- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838232826
作品紹介・あらすじ
現代語訳では絶対出せない物語の持ち味をいかすためにすべての漢字に振り仮名をつけて声に出してすらすら読める。物語の世界を十分に理解できるよう本文中の語句に丁寧な注釈をそえる。もっと『遠野物語』の核心に迫りたい人のために最新の知見を惜しみなく盛り込んだ「鑑賞」のてびき。
感想・レビュー・書評
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音読を念頭にすべての漢字に振り仮名をつけた遠野物語。それぞれに鑑賞のてびきもつく。
コンセサマ。オコマサマ。ザシキワラシ。マヨイガ。オシラサマ。カクラサマ。ダンノハナ・デンデラ野・蓮台野。山の神、天狗、老猿、狐なども多く登場する。
物語としても興味深かった。津波(1896年6月15日)で妻と子を失った夫の元に、妻が結婚前に想っていた男と現れる話は切なかった。
他地域にも連なる、豊かな精神世界が広がっていたということだろう。そしてそれはそんな大昔のことでもない。 -
口承文芸を後世に伝えた第一人者といえば小泉八雲を浮かべる。地方の識字できない人たちの言い伝え、昔話などはかろんじられ、文学とは見なされない時代において、怪談を含めてしっかりと遺してくれた。その八雲が東京帝国大学の講師として教鞭を執っていたその時、柳田国男は同大に学んでいる。学部が違えども教えは受けていたのではあるまいか。西洋化に走る時代にあって民俗学の下地を築いた功績は大きい。山の神、天狗は崇拝と同時に畏怖の対象であり、先人はその存在を語ることで自然を侮り荒らすことへの戒めとしていたことが伝わってくる。