アート戦略/コンテンポラリーアート虎の巻

著者 :
  • 光村推古書院
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本棚登録 : 87
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838105762

作品紹介・あらすじ

【表紙カバーの色は3種類ございますが、色のご指定はできません。あらかじめご了承ください】

コンテンポラリーアートは、実にエキサイティングでスリリングで魅力的な領域だ。美術大学生から投資家まで。様々な年齢や階層や人種を超えて、人々のハートを掴み続けている。衰退の気配はない。景気が激変しようが、天変地異が襲ってこようが、アートの動きは止まることはないだろう。意表をついて、インスタントに「素晴らしい」アートが生み出されたりすることもあれば、信じられないほどの高額で売買されたりもする。何が「コンテンポラリーアート」において起こっているのか?
しかし相変わらず、アートの問題は、それを鑑賞したり理解したりできるかという問題だと思われている。天才的な直感やセンスがないとアーティストになれないと思われている。つまり、どんな「価値形態」なのか、どうやって「価値形成」されてできあがるかという問題として、あまりにも捉えられていないのだ。たった今生まれたばかりの「コンテンポラリーアート」は、ある意味で「新商品」「新製品」である。若くて無名な人の新作は、価値が定まらず、あるアーティストたちの作品は、天文学的な高額で売買される。「なぜ?」ではなく「どうすれば?」新製品である生まれたてのコンテンポラリーアートを、高い価値として生成できるのか。そのことを考える時代なのだ。
コンテンポラリーアートは、「今・ここ」のものだが、マルセル・デュシャン以降の約100年をかけて「アートワールド」という「価値のゲーム」「価値の国」をつくりあげてきたことは無視できない。そして、「アートの思考法」というものを生み出してきた。ツボがある。アート作品自体は、「今・ここ」にあるのに、ゲームのルールがわからないと、全くお手上げな「謎のモノ」。でも、勉強しないとアートがわからない、アートワールドに入れないなんて、おかしくないか?
そんな事態に対処すべく、この本は書かれています。最初にお断りしておくと、万全ではない。コンテンポラリーアートは、きわめて流動性が高くて、ウイルスみたいな変容体だ。捕まえた途端、高速で変容するから。もはや「論文形式」なんかでは、捕まえられないだろう。そう思って、「コンテンポラリーアート虎の巻」として、ブログ形式でオンラインにアップして書いた(またアップデートするかもしれない)。
この本は僕流の「アートワールド」のツアーガイド。
さあ、時空の狂った魅惑のアート・イン・ワンダーランドへようこそ!

感想・レビュー・書評

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  • 長らく美術大学で若手アーティストの指導を行うとともに、実践的にギャラリーを運営し、国際舞台で成果を上げてきた、名アートプロデューサー、キュレーター後藤繁雄による、かつてない「コンテンポラリーアート虎の巻」!(e-honより)

  • アート戦略/コンテンポラリーアート虎の巻

  • ルールのシフト
    ①コンセプトが支配する世界
    ②「わたし」が中心でなくなり、「他者」が主導する世界に移行
    ③アート作品が単にアーティストの表出物ではなく、時代や社会の表出物になった
    ④観客との相互関係で作品の価値が変わる(デュシャンの「芸術係数」)

  • (図書館員のつぶやき)
    虎ん巻って!も、もんがいふしゅつ、秘伝、すごか本て?タイトルにたまげたばってん、こん後藤繁雄さんすごかと、大学の先生ばってん、くりえいてぃぶでぇれくえあー、あーとぷろでゅーさーて(なんじゃ難しか)坂本龍一、篠山紀信、蜷川実花てんの有名人のアーティストブック、写真集の編集、あいもこいもて、国際的に仕事ばどっさいしよんしゃ人のかつてなか本、こりゃ虎ん巻になっと。アートしよっ人、見てみらんね。そうそう、本のこまーかごと見ゆっとは、表紙の三色あっとて、すいと色あんね。

    訳:虎の巻て!門外不出、秘伝、すごい本なの?タイトルにびっくりしましたが、この後藤繁雄さんすごい人、大学の先生で、クリエイティブデェレクター、アートプロデューサーです(難しそうですね)坂本龍一、篠山紀信、蜷川実花などの有名人のアーティストブック、写真集、他にもたくさんの国際的な仕事をしている人の かつてない本ですよ、これは虎の巻でしょう。アートしている人、見てみませんか。
    そうなんです、本が小さく見えるのは、表紙が三色あるそうです、好きな色ありますか。

  • 現代アートシーンにおいて評価されるということはどういうことかを書いた評論、エッセー。かなりマニアックな切り口なので、再読すると再発見があるだろう。
    いわゆるハイスキルな芸術を否定するということはマルセル・デュシャンがとっくにやってしまったことであり、枠組みを否定することはもはや何も新しくはない。あくまで戦略的にも見え得る新しい次元を組み込んだ作品を高い熱量で押出さなければ評価はされない。ローカルな評価も今やほとんどなく、グローバルな文脈でのローカル性しかない。
    写真なんかは一周回って今もっとも評価が高まっている分野である。

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著者プロフィール

編集者・クリエイティブディレクター、アートプロデューサー、京都造形芸術大学教授。1954年大阪府生まれ。坂本龍一、細野晴臣、篠山紀信、荒木経惟、蜷川実花、名和晃平らのアーティストブック、写真集を編集。展覧会のキュレイション、若手アーティストの発掘・育成・サポート、アートスタッフの育成などにも力を入れ、幅広く活躍している。

「2019年 『現代写真アート原論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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