私たちがやったこと

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838713622

感想・レビュー・書評

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  • あなたを求めてわたしの心をきつく重ねてゆけば
    かたちのあわぬすきまも縮まり狭まってゆく

    ほんとうにひとつになれると信じたのだろうか
    どんなに押し付けても重ならぬ隙間は細くなるにつれ深さを増していく

    わたしはほんとうにひとつになりたいのだろうか
    隘路を辿って逃げのびたいのはわたしのほうか
    抑圧の予感に怯えるから、
    憎悪に変わる日がわかるから

    『アニー』の幾重に重なった幻想が臨界点を迎えた先に、『私たちがやったことの』戻れない始まりに、『ナポレオンの死』の弾丸が届くところに、わたしは自らの心の奥底に棲むものをみる










  • いつもどことなく綺麗で優しげな文章が心に残ります。

    著者は非常に慎重で繊細な人物なのであろう、と思わずイメージが
    膨らんでしまいます…。

    冒頭より、あなたと私の二人だけの世界が繰り広げられ、2人の愛情について、非常に細やかに描かれます。

    描写もとても綺麗で美しいです。

    登場する2人とも、芸術家肌で、自分だけの世界を持って活動している人。

    その二人だけの世界を2人は守ろうとし、そしてそれは一旦は成功したかに見えます。

    しかしやがて凄惨なクライマックスを迎え…。

    架空の世界をこうも丹念に描ける人はそういないのではないでしょうか?

    滑るようななめらかな語り口につられてついつい読み進めてしまいます。

    なんとなく『春琴抄』にもイメージが重なる気が…。

    が、このかたが本当に語りたいことって、一体なんなのでしょうか?という疑問がなかなか上手く解決できず、困ってしまいます。

    (ANNIE OAKLEY'S GIRL)
    レベッカ・ブラウン著 柴田元幸訳 マガジンハウス 02年9月刊

  • めちゃくちゃ痺れた

  • ふぅ…久しぶりに説明し難い恐ろしいものを読んだという感覚。ふわふわしてるけど根底に刺々しい怒りや悲しみのある感じ。
    「幻想レズビアン作家」と言われてるらしいことを最後に知った。「ナポレオンの死」とか現実と幻想を行き来しすぎててわけわかめだったけど、詩的な言葉のリズムや匂いを感じるための文章だなと思った。

  • ひりひりするほどの心の揺れ、切なさ、覚悟、好きだ。

  • すごく、恐ろしい本だとおもう。発想の豊かさと、経験の厳しさと、文章の美しさを合わせて昇華させた上質な短編集。レベッカ・ブラウンの魅力はこう、身近なんだけれども上質っていうところだとかんじる。作家としてはるか離れたところにいるわけではないけれどもとてもよいものを提供してくれる、その優しさ。ありがたさ。

  • 表題作は一行目から衝撃的。
    お互いを『愛』と言うコトバで縛るために肉体を損なうことすら厭わない。
    縛って捕らえて二人だけの世界を構築して最後は死。
    愛は突き詰めれば死と同義語なのか、彼女らの愛が最初から狂気を孕んでいたのか。

    『アニー』でも思ったのだけれど行動等の日常を縛る行為は相手に対する愛ではなく征服欲なのでは?
    アニーの「(略)ああやれってあんたが言ったんだよ、あんたもそういうあたしが好きだって言ったんだよ」の台詞は響きました。

  • 主人公の二人が男女の設定で訳されてるけど、これは女×女として読むべき。究極の愛の形。

  • ぼんやりとしながら、かつ何かを予感させるような小説。そのぼんやりさに、確固たる狙いをかんじる。レッテルを貼られ、そのようなものとして流通させられることにゆるやかな抵抗を示し、注意深くそれらを迂回する。そうして慎重に選びとられた言葉によって、この小説は静かに着地することに成功している。

  • 幻想的な愛の小説。

    怖いくらいの愛が描かれています。

    愛とは恐ろしくて、美しいものなのですなぁ。

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著者プロフィール

1956年ワシントン州生まれ、シアトル在住。作家。翻訳されている著書に『体の贈り物』『私たちがやったこと』『若かった日々』『家庭の医学』『犬たち』がある。『体の贈り物』でラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞受賞。

「2017年 『かつらの合っていない女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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