東京タワー

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838713172

作品紹介・あらすじ

「恋はするものじゃなく、おちるものだ」。ふたりの少年と年上の恋人-恋の極みを描く待望の長篇恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 若い大学生の透と耕ニ、人妻の詩史と喜美子。それぞれ抱く心情が面白かった。ただ淋しさが残る物語だった。

  • 大学生、19歳の透と耕ニ。ふたりの共通点は同じ高校に通っていたこと。そして人妻と付き合っていること。

    詩史に夢中になる透。透明な魔女みたいな魅力を持った人妻・詩史に、彼は心の底から依存し、弄ばれる。現実的には彼女と一緒に暮らすことなどできるはずはないと理解しつつ、透は詩史と一緒に生きていくことを選ぶ。

    女と別れるときは自分からと決めている耕ニ。情熱的で感情的な人妻・喜美子、大学生・由利。ふたりを交互に回し、イニシアチブをとっているのは自分だと信じていた耕ニだったが、かつて手を出した人妻・厚子の娘、吉田が現れ、喜美子に翻弄され、由利にも別れを切り出される。

    ----------------------------------------------------------

    前に読んだのは大学1年のころだったから、もう5年くらい前のことで、そのころとは違う部分が今回は気になった。

    透が目の前の詩史だけでなく、過去の詩史をも追いかける姿や、過去の耕ニを追いかける由利の姿にゾクゾクした。

    そのひとが昔好きだった本や音楽、過ごした場所、なんでもいいからそのひとを追いかけて、そのひとのかけらを集めたくなる気持ち。

    「そのひとの過去が知りたいと思ったら、そのひとのことが好きなんだぞ。それも相当にな」と言っていた中学の社会教師を思い出した。

    中学1年生に対して、何でわざわざそんなこと言ったんだろうと思ってたけど、
    彼も誰かを想っていたんだろう、今ではそう思う。

  • 再読

    「自分のことは自分で決めなさい」
    耕二は父親に、そう言われて育った。
    「決めたら、行動で示しなさい」
    とも。

    恋はするものじゃなく、おちるものだ。

  • 繊細。

  • 再読。19歳の二人の青年と二人の人妻、それぞれの恋愛模様。15年前に読んだ時には青年側の心情に同調したのに、今は人妻側の揺れる気持ちの方に共感できる。読書の醍醐味ですね。耕二の欲望そのままの刹那的な恋愛と、徹の真っすぐで深くて揺るぎない恋慕の対比が素晴らしい。一緒に暮らさないで一緒に生きる・・・ある程度の年齢と経験が言わせた、含蓄あるこのセリフが心に響く。

  • 二人の結末が書かれておらず、すっきりしない終わり方。
    なのに、すごく「いい本だった~。」と思った。
    言葉選びがいいんだろうな。
    言葉が気持ち良く、心にはいってきた。

    映画の予告だけみていたから、
    岡田くんと黒木瞳、松潤と濡場の女王・寺島しのぶで読んでしまった。
    だからよかったのかも。

  • 映画を見てから
    本も読みたくなって購入。
    私は、言葉選びが凄く好きで
    よかったとおもった。

  • これまで読んできた江國香織の小説の中で、
    驚くほど官能的だったような気がする。

    黒木瞳と岡田准一が主演で映画化されたというこの小説は、
    映画の中で、映像として具体を持ってしまったら、
    どれだけ刺激的に映ってしまうのだろう。
    少しどころではなく、めちゃくちゃ気になる。
    気になる、というより、危惧に近い。

    主人公の透と、その親友の耕二。
    ともに19~20歳の大学生で、
    それぞれが年上の女性と恋愛関係を持っている。

    透の恋人・詩史は夫と二人暮らし、
    彼女自身は代官山でセレクトショップを営んでいる。

    透が初めて詩史と会ったのが17歳の時で、
    それから約3年くらいの付き合いの二人なのだが、
    私は透の視点に立って読み進め、
    透が詩史に感じているであろう、
    同い年からは感じられない余裕だったり、
    愛されている幸せだったり、
    時折遠い存在に感じてしまう不安だったりを読み取って、
    当時の自分の気持ちをめちゃくちゃ投影させて読んだ。

    悲しくて、愛おしくて、
    世界には本当にそれ以外いらない、と思っていた
    当時の自分を、今は少し痛々しくも愛おしくも思う。

    私は、自分の経験は失敗だったとも思うけれど、
    失敗から、学んで今が積み重なっているとも実感する。

    自分で作り上げた幻想の孤独感から抜け出して、
    成長する一歩手前までを描いたこの小説は、
    文字で表現される叙情的な物語だからこそ、
    私は受け入れられたように思う。

    映画は、好奇心で見てみたいと思うけど、
    多分見続けることはできないと思う。

  • 最初の一文目で引き込まれる。東京タワーを観に行きたくなるような、そんな作品でした。溢れるほど人がいる東京で、一生懸命生きて、一生懸命先の見えない恋愛をするもどかしさや切なさがありました。

  • 「言葉は僕を裏切る」「理性をかき集める」。表現がきれいなので、不倫の話だけど読んでいて心地良かった。読後に結末が欲しかった私にとって、エンディングには少し歯がゆさが残るので−★。江國さんの本、他にも読んでみたいな。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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