- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838714469
感想・レビュー・書評
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主人公・早川清の清い精神は至って健康。いつも正しくあることに一番重きをおいた。何にでも全力で品行方正、陰口、噂話も言ったことがない。その代わり、身体は厄介で、四つ足動物の肉を食べると吐き気に襲われ、甲殻類を食べると下痢を催す。辛い物を食べると頭痛、刺激物で鼻血を出すという完璧なアレルギー体質であった。
そんな清が全身全霊を注いで打ち込んだのがバレーボール。
完璧な精神とある意味完璧な身体だからこそ、補欠の山本さんのミスが許せなかったのであろう。
試合後に山本さんに厳しくあたり、翌日山本さんが自殺する。
そこから清は、未来を諦める。
未来を諦めたからって、いきなり不倫とは…
そこまで落ちていったという意味なんだろうけど、少々そのギャップに引いてしまうほどだった。しかも…優しい弟と比較してしまい、ますます不倫相手の浅見が偏屈で自分勝手に見えてしまう。
さて、清の再生に大きく貢献しているのが、文芸部の唯一の部員でかつ部長の垣内君だ。垣内君とのテンポの良いが少々噛み合っていない会話に清だけでなく、私も癒され、垣内君のシリアスな会話は誠実に感じる、説得力もあり、信頼できる。
また、不安定な清を気遣い理由をつけて家に遊びに来る弟の拓実。彼の発言は素直すぎて、微笑ましく、姉へのエールが聴こえてくるようだ。こんなに姉を思う弟もいるんだと尊敬してしまう。
事件後、淡々と時が過ぎていく中で、清の近くにいる垣内君や拓実の行動、言動が本当に暖かく感じ、清の平凡な日常だけでなく私の日常の癒しのようにも感じた。
いろんな人に支えられながらも清自身も山本さんへの気持ちを忘れることがない誠実さ持っていることが、最後に山本さんのは家族の気持ちも動かすことになる。
ちょっと変わった主人公ではあったが、素直で人間味のある主人公であったと振り返ることができる。 -
自分の思う清く正しい価値観がすべてと思っている清。
それが原因かは分からないが厳しく叱責したチームメイトが自殺してまう過去を背負っている。
前半は清の自分の価値観の押し付け具合に辟易し、瀬尾まいこさんなのに、イライラしてしまった。
自分の清く正しくの考え方が原因で身体症状も出ているのに、本人は気づかない。
終始、清の言動は幼い感じがしてしまうが、垣内くんが素晴らしかった。
最後の主張大会での垣内君の言葉はとてもいい。
なんで、文学をするのか。
なんで、本を読むのか。 それを見事に言葉にしてくれた。
最後まで読んだ後は瀬尾まいこさんらしい、じんわり感はある。 -
高校の講師である清が主人公。彼女は高校3年のとき、バレー部の厳しいキャプテンだったが、負けた試合のあと、試合でミスを連発した部員が自殺してしまう。遺書もなく、彼女のせいという事もはっきりしないが、深く傷ついてしまう。
スポーツ少女だった清が、スポーツから離れ、自分の街から離れ、不倫に身を投じ、病んでいた状況から、次第に再生していく物語。
文芸部の垣内君、弟の拓実、不倫相手の浅見さん、みんなが優しい。
垣内君は生徒ではあるが、ある意味では、彼が先生でもあった。図書館神様なんだろうか。文学を通して、他の世界に触れる喜びを教えられ、清は先生として、新しい世界に前向きに踏み出していく決意を固める。
瀬尾さんらしい、優しい物語。 -
瀬尾まいこさん初読
簡単に言うといろいろあって前を向くというお話し
まあ面白かったかな
もう少し瀬尾まいこさん読んでみたいなとは思いました
ブクログやってなければおそらく手にしなかったであろう作家さんかも
世界が広がってるかも -
青春。眩しくてクラクラする。
主人公がふわふわと生きているように見えて、読んでいるうちに、初めの章で書かれた出来事をつい忘れてしまいそうになる。こんなに一見「平気」で生きているように見えるなんて。
日常には、あまりにも色々なことが溶け込んでいて、溶け込まないで固形のまま引っかかっていることと同じくらいたくさんのことが、ここにもどこにも、あるのだと思う。 -
何のつながりもなく、いきなり講師として赴任した高校で、国語担当というだけで、文芸部顧問になった?させられた?早川清
(きよ) しかも部員は垣内君一人
この清と垣内君との部活での会話が最高に面白かった
どっちが教師か分からないようなしっかり者の垣内君
まるで、漫才のよう ボケは清でツッコミは、垣内君
「ねえ、退屈なんだけど」
「そう言われても困りますが」
「刺激がほしいのよね 。毎日淡々ととしていてもりあがらないで
しょ」
「そうですか? 僕にはかなり刺激的ですけど。僕は毎日違う言葉
をはぐくんでいる」
「なんか今のかっこよかった。青春ぽかった。もう一回言って」
「嫌です」
挙げ句の果て、詩を書いて、売りに行きクーラー入れよと提案する清
はちゃめちゃだけど、毎日海を眺めながらのそんな部活で、清は、正しいことが全てじゃないし、自分の思う正しさがいつも世の中の正しさと一致するわけではないことを知っていく
卒業式前の主張大会での垣内君のスピーチが秀逸だった
準備していた原稿は、ポケットに入れ突然みんなに語りかけた
「文学を通せば、何年も前に生きていた人と同じものを見れるん
だ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる・・・
のび太はタイムマシーンの乗って時代を超えて、どこでもドア
で世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい
世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする!」
故郷を追われるようにして離れ、どんどんいい加減に投げやりになっていた清が、次第に元気とやる気を取り戻していく
「図書館の神様」は、いたんだ、 -
清く、正しく生きてきた少女、清(きよ)が同級生の自殺が原因で大好きなバレーボールをやめてしまう。傷を負ったまま成長し、教師として赴任、文芸部の顧問となりひとりの男子生徒と出会う。
清より一つも二つも大人の垣内君が凄く良いな。
そんな二人のやりとりが微笑ましかった。
先生らしからぬ清も、垣内君はじめ同僚や弟の存在で成長していく姿に、瀬尾さんのほのぼのさを感じる。
文学をこよなく愛する大人っぽい垣内君が魅力的だったな~。 -
不倫も瀬尾さんがかくとドロドロ感がまるでない。
高校生と先生のやりとりがとてもあたたかかった。
自殺をかいても心にずしりとこない。
さわやかさがこうも漂うのはすごいな。 -
挫折した「私」は講師(教師)とし高校に赴任するも生徒にも授業にも文芸部の顧問としても意欲的でない彼女が、生徒とのやりとりや授業での気づきなどによって再生して行く内容なのだが、不倫相手との日常生活も話の中心に流れている。講師(教師)であれ人間、不倫はないでしょ!なんて野暮なことを言うつもりはないけれど、厳しく律してきた者のタガが外れるとここまでになるという人間臭さをどこかで感じながらも、私的にはステージが高校・教師なので多少の違和感を感じました。
文芸部唯一の垣内くんの活動テーマは面白かった。殆ど手にした作品だが、どれももう一度読んでみようかなぁと思った。 -
文芸部の垣内くんとのやりとりが面白い。
真面目に「私」からの冷やかしにも思える会話に答えているところとか。
あと毎週末に海を見に遊びにくる弟もいいキャラしてる。
新...
新しい扉を開いてくれてありがとうございます!
こんにちは!コメントありがとうございます。
ひまわりめろんさんが瀬尾まいこさんを手に取られるきっかけになるなんて、それ...
こんにちは!コメントありがとうございます。
ひまわりめろんさんが瀬尾まいこさんを手に取られるきっかけになるなんて、それをお伺して、とっても嬉しいです。
この著者の作品は、共通したありそうでない独特の設定と感覚を感じます。実は私には遠い感覚なんです 笑(なので星3つした 笑)