図書館の神様

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  • マガジンハウス
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レビュー : 634
  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838714469

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃からバレーボールに青春を一途に捧げてきた清。
    しかし高校生の時、部活の試合で失敗した山本さんを強く責め、その翌日山本さんは自殺する。
    周囲の冷たい視線と自責の念から、清はバレーボールを続けられなくなり、特に目標も見いだせないまま高校の講師になる。バレーボールの顧問になりたかったのに、配置されたのは部員が一人しかいない文芸部の顧問。全く文学に興味のない清には、ただ退屈極まりない日々。

    自分は正しいのに、自分は間違ったことを言っていないのに…
    私も何度も思ったことがある。そして、私の言ってること間違ってる?と相手を責めたこともある。
    そんな私には、清に対する垣内くんや弟のかける言葉が身にしみた。

    脇見する暇なく、カチカチに、マッスグに歩いてきたはずなのに、どこで道を誤ってしまったのか。
    一度、今までの道をそれてしまうと、正しいことも悪いこともわからなくなって、何にも興味を持てなくなって投げやりになって…。
    荒野をさまよっていた清が見つけたのは、元の道ではなくて、荒野だと思ってたところもちゃんと道だったってこと。道はたくさん広がっているし、つながっているし、たとえ荒野だったとしてもそこから道は作っていけるのだ。
    人生の答えはひとつではないし、正解もない。たとえ間違っても、見失っても、いつでもそこからスタートをきることができる。
    瀬尾さんがずっと伝えてきたことが、この本にもあった。

    それにしてもこの話、先生と生徒が逆転していたなぁ。
    運動をしないとだめだ、文学なんて何が面白いのか、なんて平気で口にする清に腹を立てるでも、拒絶するでも、熱心に文学の面白さを説くでもない。先生の思いつきのような提案にもきちんと対応し、淡々と文芸部としての活動を続ける垣内くんは出来すぎた生徒だ。
    そしてときどきお土産を持ってやって来て、姉の帰郷にはいつもお墓参りに付き合う弟の優しさも温かい。
    この年下の二人に両側から背中を支えられて、清は顔をあげられたんなと思った。

    • まろんさん
      このレビューを読んでいて
      おお?!マリモさんとうちの娘って、性格が似てるかも! やったー♪
      とうれしくて頬がほころんでしまいました。
      あっち...
      このレビューを読んでいて
      おお?!マリモさんとうちの娘って、性格が似てるかも! やったー♪
      とうれしくて頬がほころんでしまいました。
      あっちにぶつかり、こっちにぶつかりしながら、
      娘もマリモさんのような賢くて魅力的な女性になってくれるといいのですけれど。

      それにしても、垣内くんといい、弟といい、
      瀬尾さんが描く年下の男性って、どうしてこんなに素敵なんでしょうね(笑)
      2013/01/10
    • マリモさん
      まろんさん☆

      わぁ、娘さんが私と似てるなんて、ちょっと心配になっちゃうのですがいいんですか(笑)
      口が強くて自分の間違いを素直に認められな...
      まろんさん☆

      わぁ、娘さんが私と似てるなんて、ちょっと心配になっちゃうのですがいいんですか(笑)
      口が強くて自分の間違いを素直に認められなくて、昔はよく衝突しちゃってたんですよ。年を経てだいぶ丸く?なりましたが、自分と違う意見を受け入れるのは難しいことだなと今でも思うことがあります。
      正しいことがすべてじゃないよ、という垣内くんの言葉をぜひ(笑)

      ほんと二人の年下くんがいいですよね!年下の包容力にドキドキしちゃいました☆
      2013/01/11
  • 清く、正しく生きてきた少女、清(きよ)が同級生の自殺が原因で大好きなバレーボールをやめてしまう。傷を負ったまま成長し、教師として赴任、文芸部の顧問となりひとりの男子生徒と出会う。
    清より一つも二つも大人の垣内君が凄く良いな。
    そんな二人のやりとりが微笑ましかった。
    先生らしからぬ清も、垣内君はじめ同僚や弟の存在で成長していく姿に、瀬尾さんのほのぼのさを感じる。
    文学をこよなく愛する大人っぽい垣内君が魅力的だったな~。

  •  不倫も瀬尾さんがかくとドロドロ感がまるでない。
     高校生と先生のやりとりがとてもあたたかかった。
     自殺をかいても心にずしりとこない。
     さわやかさがこうも漂うのはすごいな。

  • 何のつながりもなく、いきなり講師として赴任した高校で、国語担当というだけで、文芸部顧問になった?させられた?早川清
    (きよ) しかも部員は垣内君一人

    この清と垣内君との部活での会話が最高に面白かった
    どっちが教師か分からないようなしっかり者の垣内君
    まるで、漫才のよう ボケは清でツッコミは、垣内君

    「ねえ、退屈なんだけど」
    「そう言われても困りますが」
    「刺激がほしいのよね 。毎日淡々ととしていてもりあがらないで
    しょ」
    「そうですか? 僕にはかなり刺激的ですけど。僕は毎日違う言葉
    をはぐくんでいる」
    「なんか今のかっこよかった。青春ぽかった。もう一回言って」
    「嫌です」

    挙げ句の果て、詩を書いて、売りに行きクーラー入れよと提案する清

    はちゃめちゃだけど、毎日海を眺めながらのそんな部活で、清は、正しいことが全てじゃないし、自分の思う正しさがいつも世の中の正しさと一致するわけではないことを知っていく

    卒業式前の主張大会での垣内君のスピーチが秀逸だった
    準備していた原稿は、ポケットに入れ突然みんなに語りかけた

    「文学を通せば、何年も前に生きていた人と同じものを見れるん
    だ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる・・・
    のび太はタイムマシーンの乗って時代を超えて、どこでもドア
    で世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい
    世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする!」

    故郷を追われるようにして離れ、どんどんいい加減に投げやりになっていた清が、次第に元気とやる気を取り戻していく

    「図書館の神様」は、いたんだ、

  • 「文学を通せば、何年も前に生きていた人と同じものを見れるんだ。・・・そこにいながらにしてたいていのことができてしまう・・・マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく・・・僕は本を開いてそれをする」文芸部の垣内君の言葉にグッと来た。
    キヨは教師になることで新しい世界に出ていくことを決めた。
    垣内君といい、弟といい、キヨはいい子たちに囲まれて幸せですね。

  • 名前は清(きよ)
    その名の通り清く正しく、勉強もスポーツも
    何事にも真っ正直に生きてきた清。
    キャプテンをしていた高3のバレー部の時に、
    部員の自殺する事件が、それを機に、描いて
    いたものから外れた道を歩き出した。

    部活もやめ、体育大学へ行くはずが地方の
    大学へ進学、性格もいい加減さを増し、
    投やりの気分のまま高校の講師に就く。

    講師となったものの部活動の顧問は、全く
    気合いの入らない文学部、私生活ではケーキ
    教室の講師と不倫。

    気持ちが清く正しかったころは極度のアレルギー
    退室だったので、それが、清さも正しさも薄れる
    につれて身体は少しずつ丈夫になっていく。

    文学部の部員は、垣内くんひとりきり。

    年齢もまだまだ近いふたりのやりとりや、
    文学との触れ合いを通じて、忘れていた
    何かを思い出すように再生していく。

    まだまだこれからだよ~と言いたくなるよな、
    青春ストーリー

  • え?!って事で
    傷付けて
    傷付けられて
    でも普通に生きて行く

    大なり小なり
    誰でもが抱えていること

    それがホンワカ語られる
    そんな本

  • 「バレー部のほうが、毎日同じことの繰り返しじゃないですか。文芸部は何一つ同じことをしていない。僕は毎日違う言葉をはぐくんでいる」

    バレーボール一筋だった主人公が、バレーから離れて教師になり、文芸部の顧問になる話。
    前半主人公が読書に励む唯一の部員に対して思うことが、あーきっと私は周りからこう思われてるんだろうな!って十代の頃に被害妄想してた内容とほぼ同じで胸が苦しかったけれども、多分筆者もこちら側で、彼女の過去の被害妄想を綴ったのだろうから、そりゃあ刺さりもする。
    実際のところ、周囲はこちらを気にもしてなかったろうと今になれば思うのだけど、まあ妄想だったにしろ現実だったにしろ、冒頭で引用した部員の言葉は過去と現在の私の救いになる。(もちろん、運動部を悪く言いたいわけではない。あくまで対私)
    物語は少々都合が良すぎるものの、周囲の男性陣のキャラクターが良く、文章も読みやすかった。

  • 垣内くんがすごく素敵な小説。
    私も主人公のように、今時こんな子いないだろうと思ってしまうのだけれど、その空気感がよかった。
    瀬尾まいこさんはなんでもない会話とか情景描写がとってもうまいなぁ。すーっと入ってくる。
    また読み返したくなるかな。

  • タイトルから勝手にイメージしてた内容とは違った話でした。



    主人公は学生時代の部活動で後輩を傷つけてしまい

    重い過去を背負って大人になる。

    教師として赴任した学校で、文芸部の顧問になる。

    そこの部員の垣内君とのほのぼのした話。



    ほのぼのしているけれど

    いろんなことに気が付いて成長していく。



    結構弟のポジションがポイントだと思います。

著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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