長崎くんの指

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レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838716845

感想・レビュー・書評

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  • ゆっくりと時間が静かに少しずつ消えていく美しい不気味さ。
    長崎くんの不安定さは不思議で
    まるでコキリコ・ピクニックランドのような不気味さ。
    この世ではないような浮遊感。
    その中で指だけが現世と繋がっているような、
    逆に指だけは異世界に行っているような感覚になる。

  • 日常に寄り添って存在していそうな不思議な話。遊園地って、そういうところですよね。

  • 寂れた遊園地『コキリコ・ピクニックランド』を舞台とした連作短編集。

    『長崎くんの指』
    真面目で優秀な銀行員だった主人公は、
    衝動的に金庫の金を盗み、家を出、遊園地に住み込みで働き始める。
    遊園地で出会った長崎くんの指に恋する話。


    『バタフライガーデン』
    仕事をなくし、バツイチの妹の家に転がり込んだアラフォーの主人公。
    妹に命じられ姪っ子を連れて行った遊園地のバタフライガーデンの管理人に強く惹かれ通いつめるようになる。

    『アマレット』
    長い不倫関係を精算し会社もクビになったマリアさんの物語。
    遊園地で観覧車を操作する森田老人と親しくなり、遊園地で働き始める。
    観覧車の役割がとても美しい。


    『道ばたさん』
    家の前に倒れていた記憶喪失の女を拾った母娘の話。


    『横穴式』
    お化けが出るという遊園地の洞窟に取材に来た主人公。
    そこで不思議な親子と出会う。
    これはホラーな話だった。


    『長崎くんの今』
    『長崎くんの指』で、終盤唐突に行方をくらました長崎くんのその後が描かれている。
    蛇足の感が強い、、、。

    『夕暮れひなたの国』
    唯一関連性のないおまけの一篇。
    いくらでも深読みができる。


    現実感の薄い、ファンタジーのような物語である。
    それぞれ短い話しながら、裏には濃くて深いものを孕んでいる感じ。

  • 悪くない。

    けど。

    寝る前に布団の中で読んだ章が、怖くて、やっぱり‘ホラー’はすこぶる苦手だと思った。
    よりによって怖いハナシを寝る前に読んでしまうとは。

    だけど、短編でハナシがつながってるものはとても好き。

  • とても静かな雰囲気の小説だが、不思議な事がいっぱい。
    主人公が自由な感じが心地よい。

  • 「コキリコ・ピクニックランド」という風変わりな遊園地を舞台に綴られる短編連作集。「長崎くんの指」ちょっと小川洋子っぽいかな。「バタフライガーデン」蝶の庭で過ごす夜。「アマレット」マリアさんと観覧車係の森田さんの交流。「道ばたさん」記憶喪失(?)の道ばたさんとの日々。「横穴式」恐怖の洞窟アトラクション。「長崎くんの今」立ったまま眠ってしまう長崎くんがパパになる?「夕暮れのひなたの国(あとがきにかえて)」おねいさんの話。これが一番ぞくっときた。実話なのでしょうか。これだけちょっと特別。

  • 成り行き。
    ぜんぶ成り行きってこと。

    *

    6人の主人公たちの、誰一人にも、積極的な何、があるとはいえなくて。
    それなのに、少しずつ普通じゃないドラマが展開されて。(そうして「普通」がわからなくなる)

    そんな、常に常に覚醒状態で意識的に生きるなんてことは出来なくて、
    いやむしろ、極端な緊張状態のときこそ、むしろ夢の中でするような気持ちでしか行動は選び取れないのだから、
    なるほど物語なんてこんなものだ、と思う。

    たわいもないというか。

    *

    何はともあれアマレットが飲みたくなります←ただのノン兵衛。
    物語の中のお酒とか食べ物の描写って好きだわ。

    「こっくりと濃くて甘いその飲み物は、喉を熱く舐めるように身体の中に落ちていった」

    「こんな甘い酒がやめられなくなるなんて、あんた、疲れとるんじゃないかね。
    そうだ、あんた乗ってみるかい?例の、あれに」

    *

    今日は月が綺麗です。明るくって。

  • さびれた遊園地をめぐる短編集短編ごとに何かしら遊具(アトラクション?)が関わってきます色んな人が、色んなものをかかえてやってくる遊園地。重かったり、素敵だったり、でもやっぱり知らない人同士がすれ違う遊園地の雰囲気、「すれ違ってそれで、それだけ」のようなものがある気がしました。なかなかよかったです。街で、電車で、駅で、毎日たくさんの人とすれ違って、みんなにそれぞれ「その人」があると思うと気が遠くなるけど、この本はいい方にそのことを語ってくれてるような。少しその後が気になる話もありました。気になるだけで、書き切ってはいないのがまたいいのかな。

  • 郊外のさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」がかならず出てくるオムバニスドラマのような小説集です。
    装丁の「長崎くんの指」というタイトルに惹かれて買ってしまいました(笑)

    家出をしてたまたま訪れたコキリコ・ピクニックランドに住み込みで働くようになった人の話、勤めていた銀行のお金を着服しあても無く逃げていた途中たまたま訪れたコキリコ・ピクニックランドで働くことになった人の話、行き倒れになっていた女性を助け一緒に暮らし始めてしまう母娘の話、雑誌社の心霊特集の取材の為にコキリコ・ピクニックランドを訪れそこで不思議な体験をしてしまう人の話、何十年もコキリコ・ピクニックランドの観覧車を回し続け観覧車の前で生涯を終えた人の話・・・

    コキリコ・ピクニックランド人生劇場といった感じでした。

    心霊特集の取材の為にコキリコ・ピクニックランドを訪れた女性記者が、最後にはあの世につれていかれるように闇に消えていくところが読んでてちょっと怖かったです。
    最初と最後にタモリが出てきてもおかしくない感じでした(笑)

    日常の中のちょっと不思議な物語ですね。。。

  • タイトル買い…
    ふっるい遊園地に行きたくなってきた。
    よし 行こう。忍び込もう。

著者プロフィール

1963年、広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。歌壇、角川短歌賞選考委員。東京新聞歌壇選者。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとも森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』、エッセイ集に『短歌の不思議』、穂村弘との共著『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』がある。

「2019年 『春原さんのリコーダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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