじめる。戦勝国となるも賠償金ゲットならず。ひもじい。
    朝鮮支配を進める。伊藤博文が死んだので韓国併合を行う。軍拡。
    第一次世界大戦をきっかけに、ロシアへ進軍。軍拡。農業国から工業国へ。成金多数。
    満州事変で満州国建国。国際連盟から脱退してさらに軍拡。
    占領地拡大を目的に盧溝橋事件を起して日中戦争をはじめる。
    さらには中国国民党を支持したアメリカに喧嘩を売り太平洋戦争もやる。
    戦力の見誤り、調子乗りすぎ、西洋の資本家にいいように遊ばれたあげく、
    原爆2種類の実験地にされたあげく敗戦。戦勝国だったがここで敗戦国になる。
    その後はアメリカ様の靴ペロで今に至る。


    天保9年 1838 清国とイギリスでアヘン戦争はじまる。(1840年まで続き、イギリス勝利。香港を手に入れ、HSBC設立)
    安政元年 1854 日米和親条約
    安政5年 1858 日米修好通商条約
    安政6年 1859 開港により貿易港と外国人居留地が設けられる。
            横浜港崎町(みよざき)に外国人専用の遊郭が誕生。(現在の横浜スタジアムの場所)
            ロスチャイルド配下のマセソン商会配下のグラバー商会のグラバー来日。
    万延元年 1860 洋妾:羅紗緬(ラシャメン)が幕府により許可される。
    慶應元年 1865 薩摩藩の援助を受け坂本龍馬が日本初の商社亀山社中を設立。グラバー商会との銃器取引開始。
    慶応2年 1866 港崎遊郭は火事で消失。が、その後は移転を繰り返して永真遊郭が1945年まで続く。
            薩長同盟
    明治元年 1868 5月3日江戸城開城。10月23日には明治と改元(明治元年)
            倒幕中心の薩長土肥メンバーが新政府を作る。内閣制度はまだ。
            徳川幕府をささえてきた各地の士族を整理する目的で、一部を公務員に。残りの多数に退職金渡して家禄を廃止。
            これには士族が反発。既得権益者の大半がその利権をはがされたことになるので、当然。→戊辰戦争。
            日本人口は3000万人ちょっと。
    明治2年 1869 公卿と諸大名の称号を廃止して「華族」と名付けた。
            蝦夷地を北海道と改称し、北海道開拓史を置く。
    明治5年 1872 新橋-横浜間に鉄道が開通
            琉球王国から琉球藩となる。(1609年に薩摩藩が占拠し、島津の統治下にはいる。人頭税開始!)
    明治6年 1873 開成学校(現・東京大学)で米人教師ホーレス・ウィルソンが学生に野球を伝える
            西郷隆盛は征韓論を進める。征韓派は副島、後藤、板垣、江藤。大久保、木戸、大隈、大木らは反対。→征韓は延期され事実上失敗。
    明治7年 1874 征韓派は政府から離れる。後藤と板垣は自由民権運動はじめちゃう。
    明治9年 1876 各地の不平士族が反乱→失敗
    明治10年 1877 東京大学創立
            西南戦争(鹿児島士族の反乱)→失敗。西郷隆盛死亡
    明治11年 1878 西南戦争での恩賞が削減されたことに対して、政府側の近衛砲兵大隊数百人が反乱。すぐに鎮圧される。→失敗
    明治12年 1879 廃藩置県により元琉球王国の藩王尚泰は華族となり東京へ。450年続いた琉球王国が事実上の崩壊。
    明治14年 1881 日本初の生命保険会社・明治生命保険会社開業
            板垣が自由民権運動を活発にしていく。
    明治15年 1882 ビゴー来日
    明治17年 1884 華族令が制定(公侯伯子男の5等爵)
    明治18年 1885 内閣制度確立
            1円紙幣発行
    明治20年 1887 横浜居留地内でもラシャメン買える
    明治22年 1889 憲法発布(2月11日大日本帝国憲法・衆議院議員選挙法)
            新橋-神戸間に東海道線が開通
    明治23年 1890 国会開設(7月1日第一回衆議院議員選挙)
    明治27年 1894 朝鮮政府を壊滅して、それをきっかけに清国と戦争開始(日清戦争)
    明示28年 1895 下関条約締結
            西洋列強国は支配を強める日本をけん制するためロシアを筆頭に三国干渉で遼東半島を日本に返還させる。
    明治30年 1897 下関条約により日清戦争の勝利国として清国から賠償金3億6400万円分の英ポンド金貨で受けとる。
            貨幣法が実施され金本位制が実現
            ラシャメンの斡旋は外国人のパーティー会場などでも行われている。
    明治32年 1899 新通商航海条約発効(英米露独仏)
    明治33年 1900 陸軍大臣、海軍大臣の現役武官制が制定→軍国主義
            ロシアが義和団事件をきっかけに満州を占領。
    明治34年 1901 光永星郎により日本広告(現:電通)が設立。
    明治35年 1902 日英同盟締結
    明治36年 1903 沖縄県となっても旧慣温存策により続いていた人頭税が、中村十作・城間正安協力の下、西里蒲・平良真牛らの国会請願書により廃止される。
    明治37年 1904 日露戦争直前に竹久夢二が「嫌がる農民を無理やり徴兵する村長や教師、それを煽る資本家の風刺画」を平民新聞で書く。
            風刺画「火中の栗を拾う」がオランダの新聞に掲載され、中央新聞にも転載される。
            満州から朝鮮半島までロシアが進軍してくることを恐れて日露戦争が勃発。
    明治38年 1905 ポーツマス条約により日露戦争は終結。賠償金は受け取れず。
            ロシアの後ろ盾をなくした朝鮮国は、日本と第二次日韓協約を締結。事実上、韓国は日本の保護国となる。
            韓国軍の指揮権をもつ統監府が設置され、初代統監に伊藤博文が就任。
    明治40年 1907 光永星郎により通信社を設立し、日本広告を統合して日本電報通信社(現:電通)が設立。
    明治41年 1908 三越呉服店は三階建てを新築して百貨店としてスタート。
    明治42年 1909 ハルビン駅にて伊藤博文が安重根に暗殺される
            軍拡派の山県有朋のストッパーである伊藤博文がいなくなることで、軍拡が進む。
    明治43年 1910 韓国併合開始(昭和20年の終戦まで35年間続く)
    明治44年 1911 日本人口は5000万人ほど
            日露戦争後のインフレや都市化により米価高騰(大正7年の米騒動まで続く)
    大正3年 1914 サラエボ事件により第一次世界大戦が勃発し、イギリス同盟国である日本も参加。ドイツ占領地(中国の青島含むを占領し、戦勝国となる。
            製鉄・造船・化学の輸出増となり、農業国から工業国への転換を果たす。
            戦争成金がたくさん生まれる。
            和田邦坊による「百円札を燃やして明かりにする船成金の風刺画」
            ここから農村部から都市部への労働者移転が進む。
    大正6年 1917 ロシア革命によりソビエト政権(共産党による社会主義連邦共和国)が成立
    大正7年 1918 シベリア出兵により米価が急騰し、富山初で全国にて米騒動
            ドイツ革命により第一次世界大戦は停戦。
    大正8年 1919 国際共産党組織コミンテルンが作られた
            日本共産党も支部として結成された
    大正9年 1920 国際連盟が発足。日本は常任理事国。
            シベリアから日本軍のみ撤退せず、逆に進軍。
    大正11年 1922 シベリアから日本軍撤退。
    大正14年 1925 加藤高明内閣は治安維持法と普通選挙法を成立
            東京放送局がラジオ放送開始
    大正15年 1926 東京・名古屋・大阪の3放送局が合同して日本放送協会(NHK)を設立
    昭和3年 1928 第一回普通選挙が実施
            ラジオ体操(国民保健体操)が放送開始
    昭和5年 1930 ラジオ体操(国民保健体操)第二体操が放送開始
    昭和6年 1931 満州事変(ここから昭和20年の終戦まで数える場合は第二次世界大戦を「15年戦争」と呼ぶ)
            南満州だけでなく、満州全土を占領。
    昭和7年 1932 海軍青年将校がクーデターで犬飼首相を射殺。五一五事件。
            斎藤実内閣は思想統制を強化。
            満州国建国宣言。ラストエンペラー溥儀を元首とした傀儡政権を作る。
    昭和8年 1933 国際連盟脱退
    昭和12年 1937 盧溝橋にて日中戦争はじまる
            12月に首都南京を占領。中国は首都を重慶に移す。
    昭和16年 1941 真珠湾攻撃により、第二次世界大戦(太平洋戦争・日米戦争)はじまる
            治安維持法の全面的改定により、共産主義活動の抑圧や思想弾圧が強まる。
    昭和19年 1944 改正防空法による疎開命令が実施
    昭和20年 1945 3月に東京大空襲をくらう。
            5月に同盟国ドイツが降伏。
            8月に原爆2種類投下される
            8月15日終戦
    昭和22年 1947 日本国憲法施行

  • <目次>
    はじめに 新たな「歴史の一面」が浮かび上がる本
    第1章  幕末から明治10年代まで
    第2章  明治20年代
    第3章  明治30年代
    第4章  明治40年代・大正時代
    第5章  昭和初期から第二次世界大戦まで

    <内容>
    著者の清水さんはこの手の専門家で、岩波文庫にも同様な著書があるが、こちらは見開き3ページ前後でコンパクトにまとめてある。近現代の授業をおこなう際にも、テスト問題にするにもちょうどいい感じだし、取り上げた諷刺画のコメントが、とてもまとまっており、授業で説明の際に使いたいデータが載っており、大変重宝しそうである。

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著者プロフィール

2018年12月現在
漫画・諷刺画研究家/元 帝京平成大学教授

「2018年 『日本の漫画本300年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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